三陸海岸大津波 (文春文庫/2004/03/12)
吉村昭氏による記録小説なのですが、311の震災以降新聞に紹介されたこともあり、改めて注目を集めることになったようです。
内容についてのレビューは書きませんが、読んでいて胸が詰まる想いでした。特に明治29年の津波の描写、被災地域が今回の震災とあまりに重なり過ぎていて、言葉になりません。昭和津波の生存者としてこの本に出てくる人々はどうなっただろう。読み終わってまっさきにそう思いました。
扱われているのは津波という災害ですが、津波のみならず、人の手で太刀打ちできない事象にどう向き合うかという教訓は、どんな場合にも共通しているように思います。
最近の台風や竜巻も家屋を破戒し人命を奪うほどの被害をもたらしていますし、病気や事故、犯罪などによって未来が奪われる可能性は、いつだって隣り合わせで。どこに住んでいても、私たちは明日の命すら覚束ないのが現実なのだと改めて考えさせられます。
であればやはり、自分が今をどう生きるのか、真剣に考えなくてはいけないなと。
そしていつもながら痛感するのは、時間の容赦ない一方通行さ、ですね。
