漫画 / 河内遙先生大好きっ子委員会 (その2)

hibi
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河内遙先生に捧ぐ 勝手気ままなロングロングラブレター、おひさしぶりの第2弾です。

便利な世の中になったおかげで、最近では河内先生のお声なんかも配信されちゃうわけでして、こっそり聴いてはニマニマムフムフ。ご自身でも仰っているとおり、先生はとても感激屋さんなのですが (涙が似合う河内男子の原点はここかなっ) 、 そんな先生のお話を聞いてるだけでこちらまで胸がじんわりしてきちゃってもうダメ…!並べる言葉のひとつひとつが誠実でいて切実。なんとも心に訴え掛けてくるのです……ほんとうに。

伸びやかに 細やかに

河内作品を読みながらつねづね思うのは、キャラクターたちの躍動感。コマから飛び出る勢いで大きく豊かに動きまわるその姿。ふとしたはずみで こちらの世界に転がり落ちて来そうだなって、すっごくワクワクする (受け止める準備はできてる)。

《ぐずぐずの片思い (両片思いだと尚よし) 永遠に見守り隊》所属のわたしですが、これにピンときた方は河内作品との相性抜群◎ 個人的には 「心に感情が芽生え、熟し、恋へと移り変わっていく……」 そんな内面のグラデーションと、それがどう行動に結びつくかのせめぎ合いこそが恋愛の醍醐味だと思っているので、そこを掘り下げつつ片思い状態を丁寧に描いてくださる河内作品が大好きなのです。これについては 「なかなかキャラが惚れないスロースターター」 だとご自身もお話しされていたのだけど、それはキャラクターとの向き合い方がとても真摯であり、また心情の取り扱いが精妙だからなのだろうと感じる。

作品にとっての漫画家という立ち位置を考えたとき、さながら神様がチェスをするように 行く末を操っていくものだと想像していたのだけど、あくまでもキャラクター主導に徹し、物語を生み出すその手が支配的にならないようにと心を砕かれる様子がとても印象的だ。できる限りご都合主義を排し 人物の在り方や言動に無理が生じないよう、そして彼らの言い分を心のままに台詞に乗せ どうにか全うさせてあげたいという心配りに、大きな愛情をひしひしと感じるのです。そんなお話しをするときの あの先生のちいさく震える声を思い出すだけで、わたしはもう……もうっ……!

ダイナミックな線に大胆なストーリー。しかしそこを繋ぐのは あまりにも繊細な息づかい。やさしい鼓動。そのギャップともいえる高低差が、たとえようのない大きな魅力を強く柔く織りなしているように思うのだ。

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さてさて。もちろん 「好きなものから読んだらいいよ!」 と思うのだけど、河内作品初心者さんにおすすめするなら……という観点からすこしご紹介してみたい。 (独断と偏見にて悪しからず!)

『涙雨とセレナーデ (連載中) 』

時をこえて、出逢ってしまった二人。

回りはじめた運命の歯車──運命の恋。

(公式サイトより)

はじめの一歩にうってつけ、比較的王道のタイムスリップ・ラブロマンス。わたしもこれで河内作品にどっぷりハマりました〜。圧倒的王子様……伏し目がちアンニュイ青年……みんな好きでしょ堪らないでしょ?なになに、興味ないって?ふぅ〜ん……そう言ってられるのも今のうちよっ、孝章様の美麗な横顔にひれ伏すがいい!──そう豪語するくらいにはお熱です/// 当然ながら再読率は堂々の1位。途中から人間ドラマが複雑化していくのも実にありがたい……心が痛気持ちくて至福。 (本当はこの辺について大いに語り尽くしたい!“あのキャラ” へのドキドキを誰かとワァーキャーしたい!しかしネタバレ厳禁につき頑張って我慢してます……大人だから……がま…ん……)

いつの時代であっても変わらないもの、変わらない気持ち。けれど、そこに横たわるのは確かな隔たりと その途方もなさ。あまりに巨大な亀裂を前に 惑い 悩み 挫けるけれど、はらはら落ちゆくその涙ですら 雲間にほころぶ光に変わる……そんな生命力にも似た芯の強さをこの作品は持っていて、とりわけ主人公・陽菜の健気さと底抜けの笑顔にはいつも勇気をもらっています。

超個人的お気に入りポイントは、スカートから伸びる陽菜の脚が細すぎないところ◎女子高生の魅力って あのほどよいヘルシーさだと思うの。一挙手一投足を懸命に振りおろし、男気すら感じる彼女にとてもよく似合っている。逞しくって、すごくかわいい。

余談だけど、どうやら4巻あたりで打ち切りの危機が訪れたらしく……ただただ解せぬのひと言。物語としても更なる勢いが感じられる展開なだけに、どこにそんな話の入り込む余地があったのか?と驚くばかり。前述のとおり、わたしは河内先生の 「設定も背景も心も全部すくい取って置き去りにしない」 という姿勢が大好きだし尊敬しているので、出版業界の事情もあるかと思うけれども、どうか幕を閉じるその日まで 先生の歩みと想いが守られるよう切に願っている。

『夏雪ランデブー (完結) 』

低温一途青年 × さっぱり未亡人 × 草食系執着霊の三者が紡ぐ純情三角関係

(公式サイトより)

はい、でました。これですこれ……いい感じに意味不明で最高に拗れてますね。幽霊も交えてのトライアングル。飛躍した設定どおりのコミカルさもありながら、なんだろうこの胸をかき乱す切なさは。

哀しみに慣れてしまうことが一層の哀しみを連れてくるのだと感じる。けれど月日は経ち 季節はめぐるなかで、心だけが留まり続けることは きっとない。どんなに辛くとも、たとえ薄皮一枚ずつであっても、心の殻は剥がれ落ち 日一日とあらたになる。なんの疚しさもない順番どおりの出会いなのに、不格好に成立した三角関係によって 当たり前のことが 「当たり前」 では済まされなくなってしまう、許されなくなってしまう。罪悪感と開き直りがまぜこぜに渦巻いて、正解も不正解も海の藻屑となりゆくような……そんな愛のざらつきが描かれているように思う。

是非それぞれの気持ちをひとつずつ感じ、その遣る瀬なさに苦しんでみてほしい。調子っぱずれな恋愛模様の影にある ぎこちない温もりを、朽ちるような絶望を、ぎゅっと手に取り味わってみてほしい。ときに強く ときに儚い、枯れてなお物言う草木を思いながら。

アニメ版も観たいなー、動いてる3人に会いたい。でもさ、、中村悠一の葉月はやっぱり危険すぎやしないか…?直視するのは無理かもしれん……心の臓が大暴れ案件 (((モジモジ)))

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ぴゃあーーどうしても長くなっちゃう。目が滑って読めないやつだわこれ。てことで、つづきはまた後日 (まだ続けるつもり!?)

@hibi
氷々|たなびく思考と偏愛のひび