無数の月日を紙屑みたいに丸めては捨て、丸めては捨て。気づけば山のように降り積もった未完の日々、その愛しき残骸たち。
わたしはこの《日の目を見ぬもの》や《過ぎ去った時間》に名前をつけてはいないのだけど、ときどき勝手に名づけられ心底驚くことがある。その名のもとに注がれる励ましや慰めを下手な笑顔で受けとめるばかり、お礼も反論も並べることができなくて。情けないことだと思いながらも無言の肯定を貫きたかった。わたしだけは、わたしのために。油断すれば容易に朽ちてしまう、そんな愛しき残骸たちへ。
別れの手順を描いていくのはとても怖くて億劫で、線を引いては目をつぶって、ずっとそれの繰り返し。宝石なんて夢のまた夢、くたびれた毛布や綿の飛びでたクマちゃんみたいに わたしの一部に成り果てることすらできなかった哀れな愛しき残骸たちよ──。
名残惜しいけど、さようならだ。
ごめんね。そして、ありがとう。