砂に埋もれる暮らしを追いかけて その1

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公開:2024/10/20

わたしの常からの夢は、砂漠に魔人ブウの家みたいな丸いビヨーンってした家を建てて、そこで一年の半分を過ごし、残りの半分はグリーンランドの氷のホテルで暮らすことなのです。っていうわけで、今回は砂漠の下見(?)のためにUAEにやってきた。この国にはRub’al Kahali(ルブアルハリ)、別名empty quarterという世界一広い砂漠があるのだ。

しかしまあ、いきなし砂漠ってのもキツイので最初3日間は(時差&旅疲れ直すために寝まくって実質2日間だけど)ドバイ市内で過ごして、砂漠や山岳地方に行くのは後半3日間。

さてレッツゴー!

で、まずは飛行機。UAEといったらエミレーツ一択。慇懃無礼なアラビア美女がwelcome on boardと、貼り付いた笑顔で迎えてくれる。席はエコノミークラス、とても狭いのは仕方ない。一応フライトシート持ってきたけど、これ以上狭くなるのは嫌なので、使うのは諦めた。

ところでわたしは高いところが根本的に苦手だ。故に飛行機なんて、乗らなくていいなら絶対に乗らない。というわけで、理想は寝ている間にいつの間にか飛び立っていて、寝ている間にいつの間にか着陸していることなのだ。

今回は12時間近くフライト時間があるので、まあずっと寝ているのは無理としても、ある程度まとまって寝られるようにしようと思っていた。そこで用意したのは徹夜1晩、ドリエルEX、サイレンシアという耳抜きしなくてもいい耳栓。結論から言うと、12時間近く、一睡もできませんでした。狭すぎて、足が痛くて、気流で結構揺れて、後ろの人がやたらガサゴソしていて無理だった。ではその間何してたかというと、True DetectiveのS4がやってたのでドラマ一気見したよ。英語字幕ないのが玉に瑕だったけど、なんとか乗り切った、今回もめちゃくちゃ面白かった!日本語だとS3まではアマプラで見られるので気になる人はぜひ。今回はジョディフォスターが主役で出てた〜!

機内食は、出発後2時間と着陸2時間前の合計2回出た。どっちも和食が選択できたのでお米食べた。高度が高いので、山の上で炊いたご飯みたいな感じ(ちょっと芯が残っててべちゃっとした食感)だったけど、飛行機の中でこんなのが食べられるなら十分っていうおいしさ。ごちそうさまでした。あと耳栓、歯ブラシ、アイマスク、靴下がアメニティとして配られて、着陸1時間前は蒸しタオルを渡してもらえた。

そしてはるばるかけて無事到着。空港ってのはどこも広いもんだね、成田もそうだったけど、イミグレ&荷物受け取りロビーまで歩く歩く。降り立っただけでは日本と景色は変わらず、だだっ広い空間にカフェや売店が並んでいる。

極め付けはトイレだ。わたしがそもそもここドバイを初めての海外の地に選んだのは『鍋に弾丸を受けながら』という漫画を読んだためもあるのだが、そこに書いてあった「ドバイはいろんな国のいいものを全て輸入している」。そう、トイレ(ウォシュレット付)と洗面台は全てTOTO製でした。違和感…!仕事して!今のところ私まだ日本だよ。ちなみに空港に備え付けの時計は全部ROLEXだった。

しかし、イミグレにいる役人っぽい男性を見て、遂におっ!となった。みんなカンドゥーラを着てゴトラにイガールをはめたものを被っている。あの全身白いやつね。わー!ほんとにあの格好してるんだ(失礼な言い方だ)。でも日本の入国審査の男性がもし和服着てたら多分外国の人、ワオ!サムライー!ってなるでしょ。そんな感じ。わたしを担当してくれたのは女性で、アバヤにヒジャブ。何も聞かれずに、24時間限定のお試しfree wifiのSIMカードを挟んでパスポートが返された。返された手には、とても綺麗なヘナタトゥが入っていた。

到着したの4:30、荷物受け取りなんやかやあって空港ロビーに出たのが6時前。市内に直通の電車あるからもう乗れるけど、行ったところでモールやらなんやらが開くのは9時か10時くらいなので、空港内のスタバでしばし一服。Latte, Decaffeinated, Non-fatでオーダーすると、マジでいつものやつが出てきた。スタバの味は世界共通でスタバ。なんも変わらんのすごい。

これから市内で3日間過ごすホテルは駅直結のモールのすぐ隣にあるところなので、ちょっと早めに行ってアーリーチェックインできんか聞いてみたら、あと1時間くらい待ってくれたらいけるよー、荷物だけ今預かるよ!って言ってくれたので、サコッシュだけ持ってモールへゴー。基本的にモール、めちゃ広い。恐ろしく広い。いろんなエリアに分かれていて、謎のでっかいオブジェや装飾がちょっとしたテーマパーク感を醸し出している。まずはファーマシーに入って色々見ようとしたら早速笑顔でアラビア美女が話しかかけてきた。でもThanks, but no thanksというと、引いてくれる。この言い方、この状況で使うのに適してるかどうか知らんけど、昔読んだ山田詠美さんの小説に出てきたので活用。あと化粧品関連で言うと、セフォラがあったんだよ!!!感動!いつもネット越しでしか買い物したことないセフォラ本物だー!でも規模小さめだったのと、現地の美容男子っぽいのが接客したそうにこちらを見ていたので素通りした。へへ。

モールのほとんどはファッションだけど、まあ多分私は着ないだろうな…っていう感じの服が多い。グローバルブランドだと日本からは撤退してった懐かしのForever21、あとH&Mは入っていた。香水ショップも多くて、独特の甘い香りを出す小さなお店がそこかしこにあった。1番興味深かったのは本屋!モールの中の本屋だからなのか、観光客向けなのか、基本的に置かれているのは英語の本。アラビア語の本は『アラビア語コーナー』って感じで店の奥の一角にちょこんとあるだけ。そのアラビア語コーナーではまずいろんな色、装丁のクルアーン(聖典ですね)が置かれていて、風格があって美しかった。あとは普通に現代小説っぽいもの、歴史書っぽいもの、なんか偉人を讃えてる系、自己啓発など。アラビア語の教科書ないかな、と思ってみてみたけど分かりやすそうなのがなかったので諦めた。ちなみに唯一日本の本があったのが水木しげるの「昭和史」という漫画。なぜそこにいったんだ。

本屋には文房具コーナーが併設されていて、ワクワクしてみてみたけど、UAEでは作られていないっぽくて、基本的に輸入品。ファーバーカステルとかモレスキンとか日本でも見るようなやつが置かれていた。筆記用具コーナーはほぼ日本企業の製品、三菱、ぺんてる、Pilot。鍋弾理論(ドバイはいろんな国のいいものを全て輸入している)で言うならば、今のところ、トイレと筆記具と車はめちゃくちゃ信用されているみたいだ。そう、書き忘れてたけど道路を走ってる車の8割は大袈裟じゃなく日本車だった。

モールにはでっかいカルフールが入っている。これはきっと入ったら沼だ、と思ったけれど我慢ならずに入ったら、目に入るもの全部がやっぱり面白くて、ただ見て回るだけで1時間くらい消し飛んだ。海外のスーパーの規模感が物珍しいのはもちろん、中東ならではっぽい商品構成が面白い。香辛料はパッケージに入っているものはスペースの棚全部占領していたし、それとは別に量り売りでいろんなものが盛られている。なつめやし(デーツ)だけでもいろんな種類があって無限に並んでいる。あと乳製品!ヨーグルトが豊富、チーズの種類も無限、豆腐みたいに水に浸かった状態で量り売りしている店もあった。日本のカルフールでもよく見るヨーロッパ製品も普通にいっぱいあったけど、当たり前だけどちゃんと現地化していて、中東のローカル食材が殆ど。ということは…?そう、豚肉は一切見ない。ハム、全部チキンかターキーで置き換えられている。牛肉製品も普通にあるけど、どちらかというとチキンの方がメインっぽかった。そしてそういう肉系のやつは、ちゃんとハラル対応してますよっていうマークが書き込まれている。でもね、世界の食材コーナーがあってそこに日本のものもちょこっと置いてあったけど、とんかつソースあったんだよw まあソースに豚成分は入ってないから本質的には関係ないけど、とんかつの意味知ったらひっくり返るだろうな〜

感動したのはパンコーナーにチャパティとかナンっぽい、平べったい粉もんがたくさんあったこと。焼きたての小麦粉の香り!美味しそうなので、この平たいブレッドと、Rabnahっていう初めて目にした乳製品と、ターキーハム、フレッシュジュース、インド産のインスタントカップ、Dalって書いてあったから豆の何かだと思うんだけど、それを買って帰った。

お昼はフードコートでチキンサンドとレモネード。現地っぽいファーストフード、普通にめちゃ美味しい。ちなみにここまでの支払いは全てカード。もう全部カードで済ませる気でやってきたけど、明日はスパイスマーケットに繰り出したいので、少額は現金にしておきたい。というわけで、モールの両替コーナーへ。米ドルとディルハムは固定レートなので、出がけに成田で交換しといたドルのうち半分くらいのお金をディルハムへ。ディルハム、余っても日本円に替えると損失が大きいっぽいので、とりあえずドルも保有しておくことにする。

そしてなんやかんやで、ホテルに無事チェックイン。十分な広さだし、清潔感がある。過不足なく手頃な感じ。一泊6千円くらいだったと思うけど、ここにしてよかった。ひとつ気になることがあるとすれば、モールに入った時も思ったけど、独特の匂いがある。これはこのホテルがというのではなく、ドバイに流れている共通の匂い。ちょっと甘ったるい、いかにも暑い国という感じの香り。香水なのか、ルームフレグランスなのか、なんなんだろう?旅が終わる頃にはこの香りにもすっかり慣れているんだろうか、などと考えている間に、いつの間にかベッドに吸い込まれて深い眠りに落ちていた。

@hhhhh
トーキョー在住 ふらふら