
画像:Amazon.co.jp 新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫) より引用
読みました。本当に恐ろしいものを見ました。
タイトルにネタバレって書いてあるので改めて言うのもなんですが、これは絶対予備知識ゼロで読んだ方が面白いので、これから読もうと思ってる方は即このページを閉じてください。
叙述トリックが見事と言わざるを得ません。まんまと騙されました。
序盤で雅子が義父の死に言及し、義母に関してはラストまで何の言及もなかったことから当然亡くなっているものと認識させられてしまったのが本当に上手い。
そしてネタばらしされたことで稔は雅子や二人の子供に関してはまるで眼中にないことが分かるってのがまた恐ろしいですよね。家庭内での人物像は雅子視点でいくらか描写されるものの、=稔という認識がないと影の薄い父親くらいにしか思いませんわ…。院生を騙ったことに最初は違和感を感じたものの「年上の方が安心感を与えやすいとかそういう算段かな」と解釈したんですが真実を知ると納得ですね。だっておっさんだもん。
そしてネタばらしされてから雅子の息子に関して色々考察というか想像を巡らせてみたんですが、態度がおかしかったのは稔が何か良からぬことをしていることに気付いたからですかねえ。見ていたビデオは稔の鞄からこっそり持ち出したもので、そこで真実を知った彼は父親を尾行し、犯行を止めに入って殺された…とこんな感じでしょうか。ゴミ箱から見つかった血液はなんだったんですかね…本当に焼き肉パーティだったのか…。ネタばらしで逆に息子の人物像はあやふやになってしまったのでここは本当に謎…(忘れてる描写があればこっそり教えてください)。
てか8ミリビデオってのが時代を感じる…。私はギリ触ったことあるぐらいの世代ですが語れるほど馴染みもないです。今の10代には果たして通じるのだろうか…。
あとがきでも書かれていた通りストーリーは年代関係なく誰でも楽しめる作品になってるのでおすすめの作品です。まあここまで読んでくださった方はもう既に読んでる方でしょうけどね…。
しかしまあ犯行時の描写はなかなかエグくて胃もたれしたので次はもっと優しい気持ちになるような小説が読みたいです…。