バドジズデジドダ

hinata625141
·

朝ドラ『ブギウギ』が終わりました!まずは半年間(撮影期間はそれ以上)、制作関係者の皆さんも完走した視聴者もおつかれさまでした〜!わたしも完走しました〜!!

全体的に前作の『らんまん』に引き続きクオリティの高い朝ドラだったなーと思います。エンターテイメントの世界が舞台とあってステージ描写なんかは本当に力入ってて見応えあって、あとやっぱり大ヒットする曲の力ってすごい、時代を超えるんだな〜と思い知らされました。脳にがっつり刻まれる。ラッパと娘、一人でよく歌ってました。バドジスデジドダ〜🎵


以下がマイベストエピソードです!

第3位!ツヤとキヌとスズ子〜香川のおんな編〜

奉公先の息子との子を身ごもって奉公先から追い出され、実家からも見放されたキヌ。呆然と一人でふらふらと歩くキヌの姿を見て「女三界に家なし」という言葉を思い出して胸がきりきりと痛みました。そしてそんなキヌに手を差し伸べたはずが、結果的にこのときキヌが産んだ子ども・スズ子を奪ってしまったという負い目をツヤは背負うことになる。そしてツヤが最後までこのことをスズ子に話さなかったことも、エゴだけど、すごく人間的でよかったな〜と思ってます。この物語はキャラクターのいびつなところが愛しい。このあたりとくに、キャラクターの心情を台詞で過度に説明することなく役者の演技と視聴者の想像に任せてくれてたのもよかったです。スズ子に父親の形見を手渡した、キヌの荒れた手にも泣けました。中越さん、名演でしたね。梅吉の葬式で再会したスズ子が娘の愛子に向かってキヌのことを「マミーのマミーや」と紹介したのもよかったです。天国でツヤさんもよろこんでるはず。香川編はオールロケということもあって全体的に映画のようで情緒的でした。

第2位!スズ子と秋山〜ふたりの上京物語編〜

東京の梅丸楽劇団にスカウトされた秋山とスズ子はふたりで上京し、同じ部屋で寝起きして新しい環境に飛び込みます。このふたり、先輩後輩ではあるんだけど後輩である秋山のほうがしっかりしてるんですごく良いバランスなんですね。恋に、仕事に、それぞれに抱えた悩みをおでんの屋台でぽつぽつ吐き出しながら励ましあう。この時期はほんとうに青春だなぁと思います。

わたしはこの秋山というキャラクターが本当に大好きでした。恋人でもあり劇団のトップスターである中山から女役に転向してほしいと言われ、プロポーズもされ、悩みに悩んだ末に彼女は恋を捨てる。男役として踊り続けたいから。自分自身を曲げなかった彼女は素敵でした。最後の夜眠れなくてふたりでせっせっせをして、翌日は大阪へ帰る汽車の中でスズ子の歌をイメージしながら見事なタップを踏む回、本当に最高でした😭

第1位!大和礼子と橘アオイ〜涙の桃色争議編〜

これまだ3週目だったんだなぁとひさしぶりに見返して驚きました。わたしはこのふたりが好きで好きでどうしようもなかった。

まずはもう蒼井優ちゃんの圧倒的なヒロイン力ですよね…!昭和の女優のようなイントネーションと佇まい、しびれました。見惚れました。そして名作『フラガール』を彷彿とさせる、少女がプロダンサーのダンスを窓越しに見つめるシーンを、反対の立場で見せてくれたのにもほんとうに胸熱でした。たまらず『フラガール』を見返してしまいました。まだ二十歳くらいの優ちゃんが可愛すぎて死にかけましたが、今見ても良い映画だな〜としみじみしました。それに炭鉱の労働争議の話であるのでその意味でもこの桃色争議のエピソードと繋がります。

そして橘アオイ演じた翼和希さん。現役のOSKのスターで実写ドラマは初めてとのこと。だけど本当に、男役トップの橘アオイにぴったりで、めちゃめちゃかっこよかったし、ストライキに踏み切る礼子を必死で止めようとする眼差しとその熱い思いに泣かされました。そして責任は一緒に取るのだという覚悟にも。好きになりすぎて舞台も見に行ってしまいました。


またスズ子と愛助のエピソードには作劇としてグッとくるものがありました。

ヒロインのモデルである笠置シヅ子さんのWikiを読むと、愛助のモデルである穎右との同棲はたった半年のことで、しかも戦時中で家を焼け出された親族らも住む避難所生活のようだったそう。だから『ブギウギ』で二人が二人っきりで夫婦の真似事のように二年も一緒に暮らせたのは良かったなぁ…としみじみ思いました。作劇上で別の理由があったのかもしれませんが、二人きりの自由で幸せな時間を描いてくれたのはフィクションだからこそできる“やさしい嘘”な感じがして好きなんですよね。

あと二人が住む家の玄関に、「花田」と「村山」の二つの表札が掛けられているのが、毎回見るたびに良いな〜と思ってました。まあこの当時、結婚してない二人が同棲して堂々と表札を二つ出す、というのは考えづらいのですが、これも“やさしい嘘”の類で意図的に出してるのかな…と勝手に思ってました。2024年になってもまだ夫婦別姓さえ認められてないジャパンですが、もし夫婦別姓が認められればこんなふうに表札が並ぶのが当たり前になるのかなって、過去を舞台にしたドラマを見ながらそこだけ未来を見ている気がしました。

『ブギウギ』はフィクションの良さ、強み、を感じさせてくれるんですよね。


以下はちょっとマイナスもプラスもある個人的な感想。

わたし前半はめちゃめちゃハマってたのに後半はう〜んってかんじだったんですよね。明確に何かがダメってわけじゃないけど、前半ほどの熱量で見られなくて。でもまぁこれまで見た朝ドラ見ても終盤は難しいんですよね。最後まで絶賛ってなかなかない。

本作見終わって思ったのは、リフレインがもっとあったほうがよかったのではないかな…ということ。終盤で又野さんが再登場し、礼子がまだ幼いスズ子に尋ねた「あなた、なんのために歌うの?」という回想シーンが入ったとき、ちょっとハッとしたんですよね。何のために歌うのか。その問いがテーマとして何度も問われていたらもっと没入できたかんじゃないかなぁと。あらゆる場面で、母を失い、弟を失い、愛介を失い、日本中がエンターテイメントなんて楽しめない状況下で、それでも福来スズコは何のために歌うのかと。

そんな一貫したテーマがなくても面白い朝ドラはあるのでそれが正解ということではないけれど、本作に限って言えば、歌手・福来スズコの軸がもう少しはっきり見えた方が良かったかもな〜という気がしました。

そんなことを考えてしまうのはそれだけ夢中になった時もあったからなんですよね。なんかもひとつ足りなかった、惜しかったなーというのも正直な感想です。でも役者さんたちはほんとすばらしかったし(とくに本職じゃないのにあれだけのステージパフォーマンスを魅せた趣里さんすごかった)、朝ドラ名物ヘイトを恐れず、いびつで隙のあるキャラクターを次々と出してくるのもわたしは面白かった。品行方正な物語ばかりじゃつまらないから。

なんだかんだと半年楽しませてもらいました。本当にありがとうございます!!!

@hinata625141
感想文置き場。たまに日記。