気がついたら前回のひだりさんの日記更新から三ヶ月近くが経っていた。元々「最初はちょっと頻度上げて、その後はゆったりやろう」と決めて始めたものではあったけれど、にしてもなかなか、結構空けてしまった。
一応そうなったことには理由があって、六月のイベント参加に向けての原稿作業に追われていた。追われていたと書くと連日モリモリ書き連ね超大作に挑んでいた、というようにとられるかもしれない。実際はそんなことはなくて、「ウン年ぶりにお話を書く」という状況に気負いまくって、呻き続けているうちにこれだけの月日が経ってしまった。でもなんとか書けたのでよかった。書いてる期間は鬱陶しいくらいめそめそしていたけれど(書いている最中ってこの世で一番自分のこと嫌いになりません?)書き上がるとスカッと爽快、うーん楽しかったー!と笑っていた。書き終わる確信を持った瞬間に数日前まで抱えてた感情の一切を失うの、毎回わけわからないし面白くて謎。でもそれよりも気持ちよさが勝ってしまう。
そんなこんなでなんとか設定していた締切までに初稿を書き上げ、ゴールデンウィーク前半はひだりさんとの二人旅行を満喫し、今に至る。今は目薬が欲しくて眼科に並んでいる。えらい行列でビビり散らかしてる。これ何時に帰れる?
そう、今年のゴールデンウィーク前半は旅行に行ってきた。今回はその時のお話を書こうと思っている。とはいえ旅レポを面白おかしくきれいにまとめて書ける自信は全くないので、今回の旅で行ってよかったところなどの紹介に焦点をあててつらつら書いていけたらと思う。
今回は名古屋・静岡を移動する四日間の旅だった。元々「相良油田に行きたいね」と話していたところで、前年度の戦隊ものキングオージャーのツアーイベントが重なり、このような旅程となった。
以下、長文となります。読みたいところだけ読んでください。
名古屋へと向かう
まず名古屋へは新幹線で向かった。私は東京駅から新幹線に乗る時は、毎回同じ店でおいなりさんを買って食べている。新幹線旅行の楽しみのひとつだ。
◾️豆狸
一年前帰省する際に大阪が発祥であると知り、「こ、これから関西に向かうのに関西のもんを食べていたのか……」と動揺したのだけれど、ここのわさびいなりが好きなのでその後も好んで食べている。
今回はわさびいなりともうひとつ、穴子入りのおいなりさんを買って食べた。購入したあとひだりさんに「お昼にひつまぶし食べる予定なのに穴子!?!??」とたまげられた。たまげるのも無理はない。私も言われてから気がついてたまげてしまった。単純に穴子大好き!という理由だけで選んでいた。私はこういうことをよくやってしまう。(穴子いなりは甘くてとってもおいしかったです)
名古屋を巡る
名古屋に到着してからは慌ただしく、有名なナナちゃん人形がどこにいるのかもわからないままホテルへ向かい、荷物を置いて昼食、一日目のメインである目当ての本屋へと向かった。(今回泊まったホテルは今まで泊まってきた中で一番驚いた。昭和後期〜平成初期の趣をそのまま切り取り残されたような佇まいかつ内観かつ香りで、私たち二人に強烈な印象を植えつけた。お部屋はきれいでした)
本屋は東山公園駅を降りてすぐの建物の中にあった。同じ建物の下の階には喫茶店があり、本屋に行った後はそちらに立ち寄らせてもらった。
こぢんまりとした店内はぱあっと明るく(宿泊するホテルの薄暗さに度肝を抜かれた後だったので一気に光合成ができたような気分だった)所狭しと本や店舗のグッズなどなどが陳列されている。レコードから流れる心地良い音楽に身を委ねながら、私たちは様々な本を手に取った。興味深い本のタイトルが多く没頭したため、どれくらいの時間いたのか記憶がない。多分一時間……?くらい……??だと思うので標準の滞在時間だったとは思うけれど、それにしても時間が溶けるようだった。体感は十五分だった。今回は読みたい本が予定していたより多くなってしまい断念したけれど、店舗のオリジナルTシャツがとってもかわいかったので今度オンラインショップで購入させていただこうと思っている。
喫茶店はタイミングよく満席になる手前で店内に入れた。レモンケーキおいしかったなあ。レモンの香りがふわっと口に広がって、アイシングのちょっとフォークにくっつくかんじもよくて。ひだりさんが近くの席に座っていたお客さんの手荷物から「どうやら近くにパン屋がある」と推察して(探偵みたいだった)その後の目的地がその場で決まるのも楽しかった。ひだりさんは本当によく周りを見てるなあ。
パン屋さんも美味しかったです。今家にクッキーがあるけどぶりぶりにでかい。朝ごはんになる。
その後は少しだけ時間があったので別の駅まで移動して食器屋へ。私たちは旅先ですぐ食器を買う癖がある。
◾️sono
ひだりさんがうんうんと悩みに悩んで、いくつかお皿を購入していた。このあたりはおいしそうなご飯屋さんも多そうで素敵だったな。
夜はホテル近くの居酒屋で軽く飲みつつ食事を楽しみ、次の日の朝はこれまた楽しみにしていたカフェでモーニングを堪能した。
所謂名古屋のモーニングのイメージとは異なったけれど、美味しくかつ店内の雰囲気もよく気持ちの良い朝を迎えられた。ひだりさんは朝のプレートメニューだけでは足りないかも…と言って追加でシナモントーストとコーヒーをテイクアウトしていた。名古屋は鷹や鳶に食べ物が襲われるリスクが(恐らく)ないので安心してテイクアウトできるのがすごく良いなと思った。シナモントーストも一口いただいたけれど、とってもとっても美味しかった。
清々しい朝だね、最高だねとにこにこ散歩していたら歩道で堂々と居眠りをするおじさんを見かけて何もかも台無しになったのも良い思い出だ。確認したところちゃんと呼吸はされていたので安心したけど怖かったしびっくりした。名古屋の全てをおじさんが持っていってしまった。そんなところで寝ないでください……。
キングオージャーのイベント(FLTと言います)は喉が枯れそうになるまで叫んだ。
静岡を巡る
名古屋からは新幹線ではなく特急などなどを利用して移動した。半分眠っていたので殆ど記憶がない。浜名湖は少しだけ見られた気がする。
浜松からはレンタカーを借りて、目的地まで向かった。今回の静岡内の移動はほとんど車移動だ。運転はひだりさんにお任せしっぱなしだった。(私は自転車の運転もまともにできないペーパードライバーなので、車輪がついているものを運転することを自らで禁じている)私はドライブ用のプレイリストを準備する係兼道案内係だった。道案内ができていたかというと本当にすみませんというほかない。何度か色々通り過ぎたし、私は基本的に面白い看板と茶畑を撮り続けていた。反省します。
静岡一日目はホテルでゆっくりと体を休め、相良油田には二日目に向かった。天候に恵まれ行きたいところを存分に散策できたのは本当によかった。
◾️相良油田資料館
今回相良油田を目的地としたのはDr.STONEの所謂聖地巡礼だったのだけれど、Dr.STONEをきっかけに相良油田に赴く方々は多く、私たちも資料館の方に「Dr.STONEですか?」と声をかけていただいた。はい、Dr.STONEです。
資料館内にはDr.STONE向けのコーナーもあり、資料館の方のお話も興味深く面白く、大変充実した時間を過ごすことができた。たたらを踏んだりできたの楽しかったな……。資料館に行った後には深谷の油田にも赴いたのだけれど、ここはもう完全に登山(正確には油田へ向かうためにゴリゴリの山道を下った)だったので前日雨が降らなくて本当によかったと思う。生い茂る木々の中、風下に立つと鼻先を掠める石油のにおい。ストレートな感想を言ってしまうと「え!?地球、何?!?」と思いながら油田の周りをうろうろした。
油田から地上に戻るとき、気合を入れるためになぜかNODA・MAPのQの台詞を曖昧に繰り返していたのだけれど(とんとんとん、なんの音?お化けの音。ああ、よかった)朧げだった台詞が地上に近づく毎に鮮明になっていく過程が冥界からの帰り道を思わせて、オルフェウスの役作りをする時は油田にくるのが良いのかもという天啓を受けた(?)
静岡二日目の昼食はかの有名なさわやかへと向かった。これは計画をしていたわけではなく「いけそうだし行こっか」というノリで向かったものだったのだけれど、これが大正解だった。
◾️さわやか
深谷の油田でガクガクになった体に、100%の牛肉は最高のエネルギーだったのだ。私たちは夢中で食べた。貪るようにハンバーグに、目の前の肉に食らいついた。一緒に頼んだ季節のサラダとオニオングラタンスープも、無我夢中でたいらげた。いただきますと言ってから食べ終わるまでの間、私たちは確かに幸福だった。食べている最中、さわやかとは別の、以前行って感動したお店のハンバーグを思い出したりもした。そのお店はさわやかとは違い豚肉を使用したハンバーグで、食べた瞬間口の中でやわらかな幸福がほどけるような、そんな素晴らしいハンバーグだったのだけれど、今回食べたさわやかと、以前食べたそのハンバーグ、どちらも頂点であり最高、最高は並び立つことができるんだ……と教えられたような気がしながら、ひたすら「おいしい」「うまい」と繰り返しながら、ハンバーグを食べ続けた。あと今サイトのリンク貼り付ける時確認したんだけど、URL「genkotsu-hb」なんだ……愛しさがすごい。
さわやかで肉を堪能した後は、近くのお店でお茶を楽しみ(茶の庭というお店でした。お店もきれいでお茶も美味しくて最高だった)、そのあと静岡第二の目的である掛川の本屋さんへと向かった。
こちらは「ザ・まちの本屋さん」で、漫画の最新刊や小中高向けの参考書なども豊富に置かれた、暮らしに根付いた本屋さんだった。参考書や漫画以外にも絵本や小中高時代の自分がいたら喜んで見て回っただろう作品がたくさん並んでいて(今の自分も喜んで見て回らせていただきました)わくわくした。私の実家はとても田舎で、子供の頃、本屋さんは親に車で連れていってもらう場所だった。高校生になってからは電車を利用するようになったけれど、学校の周りには民家と畑しかなかったので(入学説明会の時に、学校の周りには何もないのでお弁当だけは絶対に忘れないように、と言われるほどだった)、学校帰りに町まで出るしか行く手段もなかった。町に出るにも定期圏外だったし、電車も一時間に一本しか走っていないので結局頻繁には行けなかった。こんな本屋さんが家の近く、せめて学校の近くにあったら出会うものも変わったのかもしれないなあ、と思わせてくれる、そんな本屋さんだった。学校の図書室も大好きだったし、家に本はたくさんあったので、あれはあれで楽しかったけれど。
お店の方も柔和でありながらしっかりと背筋の伸びた雰囲気の方で、いろんなお話を聞かせてくれた。掛川の中に二宮金次郎(二宮尊徳)さんの教えが深く根付いていることや、ご本人も参加されたZINEもくださり、これから知れることがいっぱいでハッピーだった。私は何ひとつ話を広げられなかったけれど(人見知りというレベルではないだろうといつも思い反省する)、素敵な本屋さんだなあとにこにこしながらお話を伺っていた。
高久書店さんは御書印にも参加しているお店だったので、喜び勇んでいただいてきた。二宮尊徳さんのお言葉を載せた、お店と掛川という地域の色を感じる素敵な御書印だった。御書印楽しいから、もっとお店が増えてくれたら嬉しいなあ。
ちょっと書くの息切れしてきた。最後にもう一つ、素敵なお店に行ったので紹介をしたい。因みに眼科は10時に行って13時に診察に呼ばれた。たくさんのスタッフさんが早足でクリニック内を動き回っていた。いや本当にお疲れ様です……。相良油田までのところは眼科の待合室で書いています。
日付が変わって静岡三日目。この日はレンタカーの返却と新幹線の時間があったのでその時刻に合わせて移動。ひだりさん本当にありがとう。浜松に戻る前に、ひだりさんが見つけてくれた古民家カフェで昼食をとった。
私たちはEテレで放送されているふるカフェを時折楽しく見ているのだけれど、とこ十和はまさしくふるカフェに出てきそうな佇まいの、This is 古民家カフェだった。頼んだ和食膳も、量やお味もちょうど良くてほっとする。今の季節限定でご飯は筍ご飯になっていて、私たちはほく……ほく…ムシャ…もぐ……と優しいお味を楽しんだ。昨日さわやかのハンバーグを貪り食った人間たちと同一人物とは思えない。さわやかでの作画がちばてつや先生なら、とこ十和の私たちは小山愛子先生。最終日に相応しいお昼ご飯だった。
本当はこの店の近くにあるカフェにも行きたかったのだけれど、開店時間が予定と合わず断念。ヤギのロゴがかわいかった……。
浜松に到着してからも可愛いカフェでゆったり休憩をとり、新幹線で爆睡をして(今回の旅、富士山を一度も見かけていない)自宅へ帰ってきた。全体を通して楽しい旅だったけれど、家のお風呂に入った途端「家ってサイコー!」と思った。やっぱり家は最高。
以上が旅の記録となる。取り留めもなく決して読みやすいものとは言えないけれど、この旅の中で感謝したいものや切ない気持ちになったものなどを忘れないようにここに記したり、心に留めるためにあえて記さなかったりさせてもらった。楽しい旅行でした。GWも明日から後半、なんやかんやと予定が詰まっていて嬉しいやら体力が持つやら、といったところなので、今日この後はせめて、と、あったかいものを飲んだりお風呂に入って「家ってサイコー!」と叫んだりしてきます。あと今日も足のマッサージはしておこう……。