チームの持続可能性について

hikaru_55
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 チームには賞味期限があると思います。

 チームはとある目的を達成するために、人々が集められた集合体ですが、その目的を達成する前に、なんらかの理由で解散してしまう可能性があります。その目的は、たいていビジネス的な都合を達成するためのものですから、それを果たす前に解散するのは、会社にとっても痛手のはずです。

 賞味期限はチームによって長かったり、短かったりします。

 別の言い方をすると、持続可能性が高いか低いか、がポイントになってきます。

 もし、目的を達成するのに必要な期間が短いのであれば、持続可能性が低くても、なんとか当初の目的を達成できるかもしれません。

 でも、たいていの場合、チームというのはやりたいこと・成し遂げたいことがぼんやりと決まっているけれど、とくに解散の日程は決まっていないことが多いです。

 チームは何年も続くかもしれないし、あるいは数ヶ月で唐突に終わってしまうかもしれない。ビジネス的な都合で延命することもあれば、やむを得ない事情で突如バラバラになってしまうかもしれない。

 ということは、チームはできる限り、持続可能性が高い状態を維持しているほうが良さそうです。会社が「解散しなさい!」と言ってくるのはいつかわかりませんから。

 さて、チームは持続可能性が高いほうがいいわけですが、どのチームも最初から高いというわけではありません。また、最初は高かったけれども、途中から何らかの要因で下がってしまう可能性だってあるわけです。

 それは厳しい納期によるメンバーの疲労が原因かもしれないし、チーム内の人間関係によるものかもしれない。あるいはそもそも人員が足りてなくて、一人当たりの労働負荷が高すぎるのかもしれない。はたまた、まったく楽しくない仕事を割り当てられることが多くて、チームがやる気を失っているのかもしれない。

 理由はさまざまですが、逆に考えると、チームの持続可能性は、チームメンバーの満足度と関係がありそうに思えます。

 チームメンバーの満足度を測るためには、労働時間とか、一人当たりの生産量とかを見るのが良さそうですが、それよりもまず、一人ひとりとじっくり会話してみるのがいいのではないでしょうか。

 労働時間とか生産量とか、そういう指標だけ見てあれこれ言ってしまうと、それだけでメンバーの満足度を下げかねません。それこそ賞味期限を早めてしまいかねません。

 一人ひとりが気持ちよく働けるためには、個人との対話を踏まえた上で色々と対策を積み重ねていく必要があります。

 一方で、個人と対話するというのは、実はけっこう難しく、普段の仕事の中であまり実践できないところでもあります。

 会議を重ねて、複数人で議論するだけでは満たせません。

 じゃあ一対一で話せばいいんだろ、と1on1を設定して、こちらが一方的に相手を説き伏せる、ということでもありません。

 あくまで対話です。キャッチボールです。こちらが投げて、相手が受け取り、相手がこちらに投げ返してくる。相手が投げる前に、こちらが球を放ってはいけません。また、相手に「早く投げ返せ」と要求してもいけません。相手から放ってくるのをじっと待つ必要があります。もしどうしても相手が投げ返してくれないのであれば、それは信頼関係の構築が不十分ということです。焦らず、じっくりと信頼を積み重ねていく必要があります。

 そういった地道な対話を繰り返し行っていくことで、ようやく見えないものが見えてくるはずです。

 遠い道のりですが、これをおろそかにしてしまうと、かえってチームの賞味期限が短くなってしまいます。

 スルメのように味わい深いチームにしていきたいものです。