髪切った

晴麻
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落ち延びた落武者のような髪型になってきたので、9ヶ月ぶりに髪を切った。

行きつけの美容院の担当者が異動してしまったので、新しい美容院を探すことからはじめ、思い切って隣駅にある美容院を予約した。

ちょっとだけイメチェンがしたいことや、暑がりであることや要望を伝え、ツーブロックにすることにした。しかし、いきなりツーブロックは恥ずかしいので、外側はミディアムヘアにして、内側をがっつり刈り上げてもらうことになった。それから、暴れ放題の前髪だけ縮毛矯正をかけることにした。

「お使いください」と美容師さんから差し出されたスナップエンドウみたいな形をしたクッションを膝に載せ、クロスを掛けられると、束帯を着たあぐらを掻いた——クッションの盛り上がっている部分がちょうど足に見えた——恰幅のいい平安貴族が鏡の前に現れた。烏帽子がないとはいえ、我ながらびっくりした。おまけになんか既視感がある。

メガネを外したぼやけた視界で自分を凝視し、悶々としているうちに縮毛矯正の施術がはじまった。前髪に塗った薬剤を浸透させるためにひとりで待っている時、既視感の正体に気が付いた。今の私は『光る君へ』に出ている秋山竜次さんにそっくりすぎる、と……

秋山さんと違って日焼けサロンには行っていないので肌は白いが、その時の私は藤原実資だった。

施術すること2時間半、藤原実資を経て、素敵な髪型にしてもらった。うねっていた前髪もまっすぐになり、内側の刈り上げたところがジョリジョリしていて触ると気持ちがいい。新鮮なジョリジョリだ。伸びてきたら、また美容院に毛刈りに行こうと思う。

@haruma
アラサーの日常を綴ったとりとめのない日記です。