工場に個人依頼をする
手縫いしたぬいぐるみの図
さて、棉花娃娃に出会い、手縫いでの自作や情報収集を経て『工場にぬいぐるみ製作を依頼するぞ!』という気持ちをかためた私は準備を始めました。
・工場の選定
日本人の方が窓口になって、『ぬいぐるみデザインからヒアリングをして、工場への依頼・リテイクの確認・精算から発送までを請け負ってくれる』というサービスも存在します。
しかし『世の中にひとつ(あるいは数個)だけのぬいぐるみを生み出したい』と依頼をする場合は、グッズを100単位、1000単位で作る場合と比べて1個の費用が割高なため、『利益なしで複製品を頒布したい』という私の希望を叶えるために、工場と直接やりとりをする方法でコストを減らすことにしました。
(市販品と比べて棉花娃娃の複製頒布が割高に感じるのは、作りもあるかもしれませんが生産ロットの数が全然違うから。改めてカプセルトイで可愛いぬいぐるみが安価で手に入ることの凄さを知りました。)
工場はTwitter(現X)でアカウントを持っていて、製作物や混雑・休業状況をアナウンスしています。中にはweiboなどの他国のSNSも用いて情報収集をされている方もいるみたいですが、私は主にTwitterで工場をいくつかフォローし、素体見本や完成品を確認しました。
工場ごとに独自の型紙を使用しているので、なんとなく共通認識のサイズ感はありますが、仕上がりの体型や顔の形はそれぞれに異なります。
ぬいぐるみデザインを作る部分にもまたがる要素なので、外形にもこだわりたい方は要チェックです。
また、完成品から『こんな髪型を仕上げてくれる』『こんな色の生地を使用している』ということも参考になりました。
基本的に工場は依頼主のデザイン画はアップロードしないため、デザイン画(仕様書)からどのクオリティのぬいぐるみが出来上がるかは、それを公開されている製作者(韓国では、棉花娃娃の製作者の方をワモさんと呼ぶそうです)の投稿で確認する他ない点に留意してください。
工場のアカウントから主に確認できるのは、
・日本語で対応できるかどうか
・連絡に使用するツール(DM、LINE、カカオトーク、Wechatなど)
・ぬいぐるみ素体、糸や生地の見本写真
・完成品の写真
・その工場をフォローしているアカウント です。
製作者の方々をフォローして製作過程を見るなどして、同じ工場で製作したいと感じる場合もあると思います。
個人の考え方にもよりますが、【海外の工場に直接依頼をする】ということは、完成が100%保証されておらず、スタッフの方が以前と変わって対応が異なる可能性もあり、また仕上がりに納得いくかどうかも人によって異なるため、
「この工場に頼んでうまくいったから、みんなもここに頼んだら良いよ!」と公には言えない、といった事情があります。
製作者側からの工場の評判や気になることはDM等の個人間のやりとりで聞いてみるのが良いと感じました。
(私もいくつかぬいぐるみ製作をされた方にDMで気になった工場を挙げて、対応や感想をうかがいました)
以上の点をふまえて、私は
・日本語対応可能
・LINEでやり取りできる
・納期をしっかり守ってくれた(フォロワーさんからの評判)
ということを重点に置いて、依頼する工場を決定しました。
・代行業者の選定
海外の工場と直接やりとりするため、クレジットカード決済は出来ず、外国の口座に送金できる手立てが必要です。
また工場から日本へ向けての発送も基本的には行わないため、今回入金や発送は代行業者を頼ることにしました。
『ぬいぐるみのサンプル制作費の支払い』
『ぬいぐるみの複製費用の支払い』
『完成したぬいぐるみを代行業者の倉庫に向けて発送してもらう』
『倉庫で点数を確認してもらい、日本に転送してもらう』
このタイミングで代行業者の方に助力してもらいました。
(人によっては、サンプルが完成した時点で手元で確認するために一度発送してもらったり、工場へサンプル品を発送する段取りがあります)
今回、代行業者は工場から紹介されたので選定方法は割愛します。
・仕様書(指示書)の作成と依頼
ぬいぐるみのデザインの他、棉花娃娃の仕様で指定が必要なこと※や工場に依頼したいことを仕様書に盛り込みます。
同人誌を入稿する印刷所などと異なりテンプレートや仕様書の要項の記載がない工場もあるため、前もって『何が必要か』確認するのも良いかもしれません。
今回私が依頼した工場もSNSに特段要項の記載が無かったので、手前味噌で仕様書を作ることにしました。
受け取った側がプリントアウトすることを想定して、サイズはA4で作成しました。
※棉花娃娃の仕様項目
サイズと体型
手のひらの向き(前向きか下向きか)
骨(曲げられる関節)のあるなし
その他
ケモノ耳やツインテール、尻尾などを、直接縫い付けるか、ゴムや磁石で取り外し可能にするか、ワイヤーを入れて折り曲げ可能にするか
など
ここで前置きしておくと、私はデジタル作画が不慣れで、必要な時はアナログで線画→スキャナーアプリで取り込み→アイビスペイントで色を塗っています。
なのでイラストのみでデザインから色の指定まで伝えるのは材料不足と思い、
今回依頼するぬいぐるみは事前に自分で手縫いで製作したものだったので
刺繍の写真や完成品の写真も組み合わせて【ぬいぐるみのデザイン・刺繍糸の配色を伝える】仕様書を完成させました。
翻訳アプリでつたない中国語を記載しましたが、工場スタッフさんも翻訳アプリを使用出来る方だったので、もしかしたら不要だったかもしれません。(ぬいぐるみを作りたい!という熱意は伝わったと思いたいです)
2枚目は工場側が質問の際に印をつけて『ここの色なんだけど』と確認するのに役に立ちました。
この『工場に依頼をしたいと伝える』『仕様書を送信する』という段階がかなりハードルが高かったです。
でもデザインを送信してからはプロに任せる時間が続いたので、やはり依頼する側は事前に仕様書を丁寧に作ることが大切だと感じました。
<<<注意!>>>
この話はあくまで参考程度にしておいてください。ぬいぐるみ製作は完全に自己責任の趣味です。この段取りがぬいぐるみの完成・品質の保証をするものではありません。
つづく