しずかな(テンションの)インターネット

higegeschichte
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インターネットの世界に接続するようになって25年とすこしぐらいの時間が経つようだ。

そこは不思議なもので、端末のこちら側にも向こう側にも、チャットボットや自動応答システムを除いて人間と接する限りは(今のところ)物理的身体を備えた人間が当然いるはずである。

しかし実際に会って話すのではないから、どうしても情報が捨象/加工されて、実際の人物像とはまた異なったアヴァターとしての人物像がそこにはうまれることになる。

25年間もインターネットの中を徘徊していれば、あちらこちらにさまざまな私がいる。特に過激な使い方をしたこともないし、まったくの嘘の――架空のという意味で――の人格を作ったこともないから、どれも他人ではなく私であり、しかも私の中のある部分を反映したアヴァターであることは疑いない。しかもそのどれも、私としては結構気に入っていて愛着があることも否めない。私は自分の中にあるいろいろな側面を、それぞれに切りだして見せるのが好きなのだと思う。

ここに「しずかなインターネット」というツールがある。

【引用始】ここは、Twitterやnoteのような賑やかな広場ではありません。ここは、あなたのパーソナルな部屋のようなものです。部屋に文章を置き、通りかかった人が部屋に入って自由に読むことができる… そんなコンセプトで作られました。【引用終】

作成者は「この場所がしずかであること」をコンセプトとしているようだ。そのコンセプトに乗った上で、私は今回このツールを借りるにあたり、「自分自身がしずかであること」をも試みようと思う。

「自分自身がしずかであること」とは、自分以外の外部に極力ゆさぶられないで、また自分以外の外部をゆさぶろうと色気を出すようなことも極力しないで、淡々とやってみようとすること、と今は定義できそうな気がする。ここでそれをやっているうちにまたなにかが変わってくるかもしれない。しかしその変化もまたしずけさのうちにあるものだろう。

しずかであることを自分に課したときに、今度はどのようなアヴァターがうまれるのか、実在する生活のある側面がどのように描かれることになるのか、それはまだ、私にもわからない。