一年前、2024年の6月、私はちょっと頭に乗っていた。
この頃、私は初めての本として短歌集を作り、応援してくださっていた方々がご購入くださって(ありがとうございます!)、喜びと達成感とで少々ハイだったと思う。「R指定のついた短歌集って見ないから作っちゃおー!できたら来月お誕生日までに!」みたいなことを書き込んで、次のを作ろう!と、やる気だけはあった。
…短歌集、応援でご購入いただいただけなのに、そんなこと言い出して、多分引かれていた気がする。
私の短歌集は最初から需要があるようなものではないのだ、と気がついたのは、応援のひと波が去ったあと、短歌集がさっぱり動かなくなった頃だった。(これは宣伝していく努力を怠っているのが悪いせいもあるけれど)
そして、そのお誕生月である翌7月には、初の二次小説SS集を出す方向へ傾いてそちらで忙しくなったのもあって、宣言をしたもののR18短歌集の作成は少し置いておかれたのだった。
ちなみに、二次創作小説SS集は。
ちなみに……
私は10代の頃からとある中華系ファンタジーが好きで、でもそれの同人誌というものを市街の中古本屋で発見し手に入れたいことがたった一度(!)あるだけレベルの本物の一般人だった。(ホンモノ…?
それが18年ぶりに出された新作をきっかけに二次創作に手を染めることになり。そこから数年、投稿サイトへ短編を投げ込むだけの書き手をやっていた。コロナ以後に開かれたリアルイベントがあったけれど、諸事情あって一般参加もしていない。SNSでの交流も少なく、多分、ジャンル民からは謎の人と思われている。
それゆえにか、頑張って作ったSS集は「そんな奴が初めて作った本」ということで、すごく物珍しかったらしい。プラス、三方印刷するなど見栄えがしすぎるものを作ってしまったせいもあり、秋のwebイベントで小部数を頒布したところ、即日どころか0時スタートから早朝にかけて6時間で完売。
その時のwebイベントは3日間あって、半分くらい出るかなくらいの予想だった。告知サンプルのブクマがそれくらいだったからだ。思いもよらないスピードだった。翌朝になって、買えなかった、とフォロワーに言われて、申し訳ない絶対再販するから待ってて下さい、とお伝えした。そうして、翌年春に再販し、それもほぼ完売となった。
そんなこともあって、需要と供給についてもう少し考えるべき、と思ったりもした。
一方、短歌集は。
それで、それとは対照的に、短歌集の方は、秋から冬にかけてwebでの一次創作イベントにいくつか参加してみたものの、相変わらずまーったく動かないのだった。
ジャンル、と一言で言うような原作好きの人々が集うところで一定の需要が見込まれる二次創作と、一次創作はそもそも土俵からしてまったく違うらしい。
その中でも、短歌は、本にしたところで一冊あたりの文字数がめちゃくちゃ少なく、活字好きーからは「全く需要がない」に等しい可能性すらある。「一万字以下の小説は読まない」と言う人が割といることは、ノベルスキーで知った。短歌などさらなり。まじディッシュ
しかし幸い?初の短歌集は特殊装丁(黒い紙に金インク刷り)なので、装丁好きーさんには多少興味を持ってもらえるようだ、と思い、今後はそっちに舵を切る方がいいのか?という気がした。
だが。
特殊装丁を盛ろうにも、個人的には金額的なネックが大きい。そして必要になるだろう別版のデータなどを作るのも初めてだから、リスキーでもある。まるッと在庫、はどうしても避けたい。
なるたけお金をかけずに・but できれば非常に見栄えがし、眺めるだけでもなんかいい感じ、いわゆる「お、値段以上」な本を、どう作るのか。私にできるのはただひとつしかなかった。
「ページデザインをめちゃくちゃやろう。」
全ページ、デザイン違いにする……!!
そう決めて、翌年まだ寒い時期から、R18短歌を頑張って書き連ねつつ、「これに合う雰囲気のページデザインとは……?」といろんなものを見ることになった。
目についたのは、さまざまあった。大胆な配置のきっちりタイポグラフィ。ゆるい写真に手書き風の文字乗せ。ポップな遊びパーツと混ぜ混ぜして散らしたデザイン。世界にはいろんなものがある。
それらを見ながら考えた。毒々しい作風ならまた尖ったものもいいかもしれない、けれど私の作るものはどうしても綺麗系に偏る(なぜならつまらない見栄を張ったり保ったりしたがるからだ)。しかしどうせなら、そんな私のR18短歌をもっと偏らせて、一つずつの持つニュアンスを、もっと甘く苦い表現で飾ってやれないだろうか。……と探していくと、自分が好む少し古いもの、になりそうだった。なんとなく手が慣れているから、というのもあったと思う。そこでまた迷いが生じる。
デザインでイメージは変わるものだ、そもそもデザインとは意図的に人間の感覚を絞り、意図的な世界へ導くためのものだ。意図的にものを置き、意図的に置かない。それがデザインだと思う。
だから、慣れているから、で選ぶのはどうなんだ?本当にこれでいくのか?いいのか大丈夫か?と何度も考え、けれど他に見つからず、……これでやってみて感覚的にダメならまた探して変更しよう、と恐る恐る手をつけることにした。
(実際には、もう一段階前、特殊装丁、紙優先での思考だった時に、トレペ本文を想定して作ってみようとしたことがある。それは単純に、紙に印刷した時の透け感がえっちなのでは、という思いつきだったのだけど、各ページにずらしとレイアウト遊びを入れたタイポがどうしてもうまくまとまらず、ボツ!となった)
幸い、昔の古くて著作権が切れててものすごい綺麗な本などは、インターネットアーカイブ、またデジタルコレクションとして各サイトで公開され、条件はさまざまではあるけれど、自由に使うことができるようになっているものも多い。(DL用の画像サイズを数種置いているところもある、ニューヨーク公共図書館とか
そういうところで良さそうなものを探して借りてきて、素材として一部を切り抜いたり並べ直したり、印刷時のかすれや、デジタル化の際に不均一な光の当て方をされて細った線を補ったりの作業をして、ベクターにし、一個ずつ素材を増やしていった。(どうせこれらは持っていればいつか使えるだろうから無駄にはならない
ページの構成は、物語にも読めそうな展開をすることにし、出会いから別れまでを36ページに割り振った。前回はハッピーエンド的な終わり方をした(と思う)し、今回は悲しく終わろうかとも思ったけど、光属性ゆえなんとなく光は残す形に短歌を置いくことにしてみた。
……そこから、超難関「文語調に翻訳」作業へ……突入……
これがまた、古文で文法活用が苦手だった私には大変で、数週間かかってもこれでヨシ!とはならなかった。うおーん。しかしある程度「レトロ風味」で距離感を演出するためなので、ほどほどでよいことにしてしまおう、と筆は置いた……!うおーん!
さてそこから短歌に合わせて素材を置き、レイアウトを調整し、の作業にまた数週間。花言葉を調べてみたり、詩文を探してみたり、いろんな脱線もあって、ようやく完成……!!
この頃の、擬似色にした状態の、イラレのスクショ。(まだここから変更がいくつかある。それと、当初はクラフト紙にしようと思っていたけれど、表紙に偏光オーロラペーパーを使うことにしたので、本文用紙はタブロ、薄いグレーの紙に変えたから、この通りではない)

完成したはずだった
だった。しかしここから発覚する、ミスラッシュ。
① なんと「本文のベースサイズを思い切り間違えてた」 あああああああああああああああああああああああ!!
作業の初動の勘違い。最初に印刷所のサイトを見た。えらい。指定サイズが、裁ち切れ込みの数値。なぜか私はそこへさらに3mmつけた。だめえ
なんかタテヨコ比おかしい気がするなとは思ってた。(正方形に周囲3mm追加する場合はタテヨコ比は変わらないけど、新書、細長い長方形に付け足す場合にはベースに対する割合が長辺短辺で異なる) ……せっかくテンプレートをDLしたのに確認不足。今後はイラレに画像配置して印刷領域をチェックするようにしよう。
② 3mm小さくした、そこへさらに、「擬似小口染め、やってみたいな」が追加されて、最低でも周囲4mmずつを削ることに。
おおおおおお 余白がない! 文字デカすぎいいいいい!小さく小さく!
うわあああ 文字にアピアランスで装飾つけたのが、文字サイズ変更するとほぼついてこない! おまけにバリエ持たせたのがこういう時に全部アダになるううううう! 小さいスペース内の文字装飾、たかが0.5mm、されど0.5mm……リボンバナーは長さは追従してくれるけれど、他はそうはいかない。ふりがなの有無でも位置調整が変わるからそこも直し……。プラス、ピン留め装飾は文字列中央からミリ指定移動なので、文字が小さくなるとリボンをはみ出たりする。全部一つずつ手で修正。ぜんぶ。手動。なんということでしょう。
サイズを小さくするとoradano明朝体、潰れそうで怖い。怖いけれど、今回のレトロ風味にはこれでないと……ギリギリの12ptにし、どう見ても潰れ必至な「氣」だけニューテゴミンを太らせて差し替え(上のせ)にしてしまった。他のはニュアンスで読めそうだからいいか(ゲージゼロ
③ その他細かいの 次回用メモ
・画像化すると何故かクリッピングマスクかけてあったパーツが1px程度小さく出て、不安になる。マスクなしでいけるように多少の修正。
・PDFにした時に、差の絶対値で乗せた文字の周囲に薄い線が入るために部分的にパーツを画像化したりした。多分CMYKのデータだと出るやつだと思う(何かで聞いたことがある)
・画像書き出しする時にCMYKのK100→RGBグレーになる。→当たり前だがグレースケールにした時も同様グレーである。(出力を即黒ベタにしてほしいが、私のイラレは古いのでRGB出力しか機能がないのである)。データ設定をRGBにして黒を直し、画像出力。(おたさんはイラレPDFは受け付けないのでPNG書き出しする必要があるのだ……最初からRGBで作ればよかった)
・角丸加工があるので擬似小口染めの内Rを調整した。うまくいくかな
③ さらに入稿用データの書き出しの際に、裁ち切れ3mm設定を入れ忘れて出力、再入稿をする羽目に…… 確認用PDFは0でもいいが、出す時には3mmを忘れるなかれ……次回の私へ。
(表紙については次回。ここも試行錯誤の連続だったので記録しておかなくてはならない……!)
そんなこんなを経て、入稿!となったのが5月半ば。出来上がりは6月半ばです。どうなることやら…楽しみ半分ドキドキ。