ぬいぐるみが完成することを『立ち上がる』というらしい。
前回はぬいぐるみを工場に依頼するまでの段取りを書き連ねました。
今回は、ぬいぐるみが立ち上がるまでのやりとりを記載します。
<<<注意!>>>
この話はあくまで参考程度にしておいてください。ぬいぐるみ製作は完全に自己責任の趣味です。この段取りがぬいぐるみの完成・品質の保証をするものではありません。
今回私は『量産前提で、まずサンプルとなるぬいぐるみを製作する』という形を取りました。
・刺繍データの作成
ぬいぐるみの製作は刺繍データの作成から始まります。
依頼してから一週間経たずに画像が送られてきました。
私のほぼアナログなイラストを、製図してもらうとこんな感じなんだ……!
ちょっと見慣れる時間を作った後、違和感を覚えた部分を具体的に指摘し、修正してもらいます。
緑の線が生地の裁断ライン、ピンクの線が縫製した際の輪郭になるラインなので、そう考えるとメンマや頬のうずまきが大きすぎると感じ、言葉とイラストで修正をお願いしました。
(修正の際に意識したのは、必ず作業していただいた一つ一つに感謝して、『可愛いです!でも、もっとこうしてほしいです』とお礼の後に修正事項を伝えるということです)
修正してもらってスッキリしました!
この時、私は勘違いをしていたのですが、
データ上の線の色と刺繍糸の色は必ずしも一致しないそうです。
なので、データの時点では色のことは指摘できません。刺繍データを見る時は構図、線の太さをチェックしましょう。
胸の刺繍データなども一つ一つ見せていただきました。
麺ビフォー
麺アフター(麺アフタートゥモロー)
真剣に麺のデータを作ってもらうことに嬉しさとおかしさが込み上げてきます。
(スタッフさんは実際に麺を食べながら刺繍のことを考えているとSNSに書いていました。ギャグセンスを感じてかなり好感が持てます)
・刺繍ミシンで面皮の製作
その後、約二週間進捗の案内が無かったため、
『お忙しいとは思いますが、進行を心待ちにしています!』と伝達を挟み
頭髪に使う生地と糸を選んでいただきました。
この時は特段選び直しのお願いはしなかったのですが、画面越しに生地の色味や質感を把握するのは難しいので、自然光で写真を撮影してもらうなどするとより認識のズレを防ぐことが出来るかもしれません。
刺繍データ、生地、糸の準備が完了し、
ミシンで刺繍をしている最中の写真や動画を送っていただきました。
わぁ!可愛い〜!!
でも、前髪が茶色〜!!!!!(悲)
すぐにアイビスペイントで写真の上から修正したい色を塗って修正依頼。
候補の糸を三色挙げていただき(差異が微妙すぎてクリームって二百色あんねん状態でしたが)、えいや!と選びました。
もうこの時点で完成したくらいに嬉しい。
気持ち的には実質完成です。
この、刺繍が終わってまだ縫製に移る前の生地の状態を『面皮』と呼ぶそうです。
同じ趣味の方が「面皮が出来た!」とつぶやいていたら心のお赤飯を炊きたくなりますね。
面皮の状態で納得がいけばいよいよ縫製作業に移ります。
・できる?できない?
実はこのタイミングで、お団子頭に刺繍はできないと告げられました。
えぇ、何で仕様書を確認した時に言ってくれなかったの?!
せっかく工場に製作してもらうのだからと、手縫いでは難しそうな部分に刺繍を入れてもらおうと思っていたため、
『リボンを後で接着するのはどうですか?』と食い下がりましたが、返事はかんばしくありませんでした。
そんなやりとりをして数日後───
?!
え、できてる?!
これ、ゲームだったら絶対特別イベント発生してる状態ですよね。
そんなわけでお団子頭にも刺繍をしてもらえました!
・ついに立ち上がる
更に数日後───
前置きなしでいきなり画像を送ってもらうスタイルにも慣れました。
でも『ぬいぐるみになっている』状態の画像は、なんかもう威力が凄まじいです。
感激通り越してエンドルフィン、セロトニンがドバドバ出てくる感覚。
平面だったものが立体になることに喜びを感じる人間になっていました。
ぬいぐるみが立ち上がってテンションが上がっていたのは私だけでなく、作業スタッフさんも同様に昂るものがあったようで、
私がSNSでフォロワーに知らせたいので、服を着せた状態の写真もお願いすると
バイクに乗って外出しているぬいぐるみ
派手に横転するぬいぐるみ
散歩中の犬にガン見されるぬいぐるみ
いやめっっっちゃぬい撮りしてくれてる。
屋内の撮影スペースや、一瞬だけ自然光で写真を撮る光景をイメージしていたので、サービス精神旺盛すぎて本当にこの人に頼んで良かったと思いました。
(そして工場のSNSでも写真をたくさんアップロードしてくれていました)
この時点で気になる点は何もなく、大満足の出来栄えだったのでサンプル製作は完了しました。
・ちなみに
作業工程で何度か修正をしていただきましたが、今回の場合では追加料金は発生しませんでした。
『刺繍データの時点で〇回修正すると追加料金』
『工場に無い生地と糸を発注してもらうと追加料金』
『立ち上がり後にデータをやり直す工程に戻ると追加料金』
など、依頼する工場ごとにルールは異なるため、サンプル製作料金のみで「安い・高い」の判断はせず、料金ルールを事前に提示してもらったり、修正の都度確認するのが大切です。
さらに、私は完成したサンプルを工場に保管してもらったまま次の『量産数を決める』ステップへ進みました。
(サンプルを実際に手元で確認して、自分で写真を撮影してから量産アンケートを募集する方もいます)
続く