第8週「クビノ、カワ、イチマイ」

「笑ったり転んだり」が好きすぎて楽譜を買いました!なんとロ長調でシャープ5つ!猫ふんじゃったばりに黒い鍵盤を押しまくりです。一番簡単な片手のメロディーはなんとか弾けるようになったので、両手バージョンも挑戦したいな〜と思ってます。
さて今週は噂のスキップ回!と楽しみにしてたんですけどちょっと待って、スキップの前にビアサワコントがあり、なんだったらその前に蚊を狙う一瞬の演技で高石あかりが笑わせてきたり、最後はまさかのクイズヘブン!演出(そんなヘブンの使い方ある!?)で笑い通しの一週間でした。
と同時に、トキとヘブンのディスコミュニケーション問題が幕を開けた週でもありました。二人は互いの言語をまったく理解しないため、日常生活にも支障が出ます。だけど今週の二人を見ていると、コミュニケーションは言語だけじゃないし、何よりも伝えたい理解したいという気持ちが一番大事だと思わされました。
ビアサワコントも「わかったふり」をするのではなく自分なりに色々考えて正解に辿り着こうとしたトキの努力の結果でした(散々でしたが笑)。そして絵で伝えあうという発想は大正解でした。母フミが絵の内職をしていたこと、トキも小さな頃から絵を描くのが好きだったことなど、これまで描かれてきた小さなエピソードが繋がったこともよかったです。
それにスキップという体の動作を共にすることによって笑い合ったり、一緒にお酒を飲むとなんとなく仲良くなってしまう感じも、こういうのは現代と同じだよな〜と思いました。
そんなコメディ週の中でも、人力車に乗って思う銀次郎のこと、タエには言えない女中の仕事、そしてフミには言えないタエとの楽しい時間など、トキの胸の中に小さな秘密と口にできない想いを垣間見せてくれるのがこのドラマらしいし大好きなところです。
そしてトキもヘブンも互いに忘れられない人がいること、そこにむやみに踏み込まない人間であることがわかってそれを好ましく思うという展開も良かったです。言葉が通じなくてもまず人間同士としてフィーリングがあう二人。思い返せばおウメさんはわりと気軽にこの写真の女性だれですか〜?と聞いちゃってましたよね。だけどトキは毎日掃除をして写真を見ているはずなのに何も聞いてこない。クイズ大会より前にそのことにヘブン先生は気付いていたのかなとも思います。
「クビ!」の月曜から「これからもよろしく」と互いに頭を下げあう金曜日まで大騒ぎで楽しい一週間でした!そして今週も大磐石さんにおかれましてはおつかれ山でした!!来週もがんばってください!!!
●ばけばけな本(8冊目)
『文学アルバム 小泉八雲』(小泉時・小泉凡 共著)

こちらもう絶版になっているようですが図書館で見つけた本です。ほんとに「アルバム」です。写真がたくさん。文書の資料もありますが、人物写真もめちゃめちゃ多いです。ハーンさんがそもそも写真好きだったそう。だから家族の写真も多くて、セツさんもこの当時の日本女性としては肖像写真がたくさん残ってるほうなのではないでしょうか。
セツからハーンにあてた直筆の手紙も見られるのですが……あまりのかわいらしさに悶絶しました。
グド、パパサマ、アナタ、ノ、カワイ、テガミ、トキ、ワタシノ、テニ、アリマシタ、ヨロコビデ、ワライマシタト、セップン、シマシタ
かわいすぎるしラブラブすぎるよ〜〜往復書簡集を出してください😭 手紙の内容も家にヘビが出て家族で大騒ぎした話をおもしろおかしく書いたり、あとはハーンの身体を気遣う内容で、まじでラブラブだなって感じです。ちなみにトキの手紙はすべてカタカナ、ハーンの手紙は絵が中心の手紙です。ハーンの絵もとってもお上手!
ハーンのひ孫に当たる小泉凡さん(「ばけばけ」関連番組でお見かけしますね!)もよる解説「ハーンにみる多面性と周縁性」がとても読み応えがありました。ハーンのカメラへのこだわりについて、
眼の悪いハーンには、生身の人間は薄明の靄のなかを漂う物体にしか見えなかったが、写真にプリントされていれば遠慮なく眼を近づけてその表情を頭に焼き付けることができたのである。
片目だけだし書き物もするし視力はかなり落ちてたんでしょうね。ちなみにわたしも目が悪く、子どもの発表会などはスマホカメラで拡大した画面を見てるので、めちゃめちゃわかる…と思いました。
また『ばけばけ』で江藤知事を演じてらっしゃる、松江出身の佐野史郎さんとの対談のお話も出てきます。
佐野氏は、自分がハーンに魅かれるのは、高校時代からとくに興味のあったビートルズと幻想文学と演劇が、ハーンを知ることによってしだいにひとつの円かな空間にそれぞれ矛盾しあうことなく絡み合って三者の連続性が見えてきたからだという。つまり、ハーンの血筋の中にあるアイルランド的なものと、民族音楽への強い関心が、ビートルズのサウンドに底流するアイルランド音楽の魂と響きあう。
さらにハーンの作品にひそむ怪奇性は、佐野氏が高校時代から愛読してきたエドガー・アラン・ポーやブールワー・リットン卿、平井呈一らの怪奇文学、幻想文学の系譜ともつながる。また、演劇や戯曲についてのハーンのエッセイや評論は、佐野氏の演劇への関心も包みこんでしまった。そんなことから、いちだんとハーンの仕事の多様性と自分の志向との類似性に親近感を喜びを深めた佐野氏は、俳優・ミュージシャン・物書きという現在の自身の活動における三大要素にも自信がもてるようになったと話す。
佐野さん、博識だしめちゃめちゃ小泉八雲お好きなんですよね。『ばけばけ』に出演してくださってほんとよかったです!
また大江健三郎との対話の中で、冷戦時代には光のあたらなかった「周縁」地域への注目や再評価が自身のノーベル文学賞受賞やハーンの再評価に関係があるという指摘、そして文学は周縁を普遍に変える力があり、ハーンもまたそれに成功した一人かもしれない、というお話も興味深く読みました。
小泉凡さんの著作、他にも読んでみようと思います!