榊原紘 悪友

まよなか
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たぶんいちばんすきな歌集だ!!!

短歌の解釈には自信がないし合ってるか全然わかんないけどここでひっそり書くぶんにはいいかなって!完全に個人的主観で好きな歌について語ろうと思うよ。

この歌集は友人とか恋人とか、周囲の好きな人(広義)に対する愛とか情とかについて描かれた歌が多くて、好きな人(広義)に生かされている私は勝手に共鳴してしまう。すごい!こういう感情になったことがある人って世界に私だけじゃないんだ、って思えるから短歌を読むのが好きなのだ。

>キッチンと机の間にすれ違うときにまたたく遠慮のなさが

良い!!身体がいくらぶつかろうと平気ですり抜けてく仲の友人、とみた。めっちゃわかる。

>花冷えの城址できみが振り返る いつまでを早年と呼ぼうか

こんなん絶対経験したことないはずなのに情景がハッキリ浮かぶの凄いよね。なんか最近友人と出掛けてるときとかにふと、大人になってもこの関係って続くのかなとか、数年後に学生時代を思い返すときにこの場面が再生されるのかなあとか思うようになってたからかなり共鳴。そういう寂しさとか好意とか美しさとかが混在した感情。

>宇宙船みたいな水上バスがゆく なにを忘れてくれてもいいよ

わけもわからず美しい。きみと見てるこの景色もきみは忘れてゆくのかもしれないけれど、それは少し寂しいことでもあるけれど、そうやって私と過ごしたこの日々のこと忘れてくれたって別に構わない(し、私は一緒に見たこの景色これからも思い出すと思うよ、みたいなちょっとした諦念とも決意ともいえないやつ)みたいな。途中から完全に私の主観。

>大規模に塗り直されたパチンコ屋きみがふざけるため街はある

こういう、愛ゆえの因果のこじつけみたいなのめっちゃ好きなんよ!!!!!きみのために街が存在するなんてわけなくて、そんなことわかってて、でも本当にきみのために景色があるって主体に思わせてしまうくらい、主体のレンズのピントは完全にきみに合っている感じ!!!最高だ。そしてこの歌集に登場する『きみ』は、ごみごみした背景が似合うんよ!!!日常に溶け込んでるんよ!!!一般的には美しいとされないような繁華街の景色も、ありえんくらい美しく見えるんよ!!!!!爆散

>雪の染みた靴から君が伸びている そんな顔で笑うやつがあるか

靴から君が伸びているという発想。靴からだんだん目線が上がっていって、最後に顔を見ているという視線の流れが見えてめっちゃいい。

>今生を借り続けててよかったよコンビニのなかで初雪を見た

深い考察はできんけど、とにかくこの前同じようなことを思ったので。帰り道に雪が降ってきて、生きるの諦めないでよかったなって思ったこの間の私と似たような状況なのかなって。

>レジまでは担ぐよきみが灯のもとで生きてくための短い脚立

元恋人にしてもらったことがまんまこれだったと思う。付き合っている間は私があかるい気持ちを持って人並みに生きていくための土台をさりげなく作ってくれていて、別れたときには、きみはこれからも生きていけるよって背中を押してくれてたような気がしていたので。この歌集を買った当初は気にも留めてなかった歌なんだけど、別れた次の日とかにたまたまページをぱらぱらめくってたら偶然目に止まってそこで初めて元恋人がしてくれた色々なことに思い至って信じられないくらい泣いてしまった。

@highway0
見られたくないようで見られたい、聞いてほしいけど聞かせられないような、そういう思考