
お弁当二週目。今週は作らなきゃいけないのが3回しかなくて良かった。煮卵を作っておくと朝卵焼きを焼かなくて良いのでちょっと楽だという気付きがあった。
日曜に見た『オールド・オーク』のことをあれこれ考えながら、同じイギリスの炭鉱の町映画つながりで『リトル・ダンサー』と『ブラス!』を配信で見た。
『リトル・ダンサー』すごく有名なのに見たことなかったのだけどさすが名作、泣きました。男がバレエなんて、というジェンダーバイアスに抗う物語でもあり、炭鉱という先の見えない産業しかない町から飛び出していこうとする子供を応援する家族の物語でもあり、二重に泣けた。
同作の舞台は1984〜85年ごろで、それはちょうど新自由主義改革を急進するサッチャー政権中期で、炭鉱ではストライキなど労働組合の活動が一番活発だった時期だ。劇中でもストライキに参加しない労働者を炭鉱に運ぶバスをストライキ中の労働者たちが取り囲んで抗議する描写があった。主人公ビリーの父親も一度だけそのバスに乗ってしまう。息子の未来のために。スト破りは仲間への裏切りだが、どうしたって稼がなければならない人もいるのだ。
一方、『ブラス!』の舞台は『リトル・ダンサー』からおよそ10年後の1992年。このころはもう組合運動も下火になっており、炭鉱の閉山は時間の問題、という諦めのムードがある。そんな町のブラスバンドは当然メンバー全員炭鉱労働者で、生活がどんどん苦しくなっていく一方であれよあれよと全国大会を勝ち抜いていく。しかし指揮者のデニーは優勝を辞退し、会場に語りかける。
この10年来、政府は産業を破壊してきた。我々の産業を、さらには我々の共同体、家庭生活を。発展の名を借りたまやかしのために。
会場からの帰りのバスの中で彼らが演奏する「威風堂々」をバックにこんなテロップが流される。1984年以来、英国で閉鎖された炭坑は140、25万人近くが失業した、と。あまりに重いエンドロールだった。
ところで我が国初の女性首相はサッチャーを尊敬していると公言している。サッチャリズムが批判されつくした2026年なのに。だからわたしは今、サッチャー政権下のイギリスで起きたことを見ておかなければならない気がしている。
4月27日、元大阪地検検事正が準強制性交の罪に問われた事件で、被害を訴えている女性検事が辞表を提出するというニュースが流れた。性犯罪がよりにもよって検察組織内で起き、声を上げた被害者が退職を選ばざるを得なくなるという最悪の展開に心から失望する。
一方で翌28日には光の速さで東京と大阪の、それぞれ検察庁前でデモが集まった人たちがいるという現実には救われた。このスピード感、デモという選択肢がたくさんの人の心にすでに根付いている証拠のようで、それも心強く感じる。私は行けなかったけど、行ってくれた人ありがとう。
しばらく前から読んでいた『マークスの山』がやっと読み終わったので先週買った『コズミック・ガール 宙わたる教室』を読み出したのだけど、あまりに面白くて一日で一気に読んでしまった。伊与原新先生の文章、情報量が多いのにむちゃくちゃ上手く整理されてるので読みやすいんだよね。ほんと全世代に勧めたい。

今作では新たな世代の科学部が主人公で、それでもやはり定時制なので様々な事情を持つ生徒たちが集まる。受験戦争で心を病んだ佐那、自主的不登校だったみちる、難病治療で進学の遅れた理、中国人の宗辰、ヤングケアラーの翔太ら、新科学部のメンバーだけでなく、何やら思惑のあるらしい副校長・百瀬、教職に失望している顧問・里仲、そして岳人ら〝伝説の科学部〟OBらも登場し、物語は紆余曲折しながら〈誰も見たことのないロケット〉の実験に突き進んでいく。
「宙わたる教室」は二作通して、対話や目的を共有することで、生まれ育ちや環境が違う人ともつながれるという理想を描くだけでなく、むしろ多様な人がいる集団の方が均一なそれより大きな飛躍があるという、〈共生〉が持つ可能性を見せてくれるところが本当に希有だし、好きだ。
そして今作は続編ということもあって〈継承〉もひとつのテーマとなって、自分たちが定時制高校や科学部からもらったものを今の若い子たちに返していく、という展開も胸熱すぎて泣けた。わたしがすごい好きなやつ。
「誰かの喜びを自分の喜びを区別しない人」ーー自分本位で生きてきたみちるが周囲の人間に対して思ったことを言語化したこの言葉が好きで、ノートに書き留めた。
そういえば本シリーズにも日本の炭鉱の話が出てくる。長嶺さんは福島の炭鉱の生まれで、炭鉱で働く父親が仕事の最中の事故で亡くなるも周囲の人たちは誰も助けてくれなかったことを長嶺さんは恨んでいたけれど、のちに父親は子供たちを高校にやるためにスト破りをして働いていたのだということが明かされる。また続編でも、中国人の宗辰の祖父母は中国の炭鉱で差別されながら苦労して子供たちを育てたという話が出てくる。世界中の炭鉱で、貧しい労働者たちが危険な仕事を担ってたのだ。
祝日の水曜日。昭和の日。子供らと自分のめがねを新調するためモールのZoffへ。上の子は初めて、下の子は二回目、わたしは数えられないほど。とくにわたしと下の子はかなり視力が低くてそのままだと分厚いレンズを薄くするためプラス1万円くらいかかってつらい。
待ち時間の合間に電気屋でエアコンを見る。エアコンが二台かなり年数が経ってるのと明らかに調子悪いので買い換えるつもり。これからはなんだって値上がりするから今が一番安いはずを腹をくくる。とはいえ二台一気に買うのは高いよ〜。GWは霞を食って生きる。
めがねを無事に受け取り、フードコートのミスドで休憩。わたしはあんまりドーナツ食べないんだけど、抹茶味のポン・デ・リングは大好きでシーズンになると食べてしまう。贅沢を言えばミルクなしの、もうちょっと甘さ控えめ渋めの抹茶ポン・デ・リングがいつか食べたいな。とはいえ日本茶の値上がりがエグいので、同じく抹茶味の好きな娘にも「来年は抹茶味ないかもね……」とため息交じりに悲観的な想像をこぼす。
『ほんのささやかなこと』を読了。ちょっと前に映画館で見た『決断するとき』の原作のアイルランド文学だ。著者グレア・キーガンの著作は『あずかりっ子』に続いて読むのは二作目。

未婚で身ごもった女性や当時のいわゆる「ふしだら」な若い女性が強制的に収容されていた教会(アイルランドに実在したマグダレン洗濯所がモデル)で、彼女たちが非人間的な扱いを受けていることを知った主人公が何を決断するのかを丁寧に描いた物語だ。あくまで個人の心の内の決断や行動を起こすことについての話なのだけど、それはあまりに普遍的で、国や時代を選ばず読んだ人が胸に手を置きたくなるような話だと思う。
〈町を歩けば知った人にも知らない人にも行き会ったが、ファーロングはいつのまにかこう自問していた。たがいに助けあわずに生きてどうする? そこにある現実に勇気を奮って立ち向かうこともせず、長いこと、何十年も、下手したら一生すごしたうえで、それでもキリスト教徒を名乗り、鏡の中の自分と向きあうことなんておれにできるか?〉
モノローグをあえて入れなかった映画の脚本は映像の力、役者の力を信じていてそれも素晴らしいと思ったけど、やはり原作のモノローグには泣かされるものがある。
〈確かに人生は一度きり、そこそこ長い。だからこそ、自分を騙しながら生きるなんて辛すぎる。心をすり減らしながら長く生きるよりも、後悔の少ない生き方をしたほうが絶対にいい。〉
ちょうど読んでいた松尾潔さんのインタビューとも通じるなと思った。
ところでこの作品の舞台は1985年のアイルランドで、主人公のファーロングは石炭を売るビジネスを生業にしてる。ちょうど『リトル・ダンサー』と同時期で、まだまだ人々の生活の基盤には石炭があった時代のこと。
銀座の中東料理屋ミシュミシュさんがインスタで閉店のお知らせをポストしていたのを見て哀しい気持ちになる。理由は書いてないのでわからないし、わたしも一度店を訪問しただけの客でしかない。
だけどあの夜は楽しかった。東京では珍しいことに雪がちらつくような寒い夜だった。地元の親友二人とそのうちの一人の夫と私、4人で訪れた。上京してきた親友夫婦は福岡住まいで、東京ならではの店に行きたいというリクエストを聞いて選んだ店だったと思う。福岡はグルメの地だけど中東料理はさすがに身近にはなかったらしく、よろこんでくれて良かった。



料理名とか忘れちゃったけど、どの皿もおいしいおいしいと平らげた。中東のワインも飲みやすく、たくさん笑いながら3本は開けたはず。

店を出て酔っ払いの私たちは店の前に掲げられていたパレスチナ国旗と一緒に写真を撮った。それなりにひさしぶりだったので話すことはたくさんあって、政治的な話はしなかったけど、したとしてもぶつかるようなことはなかったと思う。本当にいい夜だった。それだけに、寂しい。
配信で『遠い空の向こうに』を見た。
こちらはアメリカの炭鉱町コールウッドを舞台に、ロケット開発に夢中になった少年たちが様々な障壁を乗り越え夢をつかむ物語だ。炭鉱町を舞台にした映画で検索して見つけた映画だけどちょっと『宙わたる教室』みもあって好みだった。ただ1999年公開の映画とあって基本的に白人しか出てこないし、唯一出てくる黒人のおじさんは典型的なマジカル二グロだったりする。
映画の舞台は50年代とかなのでまだ炭鉱が斜陽ではない時代だけど、やっぱり労働者たちと会社側の争いはあって、ストライキ突入する場面もある。一方、主人公の父親は会社と労働者の間の中間管理的な立場の人であるにも関わらず、怪我して働けなくなると家族ごと社宅(?)から立ち退かなければならなくなる(ので主人公の少年が代わりに働きに行く)など、労働者の権利が全然ないことにびっくりする。
現政権は「労働時間規制の緩和の検討」について隙あらば言及してくる。気を抜くとすぐに企業優先、労働者軽視の社会に逆戻りしてしまいそうだ。そうさせないよう、そういうことを言い出す政府にはちゃんと怒っていきたい。今ある失業保険や労働者を守る法律も、過去のたくさんの人たちが自分たちの生活や未来を脅かされながら闘って得たものなのだから。
子の個人面談を終え、終わらせるべき仕事終わらせ、GWのはじまり〜!
コインランドリーで大物を洗いたいし、売る本も選別したいし、むすめとエリック・カール展にも行くし、映画も見たいし、本も読みたいし、今週分の勉強もやらなきゃだし、憲法集会も行けたら行きたいな。なんだかんだで忙しくなりそうだ。