冬の訪客

Chiaki
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帰ってしまったと思っていたツグミがいた。庭にすくっと首を伸ばして佇んでいる。

秋から冬にかけ、夏には姿を消していた野鳥をよく見かけるようになる。よくいるのはシジュウカラ、メジロ、キジバト、ヒヨドリ。たまに訪れるのはエナガにコゲラ、ジョウビタキ、そしてシロハラにツグミ。

数年前から去年まではシロハラが住み着いていた。ツグミと同じ冬鳥だ。隅に集まった落ち葉をがさごそとくちばしで突いてはまぜっ返して虫を探していた。庭のあっちからこっちまでを往復しているようで、本当にここをねぐらにしているのか?と思うほどよく姿を見かけた。こっそり名前をつけて毎年訪れるのを楽しみにしていたのだが、今年は来なかった。大好きな落ち葉が少ないからかもしれない。

代わりに今年はツグミがいる。ととと、と歩いては立ち止まり、たまに地面をつついてはまた、とととと、と歩いてぴたり立ち尽くす。黒い頭に白眉、背中は赤茶色で白いお腹は斑模様。よく見かける面子と比べると派手な印象を受ける配色。シロハラもツグミも、あまり身を乗り出して見ているとささっと茂みに隠れてしまったり、ぴゅいーっと低空飛行で逃げてしまうのでそうっと物陰から観察する。

再び庭を見ると、もうツグミの姿はない。とことこ歩いているのはキジバトだろう。遠くで自転車のブレーキのような甲高い鳴き声がこだまする。あれはそろそろ冬国に帰るジョウビタキ。姿はどこにも見えなかった。

じっと佇むツグミ。図鑑によると4月まではいるらしい。長いと5月までいることも。10月ごろからやってくるから1年の半分はこちらに住んでいることになる。夏は涼しいシベリアやカムチャッカで過ごす。遠い旅路、行きも帰りもどうぞ安全に。

今日のごはんは餃子。手間はかかるが手作りだとたっぷり肉だねが詰められていい。大きな皮を買ったので余計ボリュームがある。デザートはサダハル・アオキのチョコケーキ。少しだけ生クリームを添えて。

@hica
思い出のまじった日記みたいなエッセイみたいなものを書いています。