京都で半日ほど暇になった。夫の実家に帰省中のことだ。
夫と子供たちはお昼ご飯を食べたらニンテンドーショップに行くという。わたしは興味ないのと混んでる場所に行きたくなかったので別行動をとらせてもらうことにした。美術展なんか面白いのやってるかなと思って検索したら、京セラ美術館というところでやってる「女性が描く女性たち」という特集が気になる。それにしても京セラ美術館ってなんだ、新しいところかな?と思ったら元の京都市美術館だった。あれね、名前だけ売るやつかな。
京セラ美術館、行ってみるとなかなかの盛況。メインの企画展は村上隆だからか、若い人が多い。
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わたしは人が多いのは嫌なので、もう一つの企画展「奥村厚一 光の風景画家展」と目当ての「女性が描く女性たち」のあるコレクション展をセットで購入。
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「女性が描く女性たち」は見始めたら予想以上に良くて、いったん入口に戻ってイヤホンガイドを借りた。点数はそんな多くないし撮影できる作品も限られてたのだけど少しだけ紹介。
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これは伊藤小坡の「夏」という作品(大正9年)。展覧会でなかなか賞をもらえなくて師に相談したところ自分の姿を描くほうがいいと言われて描き、実際に帝展で賞をもらったそう。まだ洋服が珍しかった時代、アッパッパのようなのを着て窓辺で涼んでる女性の周囲にはディーゼルや資料集みたいなものが散らばっている。
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梶原緋佐子「暮れゆく停留所」、大正七年の作品。着物も傘も、そして唇まで黒くて仕事帰りの疲労がめちゃめちゃ伝わってくる。この人の作品は6枚あってどれも働く女が描かれてた。
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これはポスターにも採用されていた、秋野不矩「紅裳」、昭和13年の作品。みんな紅の着物を着てるけど柄はてんでバラバラで、女性五人円卓についてるのに別に全然楽しそうでもなくみんな明後日の方を向いてる。
女が描く女、だいたい無表情か疲れてて、ぜんぜんにっこりしてないのがいい。
同じ作者の作品で、白い砂浜の上で女と子供たちが裸でゴロンとしている「砂上」(昭和11年)という作品も展示されていて、とても印象的だったのだけど、この時代に女性が女性のヌードを描くことはとてもめずらしかったそう。
このほか撮影はNGだったけどポスカで買ったもののメモ。
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これは丹羽阿樹子「遠矢」、昭和10年の作品。これめっちゃ好き。遊びなんだろうけどガチで何かを射ようとしてる気合いを感じる。この方の作品、他にもゴルフに興じている様子やバイオリンを弾いてる様子など、活発なモダンガールたちが描かれていて素敵だった。
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こちらは由里本景子「望遠鏡」、昭和15年の作品。おそらく当時はまだめずらしく高価だったであろう望遠鏡に夢中の少女たち。学問に秀でた女子たちだったのかも。山内マリコさんのエッセイ「あたしたちよくやってる」の文庫本のカバー挿絵にも使用されている。
このほか、撮影不可でポストカードにもなかったけど、三谷十糸子「独楽」もとてもよかった。モダンな黒ハット、手編みっぽい赤いセーターに広がる黒いスカート。そんなファッションなのに何もない空間でひとりポツンと座り込んで遊んでるのは独楽。それがかわいかった。
個人的に近代日本の女性画家に興味がある。まず第一に、男性中心の画壇の中で正しく評価されてなかったであろうこと。第二に、戦争があって、戦後の貧困があって、何もなくとも家庭と子育てという足枷があって、思う存分、制作に力を注げなかった女性画家がたくさんいたであろうこと。だから少しでも再評価が進めばいいなと思うし、まだ発見されてない女性画家もいるんじゃないかと思う。今後も女性画家がテーマの展覧会があったら積極的に見に行きたいな!
もうひとつの「奥村厚一 光の風景画家展」もけっこうよかったんですけど、あんまり語る言葉を持たないのでいいなと思った作品をいくつか並べておきます。(タイトルメモするの忘れました…)
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ところで京セラ美術館、建物がとても素敵でした。
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また機会があったら行きたいです。