「とんでもなく美しい紙芝居。」次々と場面が切り替わり、畳み掛けるような映像美が私の目に飛び込んできた。今見たものは果たして三次元なのかと疑うほど、「儚い」を具現化したMVと彼らに驚かない人はいないだろう。最早「儚い」という一言でくくってしまうことすら惜しいほどに、切なさと寂しさの一番濃くて深い部分だけが抽出され、ぎゅっと濃縮されている。それでいて不思議と重苦しくなく、可憐さと華麗さが綺麗に調和している。それぞれのメンバーごとに異なる美しさが共存しており、13色の鮮やかな色彩に息を呑む。
⑧S.COUPS
彼のフロー、あまりにも、良い。サビに向かって行く切迫した感じがある。同時に彼のラップにあるいい意味での「粗さ」は舞花のような切ない曲における「幅」を持たせていると思う。
②JEONGHAN
彼の、あの表情を見たか、と声を大にして叫びたい。真っ白な空間にいる彼の表情の悲痛さ。
「私は花」というパートを完全に自分のものにしている。舞花における主人公、MVPはジョンハンさんだと思っている。文字通りグループの「華」である彼が、「私は花」という美しい含みと広がりを持つ歌詞を歌うこと。「君は花」「花のよう」というありきたりな歌詞ではなく「私は花」。聞き手の想像が一瞬にして広がる彼の歌い方、声。ここに舞花のすべてが詰まっていると感じる。
⑦JOSHUA
割れた石膏像と透明なガラスの花瓶の傍に横たわる彼は、さながら囚われた一国の王子の様。小さな花束がついた絆創膏、彼以外に誰が似合うっていうの...
そして「私は花」という歌詞を淡々と歌い上げる感じ、感情を込めるというよりは、花が散っていく無常さが出ているのがとても好き。
①JUN
浮遊する彼を見て、もう1秒で感服させられた。降参です。どこか謎めいた冷たさを持つ虚ろな彼の目。一瞬にして「MVという物語」を形作る、二次元から出てきたようなビジュアル、そしてそれを最大限に生かした表情の作り方。
彼の「Fallin’ Fallin’」を聞いた瞬間、ため息が出た。個人的に彼の少し高めの声はどこか幼さを纏っている感じがして、直前のバーノンさんの声とのコントラストが素晴らしい。
そして絶望したような表情で砂を掬いあげて無重力へと化す彼、引き込まれない訳がない。ウォヌさんへ向ける表情、どうして慈愛と哀しさをそこまで真っすぐに表情として表せるんだ...
④HOSHI
エネルギッシュでメリハリのある彼のダンスは、ミンハオさんのどことなく女性的でしなやかなダンスとの対比によって、静かでありながら沸々と湧き上がるようなシナジーを生み出す。鎖で繋がれた彼の演技には目を見張る。何かに憑りつかれたような表情。
⑤WONWOO
彼の声、言うまでもない。彼の低音ラップは、縷々と続くピアノのメロディの中のスパイスのような感じを与える。そして彼のビジュアルはMVにどことなく漂う暗さや翳りをそのまま表現しているように見える。
⑥WOOZI
ウォヌさんとの掛け合い、本当に裏声が綺麗、透明感抜群で優しさを閉じ込めた声が綺麗にマッチしている。舞花においては、彼の鼻にかかったような少し特徴的な声という側面があまり表に出てきていない気がしている。引っ掛かりのない、流れるような歌声に魅了される。
⑩DK
彼が「君へと舞い落ちてくよ」の最初のkの音を奏でた途端、全身が崩れ落ちた。人間が出せる美しい声の限界をとうに超えている。「今すぐ会いたい」をああも感情を載せて、切に歌い上げることができる人が他にいてはいけないし、いるはずもない。そして彼が歌うときの語尾の処理の仕方、息の出し方がとても好き。繊細で、今にも消えそうなほど、細い。なのに最後まで彼の声を感じることが出来る。
⑫MINGYU
男らしさと綺麗さのどちらに全振りするわけでもなく、絶妙なバランスで釣り合っている声、曲に合わせたものなのか元からそうなのか...
薔薇の花弁を浴び彼が目を閉じた刹那、絵画以外の何ものでもない。
③THE8
彼が歌いだした瞬間に、どうしたらここまで悲哀と優艶さをその声に含ませることができるのだろうかと思わざるを得ない。直接訴えかけるというよりは、そのニュアンスをふんわりと歌声に乗せる感じ。圧倒的声の良さ。そして彼が見せる表情はどこを切り取っても妖艶そのもの。指先までたおやかさが詰まったダンスは、舞花のメロディの美しさを際立たせる。
⑬SEUNGKWAN
やはり彼のボーカルにおける強みは、繊麗さを体現したような声。それでいて儚さの中にある「確固たる強靭さ」を感じられる。
鏡の破片に移る彼、こちらの感情を掻き立ててくる不安げな表情をしてくるの、反則です。彼の横顔を見るとなんだか泣きたくなってしまう。この世の純粋さをまるっと詰め込んだらきっと彼の瞳になるんだろう...
⑪VERNON
彼の太い声をサビに持ってくるのが正解すぎるの、頭から離れない。舞花が全体的に華奢な印象を与える曲だからこそ、彼の力強い声がよく映えている。
⑨DINO
寂し気な表情を湛える彼、水のようにすっと耳に馴染む癖のない歌声。ずっと聞いていたくなる。と思えばラップもそつなくこなしてしまうなんて、彼こそが真のオールラウンダー。
舞花を語るうえでコレオは避けられない要素だろう。曲の始まりにおける、開花を模した、大人数だからこそ成立する振り付け。メンバー全員が花弁となり、1輪の花を咲かせているように見える。こんな振り、今まで誰が考えついたのだろうか...指1本1本まで繊細さを求められるコレオを、彼らはきちんとパフォーマンスに仕上げている。目まぐるしいフォーメーション移動が盛り込まれているのに、それが全く曲の邪魔をしていない。寧ろ風に吹かれて舞う花弁のようにも見える。蔦のように絡みつく振り付けも、何か一編の物語を読んでいるような気分にさせる。
曲の良さ、振り付け、MV、メンバーの個性など数多の要素が幾重にも重なり、見る人、聴く人の心を掴んで離さない、「舞い落ちる花びら」。