チケット戦争と表情管理、その解釈は地雷です

hifuu123
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創作をするタイプの人間だからか、それとも文学部卒だからかとにかく言葉の成り立ちや意味を調べるのが好きで、特にインターネットでよく見るネットスラングやバズワードを見てアレコレ考えることが好きだ。余談だが私はなにか仕事や創作で書き物をする時、語彙が出てこない時は日→英→日で調べてみたり、英語だとこういう意味なんだよな〜みたいなことを日本語に戻したりすることが多いのだけれど、日本語のバリエーションの広さと英語の一つの語句が持つカバー力にいつも感心してしまう。その割には誤字脱字誤用しがちなので、ほとんど趣味のようなものなのだけれど。

皆が知っている通りインターネットでは短くて強い言葉、キャッチーで目につくフレーズが好まれやすい。例えば最近ちょっとギョッとしたのは「チケット戦争」。(意味はみんな理解しているはずなので割愛)これはオタク界隈特有なのかもしれないけれど、〇〇戦争、地雷、〇〇難民、人権がないなど、戦争にまつわるようなネットスラングをよく見かける気がする。まぁランチ難民とかは普通に使うかな…?地政学的にも非日常になりやすい戦争がミームになりやすいのかも、普段目にしないし…とぼんやり思っている。ただ昨今の世界情勢を考えると割とセンシティブなワードになりつつあり、使い方を気にする人も増えているようだ。ちなみに、日本人にとって割と身近な自然災害系のミームってあんまり見かけないよなぁと思ったのだけれど、「ここが震源地」「台風の目」というような使い方はスタンダードな気がする。この「震源地」についても、たまたまTwitterで「最近の時勢を考えてあまり使わないで欲しいな」と言っている人がいて、なんて配慮の行き届いている人なんだろうと感心した。

もう一つ最近面白いと思ったワードは「〇〇管理」。〇〇には主に体型、肌が入りがちで、雑誌でも普通に見かけるような言葉である。最近はそこに「表情」を入れて「表情管理」とするワードをよく見かけるのだけれど、これはK-POPアイドルのパフォーマンスにルーツがあるようだ。体型や肌をベースにした言葉であるなら、これは割と今のZ世代に強く根付いているルッキズム的な要素から生まれているワードなのかもなと思う。表情だって「管理」できるのだ。自然発生的なものではなく。

もう一つ、最近は割と目にしなくなったのだが、「ダサピンク」はフェミニズムの中でもよく用いられがちだけれど、そもそもピンクにだけダサいってつけることが最早……と思わなくもない。ネットで論争されがちな女性の権利とその意識について、ダサ+ピンクが全部を圧縮して表現されているようで時々悲しくなる。そしてピンクはダサくないし、私はピンクが大好き。(パステル、くすみは除く。)

よくわからないところに着地してしまったのだけれど、しずかなインターネットはよくわからない話を書き散らかす場所だと思っているのでまあよしとしよう。上記についてわかることは私はインターネットをし過ぎだというそれだけである。ちなみに取り上げたワードを使っている人に対してどうこう言いたいわけではない。ただ、あまりにも皆が使っているからなんとなくチョイスしがちな言葉たちって、本当はもっと慎重に選ばれるべきで表現されるべき気持ちなのではないかとはよく思う。よく親が「その言葉を使い続けるとそれが普通になる」と言っていたように、スマートフォンやPC越しに使っている言葉が普通になってしまうと、それは仮想空間を超えて日常に近寄ってきてしまうのだと思う。「わかってるよ!」と子供の頃はよく言っていたけれど、わかっているなら尚更だ。それを使わないようにしようというのはとても難しい。だけど、どういう成り立ちのワードなのかということを理解するだけでも随分違うのではないかな。私も時々自分の使っていた強い言葉たちにギョッとするので、自戒も込めて。

@hifuu123
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