読んでほしい人
Blenderをあまり触った事がない方
一旦アクスタの3Dモデルの作り方だけ知りたい方
他の事は置いておいて、とりあえずアクスタの形にするための手順を記載します。私も初心者の為、温かい目で読んでいただけると幸いです。

今回は以下のツールを使用します。
GIMPでの作業
最初にアクスタの3Dモデルに使用する素材をGIMPで用意します。
立ち絵のシルエット画像制作(アクスタの裏面用)

使用したい立ち絵をGIMPで開き、「ファジー選択」で透過部分を選択します。

「選択」→「選択範囲の反転」でキャラクターのシルエットが選択されている状態にします。

「塗りつぶし」で描画色を白に設定し、選択範囲内を塗りつぶします。

「ファイル」→「名前を付けてエクスポート」で画像を適当な場所に保存します。

SVG作成(アクスタのアクリル部分の型を取るため)
使用したい立ち絵を用意して、「ファジー選択」で透過部分を選択します。
「選択」→「選択範囲の反転」でキャラクターのシルエットが選択されている状態にします。
ここまでは先程と同じで、次は「選択」→「選択範囲の拡大」をします。(アクスタのパネルと立ち絵の余白幅の確保を目的としており、今回は20pxにしました。)


「選択」→「選択範囲をパスに」を実行すると、右の「レイヤー」「チャンネル」「パス」とあるウィンドウの、「パス」の中に新しいパスが追加されたと思います。


追加されたパスを右クリック→「パスのエクスポート」で、ファイル名を「〇〇.svg」(〇〇の部分はなんでも可)にして適当な場所に保存します。

これでGIMPでの作業は以上です。
Blenderでの作業
ここからはBlenderで3Dモデルを作っていきます。
今回は、何をしているのか分かりやすいように、極力ショートカットキーは使わずに進めます。(が、覚えた方が絶対楽なので、今後もBlenderに興味があれば調べてみてください)
まずは作業フォルダを作ります。(絶対ではないですが、3Dモデルに使う素材やBlenderファイルを一箇所にまとめておくと便利です)
ここに先程作ったsvgや立ち絵の画像等を入れておきます。
ex. zunda_acrylic_stand/
├─ image/
└─ 〇〇.svg
└─ 〇〇.png(立ち絵)
└─ 〇〇_back.png(裏面用の白シルエット)
├─ 〇〇.blend
ボディの形づくり
Blenderを立ち上げます。
最初からある立方体は削除してしまいます。

次に「ファイル」→「インポート」→「Scalable Vector Graphic(.svg)」を選択して、GIMPで作ったSVGをインポートします。


キャラクターのシルエットを取り込むことができました。

これをベースにボディ部分を作っていきます。
取り込んだパスを選択して、上のツールバーから「オブジェクト」→「トランスフォーム」→「スケール」でお好みの大きさに調整します。(大きさはグリッド線1マスで1mです。)
次にアクスタの土台に固定するための凸の部分を形作っていきます。
パスを選択して、右クリック→「変換」→「メッシュ」を選択します。

選択状態のまま「Tab」キーを押してください。
すると左上のモードが「編集モード」に変化し、点が繋がった見た目になります。

イメージとしてはこんな感じの凸を作りたいので、不要な点を選択して、右クリック→「頂点を削除」で削除します。


削除したら、両末端の点を選択して、右クリック→「頂点から新規辺/面作成」で辺を追加します。


新規で作成した辺が選択された状態で、右クリック→「細分化」を選択します。

そうすると左下に「細分化」のタブが出てくるので、タブをクリック→分割数を「2」にします。

細分化で追加された2点を選択した状態で、左のツールバーから「移動」を選択します。

2点がオブジェクトの中心に来るように移動させます。(凸を出したい場所)

そのまま2点を選択した状態で、上のツールバーから「辺」→「辺を押し出し」→「Y」で凸を作ります。


凸が出来たら、右上の○が4つ並んでる内の左から2つ目(以降:ソリッドモード)を選択します。

「A」で全選択、右クリック→「頂点から新規辺/面作成」で面を追加します。

これで、点群から板が出来上がりました。

次はこの板に厚みをだしていきます。
全選択された状態で、ツールバーの「面」→「面を押し出し」でお好みの厚さまで伸ばします。


「Tab」キーを押して、「編集モード」から「オブジェクトモード」に移動します。

これがアクスタのボディーの原型になります。この時点で修正したい箇所があれば直してしまいます。(無ければスキップして構いません)
今回は個人的に凸が少し左に寄っている気がしたので、修正します。
オブジェクトを選択して、「Tab」で編集モードに切り替えます。
○が4つ並んでる内の一番左を選択して、面が見えるビューモードから点群と辺のみのビューモード(以降:ワイヤーフレームモード)にします。

凸部分の点を選択して、移動させます。

Tips
Blenderでは基本的に以下の3つの要素で形を作っています。
左上の選択モードから、何を選択するかを切り替えられるので、状況に応じて使い分けると作業が楽になります。
頂点(点のみ)
辺(辺を構成する頂点2つも選択される)
面(面を構成する辺と頂点も選択される)

見た目の設定
ボディーの原型ができたら、次はテクスチャを貼っていきます。
上のツールバーから「Shading」に移動します。
オブジェクトを選択した状態で、「マテリアル」→「新規」

新規作成したマテリアルは、分かりやすいように名前を変更します。
今回は「acrylic」にしました。

マテリアルの値を次のように変更します。「粗さ:0.2」、「アルファ:0.5」、「伝播→ウェイト:1.0」、「設定→ブレンドモード:アルファブレンド」

「+(マテリアルスロットを追加)」→「新規」で新たなマテリアルを追加します。(マテリアル名を後から変えた為、画像ではacrylicではなく、そのままMaterialになっていますので、ご容赦ください)

こちらも名前で分かりやすいように「character」にします。

中央下のノードエディターで、右クリック→「追加」→「テクスチャ」→「画像テクスチャ」を選択します。

「プリンシプルBSDF」の左側に設置します。

「画像テクスチャ」の「カラー」と「アルファ」を画像のように「プリンシプルBSDF」の「ベースカラー」と「アルファ」に点をドラッグして繋げます。

「画像テクスチャ」の「開く」から、ずんだもんの立ち絵を選択します。

出来たら、空いているところで右クリック→「追加」→「シェーダー」→「プリンシプルBSDF」を追加して、既存の「プリンシプルBSDF」の下に設置します。


そうしたら、再度右クリック→「追加」→「テクスチャ」→「画像テクスチャ」を追加して、先程設置した「プリンシプルBSDF」の左側に設置します。

同じように「カラー」と「アルファ」を繋げます。

こちらの「画像テクスチャ」では、白シルエットの画像を設定します。

再度空いているところで、右クリック→「追加」→「シェーダー」→「シェーダーミックス」を追加し、画像のように紐付けます。


もう一度空いているところで、右クリック→「追加」→「入力」→「ジオメトリ」を追加し、「後ろ向きの面」を「シェーダーミックス」の「係数」に繋げます。


最後に右のマテリアルプロパティ(character)の値を次のように変更します。「設定→ブレンドモード:アルファブレンド」

最終的なノードの全体像は、以下のようになります。
マテリアル「acrylic」

マテリアル「character」

次にこの透明な板に画像を貼っていきます。
上のツールバーから、「UV Editing」に移動します。
左側のウィンドウ上部の「開く」から立ち絵の画像を開きます。

オブジェクトがある右側のウィンドウで、ビューをソリッドモードに切り替えます。

Tabで「編集モード」になっていることを確認して、選択モードを「面選択モード」に指定し、ボディの裏面のみを選択します。


次に上部ツールバーから「UV」→「スマートUV投影」を実行します。

○が4つ並んでる内の右から2番目を選択して、マテリアルが見えるビューに切り替えます。

マテリアルプロパティから、画像を設定したマテリアル(character)を選択し、「割り当て」を実行します。

これでオブジェクトに立ち絵が表示されると思いますが、画像の写る位置がズレています。
右側のウィンドウでオブジェクトの見た目を確認しつつ、左側のウィンドウで点群を「移動」や「スケール」「回転」等を駆使して、キャラクターが綺麗に収まるように調整します。



これでボディー部分は完成です。
土台部分の作成
次は土台部分を制作します。
上のツールバーから、「Layout」に移動し、「追加」→「メッシュ」→「立方体」を選択します。

「スケール」で大きさや厚みを調整します。


調整ができたら、右のマテリアルから、「リンクするマテリアルを閲覧」で、ボディーの時に作った2種類のマテリアルの内、画像を設定していないマテリアル(acrylic)を選択します。

これで土台は完成です。
もし、土台をもっと凝ったデザインにしたい場合は、1からモデリングするも良し、ボディの時と同じ工程でSVGから作ることも可能です。
仕上げ
ボディと土台を合体させます。
ボディを選択した状態で、「オブジェクト」→「原点を設定」→「原点を重心に移動(サーフェス)」を実行します。

「回転」で90°回転させます。

「移動」で土台に立たせたい位置に移動させます。
ビューをソリッドモードに切り替えて、真正面や真横から見ながら調整するとやりやすいです。


位置を調整できたら、土台を選択します。(正方形だとつまらなかったので、ちょっと形を変えました)

右の「モディファイアー」から「モディファイアーを追加」→「生成」→「ブーリアン」を追加します。


オブジェクトのスポイトマークをクリックして、ボディのオブジェクトを選択します。


ビューをソリッドモードにして、ボディのオブジェクトを非表示にしてみると、凸の部分に沿って凹んでいるのが分かります。

これで凹で問題なければ、ブーリアンの設定から▼→「適用」を実行します。

Tips
ブーリアンが上手くいかない場合は、面の向きが異なっている可能性があります。
「ビューポートオーバーレイ」の「面の向き」にチェックを入れて、ビューをソリッドモードに切り替えた時の見た目が、土台とボディで異なっていれば、面の向きが原因です。(赤:裏、青:表)

ボディーを選択して、「Tab」で編集モード、「面選択モード」にして「A」で全選択します。

選択された状態で、「メッシュ」→「ノーマル」→「反転」をすると、全体が青くなると思います。

これで、面の向きは解決しました。
しかし「Tab」でオブジェクトモードに戻して、ビューをマテリアルプレビューモードにして見てみると、画像の裏表が反転しているかと思います。

その場合は、上から「Shading」に移動して、画像を設定したマテリアル(character)のノードエディターで「シェーダーミックス」に繋がっている「プリンシプルBSDF」の上下を逆にします。


これで画像の反転は改善されます。
「Layout」に戻って、この状態で再度「ブーリアン」を設定すると、土台に凹みができるかと思います。

写真撮影
以上でモデルの作成は完了ですが、最後に写真を撮ってみましょう。
写真撮影用のステージを作ります。
何も選択していない状態で、「追加」→「メッシュ」→「平面」

大きめにサイズを広げて、Tabで編集モード、選択モードを辺選択モードにします。

後ろの一辺だけ選択して、「辺」→「辺を押し出し」→「Z」で壁を作ります。


出来たら、壁と床の境界の辺を選択して、「辺」→「辺をベベル」で傾斜を付けます。


ベベルのメニューが出てくるので、「セグメント」を「10」に設定します。

オブジェクトモードに戻って、ステージを選択した状態で右クリック→「自動スムーズを使用」で滑らかにします。

ステージのマテリアルを新規作成します。カラーパレットからお好きな色に設定してください。



次にライトを追加します。
ビューを○が4つ並んでる内の一番右「レンダープレビュー」に切り替えると、全体的に暗いのが分かります。

「追加」→「ライト」→「エリア」でエリアライトを追加します。

位置や向き、大きさを調整して、お好みの明るさに「パワー」を調整します。
同じ要領で、お好みでライトは複数追加して構いません。


明るさが調整できたら「カメラビュー」に切り替えます。右の「ビュー」タブからカメラをビューにロックします。


画角を調整して、「レンダー」→「画像をレンダリング」でレンダリングを開始します。


レンダーウィンドウの「画像」→「名前を付けて保存」で画像を保存できます。

以上。お疲れ様でした。

次回は、今回作ったアクスタモデルで、AR体験用のサイトを公開する手順を紹介しています。
(お詫び:申し訳ございません。今回作った3Dモデルをサイトで使うにあたりいくつか修正点があったので、そちらも次回の記事で対応しています。)
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