最近ハマりにハマっている「ベイビーわるきゅーれ」シリーズの感想をまとめて書きたいなとずっと思っていたので、満を持してしずインに書きます!
私がべビわるシリーズを見始めたのは「2ベイビー」の終わった頃で、TLが「面白い映画がある」とざわざわしていたのがきっかけでした。どうやらシリーズ1作目は配信されているようだ……ということで、そこまで消費カロリーも高くなさそうだし、と思いアマプラで見ました。「(元)女子高生殺し屋二人組」という触書や、ポスタービジュアルや流れてきた色々(メイドコスチュームを着ているキャッチ―な部分が切り抜かれていた、)を見て何となく予想していたのとは違い、ガチの殺し屋バトルをしているアクション映画であること、そして若い女の子二人が主人公なのにエロやエイジズム的な消費がほとんどされていなかったことが好ましいな~と思っていました。2ベイビーも配信で見たのですが、なるほどライバルキャラっぽい人たちが出てきたんだな~仲良くなれた未来もあったのかも……くらいの解像度で見ていました。「ナイスデイズ」が公開されるにあたり、池松壮亮氏がラスボスだし見に行こうっと、くらいの気軽な感じでいたんですね。そして実際気軽な感じで見に行って、冬村かえで……となりました。
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ちょうど「ナイスデイズ」が公開されるタイミングで、テレビドラマシリーズ「ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」が始まったのですが、これも最初めちゃくちゃ気軽な感じで見ていました。ゆる~い二人の日常+おいしそうなご飯という「テレ東深夜枠ドラマあるある」で、ちさまひコンビに癒されようっと……と思っていたんですね。たぶん最後の方にナイスデイズにつながる話になるのかなと勝手に思っていたんですね。風林火山編のラストで入鹿みなみ(前田敦子)出てきたし……。
それがジョブローテ編を見て「すべて繋がっていたんか……!」という衝撃を受けました。風林火山編のラストの夏目敬もめちゃくちゃ良かったけれど、ジョブローテ編はあまりにも「社会派」すぎたし、一作目から復讐したらめちゃくちゃ筋の通っている脚本でした。例えば映画一作目の冒頭、コンビニバイトの面接を受けるまひろのシーンで嫌味っぽい店長が「10年後のこと考えてる?その仕事はこれからも誇れる?」みたいな発言をするんですよね。その時はウザさゆえに店長を脳内で殺したまひろは、エブリデイの1話で「10年後も一緒に死体凍らそうね」と言う。その際にちさとはちょっとビミョーな表情をするわけだけれど、実は「未来の話をするのが怖かった」と最終回で告白するんですね。そんな最終回のサブタイトルが「未来の話も君となら」ということで、めちゃくちゃベビわるシリーズを綺麗に纏め上げている……!と感動しました。ジョブローテーション編が始まる8話でまひろは「成長も経験もしたくありません!」とはっきりいうのだけれど、ちゃんとシリーズ全体を通じて成長・経験をしているんですよね。社会生活不適合者というレッテルを自分で貼って、この仕事しかできないから……選択肢がないから……と言っていたまひろが、同類である神村兄弟、冬村かえでとの戦い、そして日野さんとの出会いを通じて「この仕事しかできないけれど、この仕事をきちんとする」という姿勢に向き合ったのは令和のお仕事ドラマやん……となってしまいました。まあ殺し屋なんですけど……。ちさとのほうはシリーズの最初から明るくてコミュニケーションは滞りなく取れるタイプだと描かれていますが、映画一作目では本当にテキトーに花房を殺したり(テキトーだなぁ、とまひろに突っ込まれている)しているところから考えると、最終回で「きちんと自分たちの殺す相手を見極める」という選択をしたことが成長だし、何より神村兄弟との闘いの後の腹の傷、記憶が飛び飛びになってしまうなどの後遺症がある中で、「未来の話が怖い」という殺し屋としての葛藤があるのが、ベビわるシリーズをさらに身近なものとして(殺し屋の話なのに)立体的に見せてくれたのではないかな、と思います。
私が一番ベビエブで好きなのは粛清さんこと日野彰(柄本時生)です。彼が出てきたからジョブローテーション編がより深くなった気がする。「彰=明らかにして正す」という言葉通り、粛清さんの仕事を疑いなくこなしながら、誰かに感謝されるという善意を求めているという低体温な登場人物(しかもめっちゃ強い)オタクが嫌いなわけありませんよね……。「ひのまひ」コンビになってから身長差というか伊澤さんの小柄さをより感じてますます良さしかありませんでした……。同時再生スペースでは「手が血まみれになってしまったまひろの代わりにシートベルトをつけてあげるシーン」があると聞いて、ディレクターズカット版に入れてくれ……と念じております。ちなみにこのシーンでまひろが「ウェッティないんですか?」と聞いて出てこないんですけど、ウェッティは全編通じて信頼関係の度合いの象徴なんですよね。ひのまひは出てこない。ちさまひは一作目では出てこない。二作目の神村兄弟は冒頭でサラッと出てくる。神村兄弟との闘いを経たナイスデイズでは、ちさまひはウェッティ出して拭きあっているんですよ。こういう細かい描写も好きです。
日野彰の話に若干戻りますが、私がすごくナイスデイズとベビエブが好きだなと思ったのは、ちゃんと導いてくれる先輩やメンター的な人を出してきたところです。ベビわる二作目はあまりにも社会とその貧困の構造えぐ……という感想が先んじてしまうのですが、(ジョブローテーション編で出てきた手から溢れる1000万円の壁の描写と、2の定食屋の壁が対になっていると聞いてますますえっぐう……となりました)がナイスデイズは前田敦子演じる入鹿みなみ、エブリデイは柄本時生演じる日野彰が彼女たちに影響を与えるかっこいい先輩でもあるんですよね。ちなみにナイスデイズの敵役である池松壮亮合わせてこの三人は「Q10」というドラマで共演していて、高畑充希含めて「ブス会」をやっている仲良しメンバーなので、その点含めて感慨深いなと思っていました。学園ドラマやっていたメンバーが30代になりZ世代を導くような役をやっていることの素晴らしさよ……。考えてみれば冬村かえでも2人に大きな影響を与えているという点ではメンターになるのかも。笑 もし続編があるならば、いいなぁ〜と言っていた高畑充希ちゃんも出て欲しい……!そして、めちゃくちゃ個人的な話なのですが、企業で中間管理職として働いている身としては、Z世代への育成方法ってベビわるが理想なのかもな〜と思いました。「成長できる」「経験できる」というメッセージ以上に、メンターが背中を見せて「過ぎてみればそれが成長だった」っていうのが納得感&彼ら世代が求めるものなのかもな〜と。
ワルキューレは「戦場で生きるか死ぬかを選択する神様」という意味があるそうです。ベイビーという言葉がついている通り、ベビわるシリーズを通じてこの2人は成長しながら、ずっと選択の話をしていたんだなぁと改めて思います。この仕事しか、これしかできないという閉塞感からの脱却。殺し屋ジャンル(?)という中で若い視点から社会を描いたこのシリーズが、改めて大好きです!