冬を脱ぐ

Chiaki
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三月最後の日にはまだ10個程度だった桜の花が、この二日であっという間に半分は花開いてしまった。

ベランダの目の前に桜の木があるので窓の外が一気に春めている。ヒヨドリが花ごと食べるような雑な味わいかたで花の蜜にうつつを抜かす。電線の上では小さな豆のような影がツピツピときれいな声音を遠く遠くまで響き渡らせている。シジュウカラだ。きっとどこかで営巣を始めている。急に春だ。

次の休みにはヒーターをしまって、厚手のコートはクリーニングに出して、ニットも洗濯してついでに服の整理もして。買い換えたシーツもせっかくだから下ろしたい。カーテンも新しいのにしたいなあ。春らしいおやつでも作ってみようか。

とりあえず、この厚い靴下はもう脱いで。つま先にひやりとする春を感じて。

今日のごはんは大根とつみれの煮物。淡雪はんぺんはそのままで。口に入れたら溶けちゃってびっくりした。お菓子みたい。伊達巻はお値段で違うものだなあとしみじみ。お正月に買うものがいちばん美味しいな。練りものばっかりの食卓。

@hica
思い出のまじった日記みたいなエッセイみたいなものを書いています。