なんもない土曜日、ふたたび

hinata625141
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先週に引き続いてまたお留守番業務が発生してしまった土曜日。せっかくのお天気なのに。それどころか今住んでるマンションが外壁工事中で、窓どころかカーテンもほぼ開けられないなかで洗濯物は部屋干し。春を全然満喫できなくてかなしい。

ノンアルワイン

気分を上げるために昼からシュワッとしたものを飲みながら暗い部屋で映画を見る。

まずは昨日の夜に半分くらいまで見た『怪物』を最後まで見た。劇場でも見たんだけど、昨日のこちらの対談記事を読んでもう一度見たくなった。

有料記事だけどたくさんの人がプレゼント機能を利用して無料で全文読めるようにしてくれているので、探したらまだ読めると思う。

まずこの対談自体がすばらしい。児玉美月さんと坪井里緒さんというクィア当事者である文筆家二人と是枝監督が、『怪物』のパブリシティと作品そのものの問題点について対話をするという、画期的な内容だったと思う。

是枝監督からしたら自分に苦言を呈す若い女性二人と対峙するわけで、まずこの席につくことさえも、それなりに権威のある高齢男性ができることじゃない。作品や自身のスタンスの問題点を率直に認めていたことにも正直驚いた。

だけどそれ以上に、世界的な映画監督である是枝監督と対面の上でしっかり問題点を指摘した児玉さんと坪井さんはすごく勇気があると思う。指摘されている内容はわたし自身もモヤモヤとしていたことを言語化してもらったものもあり、わたし自身がそこまで気づいてなかったこともたくさんあって勉強になった。

この記事を読んだうえで、二度目の『怪物』。

これは初見直後に思ったことと同じなんだけど、そういう手つきで触っていいテーマじゃないよなと思った。そういう手つきとは、マスに観てもらうための映画づくり、ということ。一人でも多くの人に見てもらいたい、そのために話を面白くする、著名な監督とスター俳優を呼ぶ。そのやりかたはメジャーなエンタメ作品ならそれでいいだろうけど、<クイアな子供>というめちゃめちゃ繊細な問題にスポットを当てるときにやることじゃなかった。

視点を変えて同じ出来事を繰り返して見せる羅生門スタイルの脚本も、見る人によって見えている世界は違うのだというメッセージは、<クイアな子供>問題を描くときに有効だろうか?無自覚に人を傷つけてしまうことへの言い訳にもなってしまってないだろうか?むしろわたしはその語り口を不誠実に感じてしまう。

だから是枝監督に思慮が足りなかったり映像表現が間違っていた(違う意図を伝えてしまってる)などの問題はご本人が対談で認めているようにあったと思うけど、監督だけじゃなくて、そもそもの企画や脚本にも問題があったと思う。たくさんのひとに観てもらうこと、その問題を共有することは大事だけど、生きづらさを抱えた当事者の気持ちに寄り添うことのほうが、ずっと大切なはずだ。

映画は未見だけどこちらの対談もとてもよかった。邦画界も良い意味で曲がり角に来ているのかなと、ふたつの対談を読んで思う。

続けてもう一本見た。配信されたばかりの『ティル』。

エメット・ティル事件の顛末は知ってたのでちょっと気が重かったし、劇中で再現される当時のアメリカ南部の黒人差別がひどすぎてつらかったけど、それでも見てよかった。エメットはまだ子どもだったのだと、自室の部屋の壁紙が、母に甘える声が、大人ぶろうとして失敗するその滑稽さが、映像だからこそつよく伝わるものがある(大人だったとしても許されないことだけども)。母親役のダニエル・デッドワイラーとてもよかった。なぜアカデミー賞に呼ばれてなかったんです?あとウーピー・ゴールドバーグを映画で見るのがひさしぶりでうれしかった。

そして気づいたらあっという間に夕方。

帰ってきた子どもとバトンタッチで図書館へ。今日は子どもの本の返却と続きを借りるだけ、と思ってたけどやっぱり棚を見てしまう。最寄りの図書館は区内の図書館の中ではそんなに大きくないので、借りたい本があるときは基本的に予約して他の図書館から取り寄せることが多いんだけど、それはそれとして、やっぱり行ったら見てしまう。誰かが返却したばかりの本、新しく入った本、今気になってるジャンル。図書館の棚は書店の棚ともまた違う、独特の出会いがある。自分用にも一冊借りて帰宅。

フライパンの中でグツグツしてるつくね

夜はひき肉でつくねを作りました。おいしかった。明日は出かけたいな。

@hinata625141
感想文置き場。たまに日記。