今日は目黒シネマで『テルマ&ルイーズ』を見てきた。ずっと見たいなと思ってて、去年4Kレストア版が劇場で上映されてたのだけどタイミング合わずで、しょうがないしもう配信で見ちゃおっかなーと思ってたら目黒シネマさんがちょうど上映してくれてました。ありがとう名画座!記憶にしっかり残したい映画はやっぱり映画館で見たいよね。
監督はリドリー・スコットなんだけど脚本がカーリー・クォーリさんという女性の方のオリジナル作品で、女性差別的な社会がよく描けてるなーと思う。テルマとルイーズのコンビ感もすごくよくて、最初はテルマをルイーズが守ってる感じだったのが、途中からはそれが逆転したり、二人揃って落ち込むこともあれば、二人でいれば最強!!みたいなテンションになったり、女性同士の空気感もよくわかってるなぁと思った。
キャラクターや関係性がよく描かれているのに加え、カーチェイスが最高。終盤に向かうにつれ面白くなるテンション爆上がり映画でもあった。
個人的には序盤に出てきたバーのウェイトレスの女の子が好きで、テルマをレイプしようとしてルイーズに射殺された店長と容疑者と思しき女性2人のことを警察に聞かれ、「あたしにはわかる、あの2人は絶対やってない。そしてコイツは駐車場で射殺されるのがお似合いのサイテーのクソ野郎。コイツを恨んでた人?コイツに突っ込まれた女とその旦那全員じゃない?」って言い切ってたのがめちゃめちゃ面白かった😂(し、彼女もまたなにかいやな目に遭ったんだろうなと推測できる)
この脚本、語りすぎないところもいいなと思っていて、ルイーズも過去にレイプされた(そして犯人は罰を受けなかった)経験があるっぽいんだけど詳細は語られなかったし、彼女たちを追う男性刑事のソラは彼女たちにとても同情的で、彼自身のことはほとんど語られないのだけど当時の一般的な男性とはちがう女性観を持っているのだろうなと感じた。
そして予想してたよりかなりコメディで笑えるシーンも多かったのもよかった。ラストは有名なんでさすがに知ってたんだけど、悲壮感よりも行ったれ!感を強く感じてかっこよかった。彼女たちはもっと良い場所に行ったのだと思う。悪い女はどこにでも行けるのだ。
若き日のプラピも出演してるだけど、本当は別の人に決まってたのにその人がスケジュールの都合で出られなくなってブラピにおはちが回ってきたとか、無名だったジョージ・クルーニーもこの役のオーディションを受けていたとか、今はハリウッドを代表するような2人の当時の話なんかを知るのも楽しい。
そして本作は1991年の作品なんだけど、公開されたとき絶賛の声もあれば、男性嫌悪すぎるという批判もあったそうで、なんかちょうど今期の朝ドラの受容とも重なるなーと思ったり。
遅すぎるランチに手乗りサイズのサンドイッチ二つ選べるランチセット。たまたま見つけて入った店だけどおいしかった。
おひさしぶりの目黒区美術館。全然知らない作家さんだったのだけどめっちゃ好きだった。
一見写真のような『東京の朝』…
寄って見るとこんな感じ。いやでも写真じゃ伝わらないかな〜。この微細なグラデーションを刺繍で再現するってすごい。
青山さんが工業用ミシンを使うのは、これが手作業の職工から職を奪い、大量生産のための道具であるからだそう。ミシンによって、資本主義や社会主義、労働問題を問う作品を制作している。
下2枚は一部をアップで撮ったもの。めちゃめちゃ政治的なのが推せる!
軽視されていた女性の手作業への注目にフェミニズムの視点も強く感じる。
津軽の農民に木綿の禁止なんてひどすぎる…と絶句。伝統工芸の背景にこんな切実な歴史があったなんてつらい。
そんなこんなで、名前も存じ上げなかったのに作品を見てめちゃめちゃ好きになってしまいました。青山悟さん。忘れ去られてしまう貧しい労働者たちに光をあてる作品たち。本当に見てよかったです!