We should all be feminists

hifuu123
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公開:2024/5/20

タイトルは私の主張ではありません。が、私が好きな元VERYモデルのシンマイさんが着ていたTシャツのロゴより。シンマイさんはVERYデビューの時に「フェミニストです」ってはっきり公言してらっしゃって、インスタのストーリーズ質問で「なんでいちいちそんなこと言ったんですか?」っていうちくちく言葉にもうまくお返事されていた記憶がある。(返事の内容はちょっと覚えてない)っていうか公言してるかどうかはさておき、最近私は「すべての女はグラデーションあれど、うっすら全員フェミニストである」と思っているので、それこそいちいち私はフェミニストですって言わなくても公然の事実になるんではないかなーと思っている節がある。なので、最近フェミニズムを学び直していることとか書いていたのだけど面白くないなーと思ってゴミ箱に入れた。でもシンマイさんのことは書き留めておきたかったのでここに残します。

あさイチで見た「セックス経験がないこと」特集が面白かった。30代後半〜50代くらいの人間は異性間の恋愛第一主義・セックス経験をしてなんぼという価値観が植え付けられているっていうことと、05年以降はオタク・カルチャーの台頭によりZ世代前後からはその価値観が薄まってきているってことをざっくり特集していたのだけれど、ちょうどミドサーな私はどっちの価値観も持ち、その合間にいるのでなるほどな〜と深く頷くのだった。メディアリレーションで展開されるクリスマス/セックス特集も心当たりがあるし、モテ・非モテという価値観にもずっと晒されてきた。ゲストのバービーさんが「モテ・非モテというラベリングがとても便利だった」と発言していたのだけれど、今それに変わる楽なラベルが「オタク」なんだろうなぁとなんとなく思う。

今日ここに書いておきたかったのは、この恋愛至上主義的価値観と「朝ドラ」という相性である。いわゆる朝ドラのコア視聴層(30代後半〜50代)って思いきりバッティングしているんだろうなと思っている。例えばヒロインの恋愛・結婚話にはキャッキャしてしまうし(わたしも圧倒的にその1人だ)、お相手っぽい男性が出てきたら色めき立ってしまう。結婚して出産して〜という、いわゆる王道ルートの中で描かれる困難に共感し、頑張れ!と応援してしまう。つまり、ヘテロ的な恋愛至上主義という価値観が根本にある。

それを楽しむことは決して悪いことでも価値観が古いことでもない、と私は思っているのだけれど、どうしても作り手の描きたいところと受け取るマスの理解力の限界点みたいなのをここ数年感じている。例えば、おかえりモネ(2021)での菅波先生とモネちゃんの関係。後半はみんなが熱狂して「指輪はないのか」「苗字は変わっていないのか」「一緒に住まないのか」「子どもは」とTwitterに流れてきたけれど、よくよく考えたらこれも恋愛至上主義的な価値観がベースにある関係性の構築が「あるべき姿」として根付いているからなんだろうなと薄ら思っていた。

そして今放送中の「虎に翼」でも、「寅子が何を考えているかわからない」というつぶやきをここ数日見た。かつ、寅子がアロマンティックであるが故というつぶやきもちらほら見受けられる。彼女がアロマンティックかどうかはわたしも分からないが、正直世間一般的な社会活動で「わたし、アロマンティックなのよね!」と明示することってほぼないと思うし、なんならその自覚の有無すら危うい人間が世の中には今の時代でもたくさんいるのできっと分かりやすく示されることはほぼないのではないかと思う。

私たちは物語の中で何かをラベリングしたり、生活の中に物語を付保してラベリングしようとするところがある。そうするととても「わかりやすい」のだ。ネガティブケイパビリティと現代日本は相性が極めて悪いと感じるくらいに、いま自分はこういう立ち位置でこう思っているということを開示することや、分類しあうことが正しくなってしまっているのかもしれない。

寅子がアロマンティックかどうかはわたしには判断がつかないが、十分に魅力的なキャラクターであることはここ1ヶ月(たった1ヶ月!)で感じている。それでいいじゃん、とも思うが、マジョリティな価値観の中ではどうしても不透明に感じられてしまうのもまた然りなのかもしれない、と思う。これが作り手と受け手の限界点なのかもしれないな……と思った。というか、もしかしたら作り手も受け手の理解限界点の設定を考えるのが結構大変なんじゃないかなぁと思う。少なくともモネの視聴者はもし新しい形の2人だったとしてもそれを理解して受け入れられるくらいの器はあったと個人的には思うのだ。

なので、「虎に翼」はとてもチャレンジングな物語だと個人的には思っている。このドラマが終わる頃にはもっと受け手側の価値観や知識や感性もアップデートされて、さらにいろんなエンタメが増えるのかもしれないな!

ちなみにこの「限界点」については、ちょうど新シーズンが配信されたブリジャートン家S3でも同様のことを感じている。ブリジャートン家はS1からいろんな人種を出演させたり、S3では車椅子ユーザーや手話を使う貴族がなんの気なしに描かれている(そこにいるのが普通のように)が、描いているテーマがどうしてもヘテロ恋愛至上主義的な価値観なので、それ以上の配慮が難しいのかもしれないなと思うなど。もちろん登場人物同士のシスターフッドもあるのだけれど。もしブリジャートン家でなんの気無しにLGBTQな恋愛が描かれたら、それは超チャレンジングなことを達成するということなのかもしれない。

@hifuu123
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