引っ越しの時にぶつけたらしく、膝に紫色のあざがある。赤黒い部分を青で縁取った見事なあざだった。何がどうしてこうなったのか全く覚えていない。引っ越しから十日以上経ったがまだ残っている。今も、テーブルの前で行儀悪く片足を組もうとしてあざの部分をぶつけた。その痛みで思い出した。
今日は朝から本棚の場所をずらしてソファのある方へ持って行った。少し綺麗に見えるから、本はなんとなくグラデーションで並べている。欲しかったIKEAのソファは、わたしが買ったものの他に革張りとか布張りとかあって、だけどわたしは絶対に青のベロアがよかったのでそれにした。欲しかったソファの色に合わせて一階の壁もテラコッタ色にしたわけだし、ゆずれないところだった。だけどなんとも。毛や埃が目立つ。気になるので半分はラグをかけている。ラグを外すと、普段かけているところとかけていないところがはっきりわかるほど。座り心地は良いけれどそこだけが難点───なのだが、わたしはきっぱりと機能性より断然ルックス派なので今日もせっせとガムテープをまるめたやつでぺたぺたと埃を取っていた。外見が好きだとだいたいなんでも許せるのでお得だと思う。ぺたぺたしたら綺麗になったので、そこに座って本を読んだ。ソファ周りに本を置いたら完全に読書スペースになったかんじがしていい。スタンドライトがふたつ届くので、それを置いたらもっとしっくりくると思う。昨日は壁に絵を飾ったりスワッグをかけたりしていた。どんどん自分好みに育てている感じがあって楽しい。
居心地がよくなったリビングにずっといる。仕事部屋を作ったのに一階にばかりいるから、そのうちプリンターも下ろしてきてしまうかもしれない。
本棚の中にある短歌の本について娘と話していた。「意味わかんねえ〜なんて思いながら読むとマジで意味わかんないんだけど、作者がどういう気持ちで書いたのか想像することはもちろん、こういう短文詩は読み手の主観でどこまでも広がるから、頭の中でストーリーを作っちゃえるし自分のシチュエーションに落とし込めたりして、むしろ代弁してくれているような気持ちになるから楽しいんだよ」なんて言いながら取った本の中にある短歌を紹介しようとしたら、たまたま開いたページがどれもマジで意味わかんない暗号のようなやつで困った。わたしがもごもごしているのを娘は観察し、「なるほど……」と呟いたので、ふたりで顔を見合わせて爆笑したのだった。