つい先日、北陸新幹線開業に沸く福井に行ってきた。ついでに今年の大河ドラマの舞台でもある。越前国守となるのはもうちょっと先の話っぽいけど。
福井駅から程近い「わおん書房」にいきたかったから、というのが福井行きの理由。
それなりの時間と交通費をかけていくのだから、あちこち観光すればいいじゃん、せっかくなんだから泊まって福井グルメを堪能してくればいいじゃん、とわたしもそう思う。けど、今回も安定の日帰り。
割と昔から、目的地に直行して観光もせずに名物も食べずに帰ってくる、という移動をしていたけれど、犬が来てから、そしてコロナ禍になってからは拍車がかかっている。せっかくだから、あちこち見ておきたい、と思う気持ちもあるけれど、一点集中とばかりに行きたいところに行く、会いたい人に会う、っていう移動(旅)がわたしにとっては最高の贅沢で、最高の旅なのだ。
わおん書房は福井駅ほど近くの新刊を扱う小さな書店。店主のたかこさんがセレクトした児童書やアート関係の本が充実していて、たかこさんのあたたかなセンスに満ち溢れている場。本ってどこで買っても内容は同じ。けど、違うんだよなぁー、どこで、誰から買うか、って大事なんだなぁーってわおん書房に出会ってからことさらにそう思う。とはいえ、ついついAmazonでポチっとしたり、街の大型書店で買ってしまっているけれど。
今年は、何かをやりたい人を応援する場でありたいというたかこさんの思いもあって、何かやってみたい人にカフェスペースを開放して小さなワークショップや展示などの催しを行っている。ぉおお、これは!「何かやる」を口実にしてわおん書房に行こう!と、日程も決めずに「何かやりたいですー!」とエントリー。あれこれ予定を調整して、行ける!行けそう!な日を設定してグラレコミニ講座を開催させていただきました。
朝、博多を経って、新幹線開通で巨大になった敦賀駅から在来線に乗り換え、越前市へ。
この乗り換えが物議を醸しているらしくて、サンダーバード車内にはこんなお知らせが。サンダーバードのホームが鬼門で、エスカレーターの本数が少ないから、新幹線→サンダーバードへの乗り換えはエスカレーター待ちの長蛇の列。荷物が少なければ階段でサクサク移動できるけど、これ、旅行者やお年寄りは大変だろうなぁ。
武生駅の待合室にある立ち食いそば屋さんでお蕎麦を食す。この立ち食いスタンド。1畳ほどの小さなスペースで、おん歳80歳近い(もしかしたらもっとかも)おばちゃんが一人で切り盛りしている。腰が90度くらいに曲がっていて、湯切りをするのもしんどそうに見えるけど、いやいや、シャキシャキとオーダーを取り、さっと提供して、戻ってきた丼を洗って、と流れが本当にスムーズ。このおばちゃんの動きを見るだけでも価値がある。しかもかけそば350円よ。たっぷりの鰹節とちょっと粗めに刻んだネギが素朴で美味しかった。
シャトルバスに乗って大河ドラマ館を見学。スタッフは慣れていないながらも、おもてなししようという気持ちが溢れていたけど、いやいやちょっと過剰では?という気もしなくもない。肝心の展示は、うーん、大河ドラマ館ってこんな感じなのかな?ちょっと肩透かしな内容。内容は更新されるのかしら?宇治や石山寺でも開館しているらしいので、機会があったら行ってみよう。
駅まで1.5キロくらいなので帰りは歩くことに。公園のすぐ脇にあったおしゃれな文房具店で思いがけず散財。聞けば老舗の文房具屋さんの新業態のようで2周年なんだとか。このペンの陳列とか素晴らしすぎない?
駅までの道は昭和初期、もしかしたらそれ以前の古い建物が立ち並んで、それは風情がある。日曜だからなのか軒並み閉まっていて、人通りもまばらなのがちょっと物悲しくもあったけど、時折行列ができているレストラン(食堂)があったり、駅前のガラス張りのカフェは階段上になっているテラス席が気持ちよさそうだったり、歩いたからこそ見える景色はなかなか面白かった。
新幹線が開通した福井駅は1年前に行った時とは様変わり。お土産が充実していて、ワンダーランド!これは楽しい!でもお土産は羽二重くるみ一択。
わおん書房に到着後、講座の準備をしながら美味しいチーズ屋さんの新作チーズケーキをご馳走になる。ゴルゴンゾーラといちじくの相性が素晴らしすぎて、悶絶。あぁあああああ、ずーっと食べていたい!って思えるお味でした。
グラレコ講座にはたかこさんのお友達や、わおん書房のお客様、フリーランス塾のイベントに参加されていた方など、お友達のお友達はみんなお友達だ、な温かな繋がりを感じられて、もうそれだけでほっこり胸熱。
あっという間の90分。初めて描いたって方ばかりだったけれど、みなさんがとっても楽しそうにペンを走らせて、思い思いに豊かに表現してくださっていたのがとっても良かった!(語彙がw) あぁ、やっぱり、わたしには楽しく描く人が増えることが喜びなんだよなぁ、と再確認できて、だから講座をやるのが楽しんだなぁ。
皆さんで、とお持ちくださった山中温泉のお饅頭をいただきながらあれこれおしゃべりして、帰りの道中で読もうとこちらの2冊をいただいて、名残惜しいなぁー、さみしいなーと言い合いながら、わおん書房を後にする。
「ここにあるお弁当、全部3割引でいいよ」と言うおじちゃんに後押しされて、蟹がたっぷり入ったお弁当を買って、北陸新幹線に乗り込み、鬼門の敦賀駅乗り換えを無事にクリアして、京都の乗り換えは安心感があるねーと余裕かましてホームでコーヒーを買ってたら危うく乗り損ねるところだったというネタも。コーヒー抽出するのに2分近くかかるんだもの。いやはや。
また行きます、そう遠くないうちに、きっと。わたしにとっての旅は、会いたい人に会う、行きたい場所に行く、シンプルなことなんだ、と再認識した1日でした。たかこさん、ご参加のみなさん、本当にありがとうございました。