冬の夜が好きだときみが言う。正確に言えば冬の夜の空気が好きなのだと。キン、と冷えた空気が澄んでいて、星が一層綺麗だからと。
そんな冬の夜道を二人で歩いている。吐く息は白く、きみの頬は紅い。コンビニでも寄ろうか、と言いかけた時、あ、と言ってきみは夜空を指差す。
「見て、オリオン座」
晴れた夜空にはっきりと見えるそれを、一緒になってしばし無言で見上げていた。
「死んだら星座にしてあげるって言われたら、何座になりたい?」
「何座って…そんなの自分で決められるの?」
他愛もない会話を交わしながら、冬の夜道をきみと歩く。いつかずっとあとになっても、はっきりと思い出せるように、全部を頭と心に焼き付けながら。冬の夜、冷たい空気、きみの紅い頰、そしてオリオン。
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時間があるときに思いつくまま、あれこれ文章を綴っています。稚拙ながら形になったものを、小出しでここに載せていきます。