サ活

晴麻
·

サウナに行って汗をかきたい。

ふとそう思い、「サ活」デビューをすることにした。日帰り入浴プランがあるホテルを見付け、即予約した。予約サイトには「手ぶらOK」と書いてあったので、ドキドキしつつ、最低限の着替えだけバッグに詰めた。

巷では「サ活」を楽しむ人が多いと聞く。テレビでも、サウナ愛好家「サウナー」を取り上げた特集をたまに観る。数年振りにサウナを経験する私も「整う」という感覚を味わえるものだろうか。私は運動不足の若中年なので、熱々のサウナ室からいきなり水風呂に入ったら血管がどうにかなりそうで怖い。整うどころか昇天だ。

しかし、予約したホテルの大浴場は、女性の方はミストサウナとなっているらしい。とはいえミストサウナと聞いてもいまいちピンとこない。「なにそれ……すご……」となる。電車の中でミストサウナについて調べてみたところ、一般的な高温のドライサウナと違い、ミストサウナは温水を噴霧するものらしい。湿度が高いのでそこまで息苦しくないという。やっぱり「なにそれ……すご……」となる。とにもかくにも、期待値が爆上がりだ。

賑々しい駅前から、Googleマップの案内に従って歩いた。人通りが少ない、夜のお店が並ぶ繁華街の路地に面した場所にホテルはあった。

念のために書くが、ラブホテルではない。フロントで手続きをしたら、日帰り入浴だからか、大浴場の前まで丁寧に案内してもらえた。タオルも借りられ、アメニティグッズも豊富で、本当に手ぶらでよかった。

水分をよく摂ってから、まずお風呂を楽しむことにした。温泉に入りに来たようでちょっと嬉しい。湯加減もよくて気持ちよすぎて溶けた。ある程度楽しんでからサウナ室へ入った。腰掛けると、少しずつ肌が火照ってきた。じっとしていると汗が噴き出てきて、15分もすると汗だくになった。ハチャメチャに汗をかくのは夏以来かもしれない。

水風呂はないので——そのままシャワーを浴びて出ればいいらしい——シャワーで汗を流し、ついでにもう一度洗髪をしてから大浴場を出て、着替えてほかほかでホテルを出た。

爽快感というのだろうか、とても清々しい気持ちになっていた。ビルの合間から見える狭い冬の空を見上げて溜息をついた。私がディズニープリンセスだったらここで挿入歌を歌い出している。きっとカラスやネズミや野良猫しか寄ってこない。路地裏のきったねえディズニープリンセスだ。

足取りも軽くゴキゲンで駅に向かう途中、「サウナのあとは美味い飯!」とテレビでサウナーが言っていたのを思い出して方向を変え、気になっていたお店で名物のカツカレーを食べてパワーを漲らせ、スターを取ったマリオよろしくヤッフーと無敵状態で帰宅した。

大満足だ。たしかにこれはハマりそうだ……ぜひともまたサ活をしたい。

@haruma
アラサーの日常を綴ったとりとめのない日記です。