実のところインスタを覗くのが好きだった。
発信するのは苦手なのでアカウントは持っていないけれど、誰かの風景やお気に入りを分けてもらうのはとても楽しい。随分とむかしから親しんでいて、情報収集にも大いに活躍してくれた。あのイラストも、あのアクセサリーも、そこから掬い上げた奇跡だった。
ところが、部外者にとってはだんだんと居心地の悪い仕様となり、検索機能が制限されてからは 自分のなかではあまり意味を成さなくなってしまった。いまとなっては閲覧することすら容易ではなく、ほんの数人の出来事を勝手気ままに見守るばかりのツールと化していたのだけど、ここへ来てついに完全シャットアウトとなったようだ。曖昧に繋ぎとめた借り物の陽だまりは 無言のうちに姿を消した。あまりに突然で あまりに呆気ない。そりゃあそうだ、部外者だもの。思い返せば 𝕏もそうだった、どの媒体もいつの間にやらそのような傾向を辿っていく。当然の帰結とわかっていても、それでもさみしく思ってしまう。わがままだけれど、さみしいんだよ。
大好きだったブログが跡形もなく消えた日のことをずっと忘れられずにいる。あの、生活から何かが欠落したような隙間風をいま、ふたたび感じている。残念だ。みんなの物語はまだまだ続いていくっていうのに。
だからといって今さら登録するのもなぁ……など思いながら、迷いの春だけがひたすらに流れ落ちていく。
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あなたの晴れの日に 雨の日に、心からありがとう。明日からもどうか愛しの日々を。