あまり自覚はなかったけれど わたしはとても感覚的な人間のようで、たしかに組み上げた言葉や思考を振り返ってみても 何だかふわふわしていて頼りなげなところがある。自分本位な五感の羅列になることも少なくない。
そんなわたしの発想を すごくロジカルに肉付けしてくれるひとがいて、心底感動したことがある。おしゃべりするたび脳の端がチカチカ弾け、不意にふたつの回路が繋がったり 突然あらたな道が拓けたりするのが嬉しくて、これが ｢補完｣ ってやつなのかと……その威力を思い知るような気持ちになった。
｢木を見て森を見ず｣ という言葉があるけれど、わたしは得てしてそんな具合で、いつも顕微鏡を覗くように過ごしている。それが、あたかも望遠鏡の世界に誘われたかのように 広がり まわり ほどけていくのだから､､ほんとうに驚いてしまった。これまでいろんな出会いがあったけれど このような感触を得られることは珍しく、自分よりもうんと若い子をこんなに尊敬したのもはじめてだった。
残念ながら縁が途切れてしまい、もう話すこともないんだろうと淋しく思うけれど、もらった言葉とそのときの喜びは まるごとぜんぶ覚えている。心からありがとうと言いたい、ずっとずっと忘れない。