狼女と吸血鬼のあらすじ

hasselback
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【あらすじ】

 満月の夜に狼に化ける女・ホエズ(穂江津)と、新月の夜に吸血鬼に化ける女・オイサラ(及皿)は、東京のネオンの街で出会った。

 人間社会に溶け込む異種族としての共通点を持つふたりは、出会ってから仲良くなるまでそう時間はかからなかった。

 仲良く。というか、運命じみた引力で惹かれ合った。

 人狼のホエズは満月の夜以外は、会社の事務員として働いていた。規則正しく。そして満月の夜になると、衝動を晴らすために、東京を離れて山の中で小動物を狩り、一夜を過ごす。そして裸のまま木々の中で朝日を待つのを繰り返していた。一方、吸血鬼のオイサラは、新月の日以外はレズ風俗のキャストや、男向けのソープ嬢として働いていた。そして、溜まった金はパチンコ玉と血液のパックに消える毎日を送っていた。

 ある新月の日。尋常じゃないほどの性欲がホエズを襲う。原因は生理前のホルモン分泌(ホエズはセックスしたくなるタイプの人間で、それが心底嫌だ)と、自分の中にある狼としての発情期が重なったことにある。

 男はキモくて嫌いだから、女を抱くか抱き潰されるかしようと思い立ち、レズ風俗へ行く。そこで適当に指名したのがオイサラだった。

 一方、新月だというのにオイサラがなぜ出勤していたかというと、滞納していた諸々の支払いと、友人への借金を返したばかりで宵越しの金はなかったからだ。

 一日くらい大丈夫だろうと(今までも何回かあったし、誤って人の血を吸うことはなかった)いつも以上に血液を飲み、衝動を抑えて出勤した。

 しかし、数時間後にオイサラはホエズの血を吸った。

 その日の3人目の女であるホエズは、人間としての情欲と吸血鬼としての衝動を抑えきれないほど、オイサラの中で完璧な女だったからだ。そういう呆れるくらいに単純な幕引きで月を巡った二人の夜が始まる。