100年先のリーガルドラマはどうなってますか〜『女はそれを許さない』を見ました

hinata625141
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公開:2024/6/12

『女はそれを許さない』というドラマを見た。もう10年前のリーガルドラマだ。

放送は2014年秋クールのTBS火10枠らしいのだけどわたしの記憶にぜんぜんなくて、なんでだろと思って同クールのドラマを調べてみると、月9は『信長協奏曲』火9『すべてはFになる』水10『今日は会社休みます』木9『MOZU season2』木10『ディア・シスター』金10『Nのために』日9『ごめんね青春!』その他シリーズものでは科捜研の女と相棒とドクターXがやってるという、なんか今見るとめちゃめちゃ豪華なクール。そして当時のわたしはというと、まさに火10の裏でやってたNHKの『さよなら私』に夢中だった。永作博美と石田ゆり子の入れ替わりもの、というとコメディみたいだけど、選ばなかったもう一つの人生を生きるというのがせつなくて、とても良いドラマだったと思う。

それはそうと『女はそれを許さない』、たまたまTVerでなにかめぼしいのないかな〜と思って探してたときに見かけて、とらつばに夢中だしリーガルドラマいいかもな!と思って見始めた。

ある裁判の経験がトラウマとなって法廷に立てなくなった若手弁護士・岩崎麗(深田恭子)と、大手事務所から解雇されたあげく勢いで弁護士会からも脱退してしまったベテラン弁護士・海老沢凛香(寺島しのぶ)の女性バディもの。脇を固めるのはふたりが務める小さな弁護士事務所を営む忠守藤次郎(上川隆也)、司法修習生のバイト滝口(溝端淳平)、凛香のやめた大手弁護士事務所の同僚に葛城雄二(加藤雅也)、工藤誠司(吉沢悠)、行きつけのバーのマスター兼情報屋・蝶野薫(松重豊)。


第1話

初回は女上司からのマタハラを訴える話で、女と女と戦いか〜うーん…と思ってたら、結局会社側(男性の取締役)が出産した女性社員をこれまでも追い出してたことがわかって、最終的に復職を認めさせるという展開だったのでおぉっと思った。

立場の弱いものどうしが分断されそうになったとき、分断させようとしている「誰か」を可視化するこのドラマの視座、2014年にしてはかなり先を行ってる感じがする。


第3話

第3話のテーマが痴漢であると知って、ここがわたしにとっての視聴継続モチベの分岐点になるな…と思った。

というのも、わたしは日本のリーガルドラマが必ず痴漢冤罪を取り上げることにかなりイライラしてて、『カバチタレ!』もそこで見る気を失っちゃったし、リーガルドラマじゃないけど『Woman』もほんとうにひどいし、好きだった『イノセンス 冤罪弁護士』も最後の最後でフェミサイドマーダーの犯行のきっかけが痴漢冤罪だったと出てきて、その設定必要ですか!?!?!?とプロデューサーを詰めたかった。その何百倍(か、それ以上)ある実際の痴漢事件、そのほとんどは泣き寝入りでまともに扱われることもないのに、痴漢冤罪だけ取り上げるの、ほんとーーーに男性目線だから。

で、3話。結果としては、おしい!!!!!です😂

というか最後のエンドクレジットが流れ出す直前くらいまでは本当にすばらしかった。つくられた「痴漢冤罪」、しかもその根っこに女性嫌悪があるというストーリーでめちゃリアル。クレジット見たら脚本家4人中3人が女性で、P2人のうち1人は女性。やっぱりジェンダーバランスは大事だとあらためて思う。

ただラスト数分で、「あぁ…そういうバランス取ろうとしてくる…?2014年の限界〜完〜」とは思いました。ほんとうに惜しかった…

でもほんとにそこまでがよかったので、視聴は継続!


第8話

ゲイカップル結婚回。なぜゲイカップルが養子縁組をするのか、法律婚できないデメリットを正しく説明してるし、差別問題も描かれるし、かつセクマイ当事者である、KABA.ちゃん(メインゲストの一人)、前田健さん、ブルボンヌさんも出てる。KABA.ちゃんはトランス女性なのでゲイ男性当事者ではないし、セクマイ当事者とざっくりまとめるのはよくないとは思うけど、当事者や当事者に近い人を起用するというのは日本のドラマではまだめずらしい(2024年においても!)のでそこは着目したいし褒めたい。

とくにセクシャリティについてはクローゼットの人もいるので絶対に当事者が演じるべき!とは思わない(当事者が演じたほうがベターだなとは思う)けれど、セクシャルマイノリティをテーマにした回でセクシャルマイノリティを公言してる人を、しかも一人じゃなく複数キャスティングしてるのは信用できると思った。

あとレギュラーの松重さんももともとゲイ男性という設定で、ドラマ的いわゆるゲイっぽさ(オネエ的な)は全然なくてそれはよかった(ただ男と見れば恋愛対象になるかどうかみたいな話がでがちだったのはよくなかった)し、この回ではすごく重要な役割を果たしてたのもよかった。


第9話・第10話(最終話)

最終二話、児童5人が亡くなった交通事故の真相究明がテーマで、運転手本人の責任(過失)か運送会社の責任(過労)かと争う先に驚きの真実が明かされる。ここも初回と同じく弱者同士を分断しないラストに着陸したのでよかった。アンナチュラルのしあわせの蜂蜜ケーキ回も連想した。


というわけで全体的に、女性および社会的弱者の立場に立った、分断をさせないような話が多くてそれがとてもよかった。こういうドラマが好きだとあらためて思う。

あと深キョン演じるうらら弁護士が、最初は自信なさげだったのが途中からどんどん頼もしくなって最後はめっちゃめちゃかっこよくてその成長に泣けた。そして寺島しのぶさんとのコンビのゆくえ、ラストシーンがほんとに最高です!!!

リーガルドラマもいろいろ見逃してるんで、これを機に過去のドラマも見ていきたいな〜

オススメあったら教えてください☺️

@hinata625141
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