京都の伏見は酒処。酒蔵フェスがあるというので、えっちらおっちら出かけて行った。先週末のことだ。といっても、前売りチケットが売り切れて買えず、試飲のフェスそのものには入れなかったのだが。かわりに同日開催の酒蔵開きに参加した。伏見は本当に、「酒処」と呼ばれるにふさわしく、小さな地域に月桂冠だの黄桜だの、玉乃光酒造だのと超有名酒造が立ち並んでいる。さらに酒造に寄り添うように、地元の酒と美味しい肴を出してくれる料理屋やお菓子や野菜を売る個人商店のアーケードもあって、それは楽しい街なのだ。
我々はまず月桂冠酒造にお邪魔した。誰でも知っているメジャーな酒蔵だけあって、記念館が併設された敷地は大変広く、鯖寿司やかす汁など食事の販売もしているのだった。到着したのは10時過ぎだったけれども、酒蔵はすでに多くの人で賑わって、粕汁に至っては売り切れていた。はじめに木樽のふるまい酒をいただくと、樽の香りがふんわりと鼻に抜けて、大変良い気持ちだった。晴天ながら珍しいほど寒い日だったのに、冷えた体がじんわりと火照りだす。肴の鯖寿司とコロッケを買い、子供の口に突っ込みながら、親はせっせと飲酒に勤しんだ。大抵の酒は事前購入の酒チケットを2枚渡せば試飲できるけれど、「特選純米大吟醸鳳麟」はチケットが3枚必要だったので、お猪口の一杯を夫と分け合ってちびちび飲んだ。大変な甘露だった。純米吟醸酒と大吟醸でこんなに違うの?と衝撃を受ける華やかな香りと口当たりの軽さ。買ってくればよかったと後悔している。
月桂冠で1合以上飲み、すでにほろ酔いの状態だったのだが、せっかく来たのだし、と玉乃光酒造に足を延ばすことにした。歩ける距離ではあるものの、まるきり反対方向で、てくてく歩いているうちにいい感じに酔いがさめてくる。玉乃光酒造についたときにはすでに昼を過ぎていて、酒蔵の敷地内は人人人でごった返していた。あの時間、月桂冠はもっと混んでいたのでは……と思うと恐ろしい。こちらの酒造では、全10種の酒の試飲ができたので、10種を買って大人で分け合いながら飲んだ。どれも大変美味しかったが、「純米大吟醸 京の紫」が特にすっきりと甘くて、美味だった。小さなお猪口に1口ずつだがべろべろになって家に帰った。帰宅時間は3時前だったけれども、あまりの眠気に勝てず、家族で夕寝して目が覚めたのは18時過ぎだった。
夕飯にはお土産にかった酒粕で粕汁を作ったがこれも大変に美味だった。以来酒粕を使いまくっているためか、今週異様に便通がいい。