読書はいいなあ

晴麻
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若い頃はたくさん本を読んでいたが、今は就寝前のわずかな時間しか本を読まなくなった。とはいえ、夢中になると止まらなくて1時間くらい読んでいるので、読書が好きなのは変わらないように思える。基本的私は日本人作家よりも海外作家の作品を読むことが多い。今年は古典怪談にハマり、短篇集ばかり読んでいた。この間久しぶりに長編を読んだので、その一冊をあげていきたい。

※ほんのりネタバレを匂わせてます。ご注意ください。

『ノートル=ダム・ド・パリ』

この間、ディズニー映画の『ノートルダムの鐘』を生まれて初めて観、感動して原作を読みたくなったので購入。しかし、作者がユゴーだと知り、直感的に「救いようのない終わり方をしそう」と思った。「理想と現実の差を突きつけてきそう」とも思った。読んでいて、案の定という感じだったがとても面白かった。ディズニー映画では憎たらしいヴィランだったフロローが案外慈悲があることに驚いた。それと、映画では高潔だった隊長が、婚約者がいるのに純情なエスメラルダを弄ぼうとするクズ男ムーブをかましていて気絶しそうになった。ひたむきな愛や歪んだ愛に宿命が交わって複雑に絡み合い、誰もが各々愛に溢れた暖かな理想に縋るも、皮肉にもそこには冷たい現実だけがあって、結局誰も報われない終わりを迎えた。それでも私はそういった話が好きなので、読み終わった今も余韻に浸っている。親子の再会シーンからの怒涛の展開は凄まじかった。あのラストは多分この先死ぬまで忘れられないと思う。こんな物悲しさの煮凝りのような話をカジモドの成長と友愛の話に纏め上げたディズニーはすごい。それにしてもユゴー作品、容赦もないけど、理想に対する気持ちのゆらぎというか、葛藤を描くのが上手すぎる……

今は『ザリガニの鳴くところ』を読んでいる。豊かな自然の描写が美しく、ありありと目に浮かぶようで圧倒される。読み終わったら映画版も観てみたい。

@haruma
アラサーの日常を綴ったとりとめのない日記です。