訳あって友人の子供と留守番をすることになった。彼は活発な6才児で、今年の4月に小学生になったばかりのピカピカの一年生だ。
私は未婚で子供もいないため、普段子供と関わることがない。ましてや幼い子供となれば未知だ。けれど彼のことは赤ん坊の頃から知っているし、母親である友人と食事に行く時はいつも会っているので、それなりに親しい。お互いちゃん付けで呼び合い、ポケモンスリープでもフレンドだ。
昼食に一緒に食べようと、彼の好物である丸亀製麺のうどんと、友人宅の夕食のおかずになればいいと天ぷらを詰めてもらい、それとミスタードーナッツを手土産にした。
彼は手土産を喜んでくれた。「ポンデリングある?」と訊かれたので「買ったよ」と言うと、走り出して部屋の奥に消えてそのまま戻ってこないくらい喜んでくれた。
みんなでうどんを食べ、友人が出掛けたので、Switchでゲームをすることにした。一台のSwitchでふたりでテーブルゲームができるゲームをやることになった。
多感な6歳児は下ネタがマイブームらしく「負けたらちんちんね!」と謎の罰ゲームを提案してきた。どんな罰ゲームなのか訊いたが、言いたかっただけで特に意味はないらしく、安堵して笑ってしまった。対戦しながら新生活は慣れたか訊くと、友達がたくさんできたことや、算数と体育が好きなことを話してくれた。休み時間にはサッカーしたりするらしい。
手加減せずとも神経衰弱でボコボコにされた。遊び慣れているとだけあって、なにをやっても大体上手かった。総合的に彼の勝ちになった。本当に名前だけの罰ゲームでよかったと思う。
他にもスマッシュブラザーズで遊んだ。NPCを「はいちんこー!」と言いながら吹き飛ばしたり、他にも母親が聞いたら頭を抱えそうな下ネタを連発した。スマブラも手加減せずともボコボコにされた。
白熱したゲームのあと、お土産に買ってきたドーナッツを食べながら一緒にプライムビデオで今放映中の鬼滅の刃を観た。私は鬼滅の刃はアニメは観ているが、今放映中のシリーズはまだ観ていなかったので話が飛びまくってわからないことも多かった。「晴麻ちゃんは誰が好きなの?」と訊かれたので「鱗滝さんと鋼塚さん」正直に答えると「なんで!?」と驚かれた。「渋くてかっこいいから」と言うと「そっかあ。そーゆーのはじめて……ふーん、いいんじゃない?」と突然湿度高めな態度になり、頬杖を突いてポンデリングを頬張った。6歳とは思えない貫禄があった。
その後友人が帰ってきて、夕食をご馳走になって帰ることになった。その日のメニューは天ぷらと豚肉と野菜の炒め物だったのだが、彼は野菜が嫌いらしく、私の皿にそっとニンジンやピーマンを置いてきた。言わずもがな母親に叱られ、最終的にアシリパさんに動物の脳みそを食べさせられる時の杉元佐一のような顔をして野菜を口に詰められていた。実のところ私もニンジンが嫌いなのだが……私は大人なので全部食べた。
忙しいだろうから大丈夫だと断ったのだが、ありがたいことに友人は駅まで車で送ってくれた。車から降りると、彼は「これあげるよ」とポケットからなにか取り出し、私にくれた。名前は知らないが、見たことのあるポケモンの指人形だった。それから好きなポケモンを訊かれたので「ヨノワール」と答えると「なんで!?」と叫ばれた。次に会った時に理由を話すことを告げると「え〜?」とニヤニヤしながらぐにゃぐにゃしてそのまま横に倒れた。
帰りの電車の中で、もらった指人形を眺めながら、下ネタがマイブームで、パワフルで明るく好奇心旺盛な彼がどんな風に成長するのか楽しみだと思った。立派になっても、うんこだのちんちんだので笑えるユーモアある大人でいてほしいと思う。