冷たい水の中をきみと歩いている。水は踝の辺りまでしかなくて、歩くとちゃぷちゃぷと軽快な音を立てる。真っ白いドレスを着たきみもわたしもひとことも喋らず、手を繋いだままゆっくりと歩いている。
しばらくしてきみが、帰ったらパンケーキを食べたいと言い出す。
ホットケーキでもいいや。
どう違うの?
分かんない、でも甘いのがいいな。はちみつとバターがたっぷり乗ってるやつ。あとホットミルクも。
空は青く晴れ渡り、気持ちのいい風が吹いていて、きみのドレスの裾をはためかせている。きみは焼きたてのパンケーキと温めたミルクのことを思い浮かべながら、わたしはパンケーキの材料が家にあったかどうかを頭の中で確認しながら、冷たい水の中をふたりで歩いていく。