ASCONEいってきた

hideh_1231
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ASCONEに行ってきました。

自分の記憶をつなぎ止めるために書いているので、読みづらかったらすみません。自分は申し込むときに他の人のフォーマル参加記を読んで参考になったので、ゆるふわ(=あまり推敲していない)で書いたものを公開してみます。誰かの役に立てば幸いです。まずいこと言ってたらコメントください、消します。

参加前

過去2回申し込んで毎回落ちていたので、今回もダメかなと思ったら補欠合格でラッキーなことに参加できました。ありがとう科研費。

名前・所属を隠して知識も問わず内容が面白いかどうかだけで合否判定(倍率n倍!)するらしいので、自分が面白いと思っている脳に関することを上っ面ではなく具体的に熱く語るといいのかもしれません。僕は今年読んだfMRI論文で面白かったものを題材に、以前読んだときに考えていたことをひたすら書いてました。締切3時間前に気づいて焦って電車の中で書いたとも言います。会の途中で他の人の書いた内容を質問したりしてたのですが、それぞれバラバラで面白かったです。

その後は補欠合格で、今年もダメだったかと思ってたら来ていいよと言われて参加できました。ありがとう科研費、ありがとう神経回路学会。

1日目

英気を養いつつ会場に向かいます。

最寄駅に着いて送迎バスを待っていると、それっぽい人たちがゾロゾロと集まり、初見特有の様子見とそれを打ち破る挨拶大会があったりして面白かったです。

良さげな会場に着きました。ここに無料で泊まれてしかもで面白い講義を聞けるなんて、ASCONEすごすぎる。

窓からの景色。やばくないですか???

深井先生の講義

1日目はOISTの深井先生による講義。『機械学習 ✕ 脳科学:学習と記憶のメカニズムから』。ASCONEの講義は、最初に1時間程度の基礎的な講義をしてから、2時間程度のグループディスカッション、その後発表、30分程度の発展講義というシステムでした。

様々な学習則に関するシミュレーションの内容を基礎がわからない人にもわかりやすく伝えてくださいました。こちらの映画を見るのを講義にしてもいいぐらいおすすめということだったので、リンク貼っておきます。

グループディスカッションですが、僕の班では意識研究をどう神経科学に落とし込むか、AIは意識を持ちうるかを議論しました。そもそも意識とはなんぞやといったところから議論が始まり、植物状態の事例を例に議論したりしていました。それぞれのバックグラウンドが違うためか、それぞれの意見が思いもよらない議論につながったりして面白かったです。

議論の途中で食事を挟むのもASCONEの特色でした。議論が白熱してなかなかご飯を食べに行かないからか、毎度hr先生がぬるっと現れてごはんですって圧をかけにいらっしゃったのが面白かったです。

その後発展講義として、先生の最近の研究を取り上げつつ、他にも海馬におけるナビゲーションのための地図生成についてのシミュレーション研究についての話があって、シンプルなシミュレーションからグリッド細胞のようなものが形成されるというのは興味深かったです。

講義終了後は風呂(温泉が豪華で最高でした)に入って就寝...する人もいれば、運営の先生らの部屋に集まって夜通し飲み会しながら議論をしたりしていて面白かったです。この日は確か自己紹介がなかなか進まなくて話し込むというあるあるが発生していたりしました。

2日目

朝食バイキングが非常においしい&部屋から見える太平洋がとてもいい(写真撮るの忘れた)。地元のごはんがバイキングにあって、それぞれとてもおいしかったので、ASCONEがなくてもおすすめできるホテルだと思います。

毛内先生の講義

2日目は10時から講義スタートです。何人かゾンビ状態に見えましたがきっと気のせいでしょう。お茶の水女子大の毛内先生はアウトリーチをされているのでみなさんご存じかもしれません。最初の院生のうちにアホなことをした方がいいという話が印象的でした。房総半島さいころチャレンジやママチャリチャレンジは楽しそうで羨ましかったです。アウトリーチについてもとにかく発信することが大事という話で、参考になるなと思いました(そのためこの文章を書き始めたというのもあります)。

毛内先生の話のメインとしては、脳は神経細胞だけで働いているわけではないということを、ここ10年ぐらいの論文をもとに講義されました。特にグリア細胞の話が興味深く、自分もグリア細胞の働きについてより深く知りたいと思いました。

課題も面白く、脳が生きているとはどういうことかといった内容でした。度の班もまずは定義から考えてみようと、脳とはそもそもどの範囲で、生きているというのはどういった状態か、現状の脳死判定の情報を合わせつつ考えていきました。ASCONEでは、こういった答えのない問いについて気兼ねなく議論できてとてもよかったです。

山下先生の講義

お昼過ぎからは国立精神・神経医療研究センターの山下先生の講義でした。元々臨床をずっとされていて、途中から研究の道を志されたそうです、すごい。計算論的精神医学の話がメインで、これまでの診断基準の問題点やそれを改善するためのアプローチについて話されていました。根本的には、同じような症状が異なる遺伝子に起因していたり、ある遺伝子が異なる症状を引き起こすといった問題があるとのことで、この分野の研究の難しさがひしひしと伝わってきました。こうした症例に対して計算論を利用することで、実際の行動の結果をかなり予測できていて興味深かったです。来春に計算論的精神医学のセミナーがあるらしいので、興味ある方は是非。

課題は、計算論的精神医学の各アプローチの長所・短所とそれらを生かすにはどういったものにアプローチすればいいか、進めるべき方向性などを議論しました。これまでの課題よりは曖昧ではなかったのですが、それでも問題を整理して議論をするのは難しかったですが面白かったです。議論する上で講義の内容を理解しきれていない部分をお互い教えあったりもしていて、とてもよかったと思いました。

この日の講義終了後も夜遅くまで先生の部屋でだべりつつ、他の参加者や先生と話していました。途中で学生だけで集まっていたときに、よい質問とは何かといった議論が生じたりしていて、普段ラボではなかなか話せないようなことも酒と眠気の力で話せて楽しかったです。

3日目

午前中はポスターセッションと周辺(車で40分は周辺...?)散策をしました。自分もポスターを持ってきていたのですが、他の人の話の方が聞きたかったので周りの面白発表を見ていました。面白い。

周辺散策は少し南に下った場所で行いました。こちらは月の砂漠?砂丘?らしいです。

シルクロードっぽさがある。

快晴でとてもよかったです。

丘の上にも上ったり。

こちらで集合写真を撮ったので、その写真は後日HPにアップロードされるんだと思います。たぶん。何人か睡眠不足で参加していなかったので、彼らの取り扱いが気になるところです。卒業写真スタイル?

濱口先生の講義

気付けば後半戦です。4つ目の講義は京大の濱口先生。元々理論屋さんだったのですが、実験にも足をのばしたそうです。予測についてのお話でした。能動推論の話が出るのかと身構えていたのですが、というよりも最近の先生の論文の話につながるような予測を必要とする行動、意思決定についてのお話でした。強化学習から始まり、行動課題をどう設計するか、それをモデルにどう落とし込むかといった話が興味深かったです。また、これらの行動は予測が「必要」なのか、それとも予測が「効果的」なのかといった議論が面白かったです。

課題は、予測が必要な認知課題を一つ考え、これを解くアルゴリズムを提案し、脳内での実装可能性について議論するというものでした。また課題を他の班の人に解いてもらいました。各班ユニークな課題を設計していて面白かったです。短時間で課題設計することの困難さを改めてひしひしと感じました...。

この日の夜はみなさん限界だからか人数が少なめだったように思います。この日もほかの参加者や先生と話していて、心理学について話したり、他にもみなさん寝不足で頭がガンぎまってきたからか、アンパンマンの神経科学について議論していて爆笑していました。こういうの好きなんですよね。

最終日

気付けばあっという間に最終日です。しかも日にちが経つにつれ開始時間が早まる鬼畜仕様で、開始時間に集まった人は4分の1程度でした。がんばれ。

近添先生の講義

最後の講義はアラヤの近添先生です。企業での研究の話がメインになってしまうかと思っていたのですが、普通に研究の話で面白かったです。まずはfMRIと機械学習の話から始まり、エンコーディングモデルとデコーディングモデルの概要の説明がありました。そこからは先生の過去の研究である価値への変換の脳内表象の話へと移っていき、deep learningとの関係についても話されていました。個人的にはprincipal gradientの話が好きです。

たぶんこの辺

課題は脳とANNの対応を付けるとして、どういうモデルとどういう認知機能の対応を見てみたいか、どういうモデルは脳と対応が強そうあるいは弱そうかといった議題でした。いくつか面白いアイデアがあって、普通に自分で研究しても面白いなと思いながら議論していました。

おわりに

とそんなこんなであっという間にASCONEが終わってしまいました。参加者のみなさんと連絡先も交換して、このつながりは今後も続いていくのかなと思うとなんかエモい。あと自分以外の他の参加者のみなさんが優秀すぎてやばかったです。なんでそんなこと思いつくねんとか、情報の整理やら質問がうまかったりとか、物知りすぎだろとか。そういった人らと知り合えただけでも宝物です(ここがポエム)。とても充実していて楽しかったので、脳にめっちゃ興味があって、理論やヒト・マウスといった動物種の神経科学どちらにも興味がある人は是非参加してみると幸せになれると思います。また、いろんなバックグラウンドの人がいて、下は学部2年から上はPDの方までというように、知識の多寡を問わない、でも皆が積極的で情熱的な人が集まって議論する環境はなかなかないと思うので、みなさんも是非。募集は10月頃にさらっと行われるので、その時期はTwitterの #ASCONE を要チェック!

このようなとても楽しい会を企画・運営して下さったみなさんありがとうございます。ありがとう神経回路学会、ありがとう科研費。

僕はそのまま基礎心に参加して、そちらはそちらで面白かったのですが、その話はまたどこかで。では。