東京都美術館で開催中の「印象派 モネからアメリカへ -ウスター美術館所蔵-」を観てきた。
美術館や博物館には足を運ぶ方だと思うが、鑑賞対象に対して知識があるわけではない。今回も「印象派?」「モネは知ってる」程度の知識で鑑賞に行った。
その程度の認識でしかなかったので当初は行くつもりはなかった。しかし旧Twitterで「音声ガイドで一人称わたくしの画商にあなた様と言ってもらえる」(意訳)という情報を掴み、それは気になると軽い気持ちで観に行った。
昨今の音声ガイドはドラマ性がある。「ある画商」がこまごま説明してくれるのだが、来客があったようだと遠ざかったり、絵画に見入っているところに声をかけるというシチュエーションだったり、と趣向を凝らしている。
問題はキャプションを読みながら聴こうとしてしまうことか。両方理解しきれず再度それぞれ読む聴くになってしまう。せっかちな気性をどうにかしたほうがいい。
もしもこの展示の中から1点譲り受けることができるならばどれがいいかなと考えていた。睡蓮もいいのだがなんとなく気に入ったのはジョゼフ・H・グリーンウッドの「雪どけ」。春先の田舎の小川ってあんな感じだったな、と謎の懐かしさを感じた。
チャイルド・ハッサムの「朝食室、冬の朝、ニューヨーク」、館報の記事をいたく気に入った手紙が可愛い。
日本人画家の絵は日本要素が強くて、何をもって日本要素と認識するのか考えていた。人物がはっきり描かれているのか? どこかあっさりした感じがする?
スケッチは外で行いそれ以降は屋内で制作していたスタイルから、すべての工程を外で行うようになった背景にはチューブ入りの絵の具が開発されたからと知る。
豚の膀胱、真鍮のシリンジ、ガラスのシリンジ……時代的には錫のチューブかな。
「画家が好む曇りの日」といった解説があったが、なぜ曇りを好むのだろうか。落ち着くから? 強い光がないのでやわらかいから? 雲間から射す光がよいのか? 芸術的観点が不足していて想像ができない。
「モネ」だからか大盛況で土日は日時指定が必須だった。10時入場で訪れたが入場までに結構な列になるほどだった。会場内も人だかりになっている場所もあるほどで、日時指定してもこのレベルであるならば指定なしでは相当の混雑だろう。
グッズ売り場も大変な混雑だった。ウスター美術館なのでウスターソースとコラボしていた。……と思ったのだが、ウスターソースはもともとはルネサンス期にベースが生まれ19世紀のウスターシャー州ウスターの主婦(の放置プレイ)が生み出したものだったのね。ウスター美術館とウスター市は姉妹都市なので今回のオリジナル商品になった、と。
不純な動機で観に行ったけれど楽しい時間となった。