埼玉にある丸木美術館で「原爆の図」を見てきた。
ここ数年、半年おきくらいに友だちと「ちょっとがんばらないと行けない美術館に行く」をテーマに小旅行的にどこか行くのを計画し実行してる。今回はふたりとも行ってみたかった原爆の図・丸木美術館。
ここはまさに、ちょっとがんばらないと行けない美術館だ。アクセスを調べてみると〈最寄りのバス停から徒歩15分〉とあって最寄りから遠っ!て笑ってたら、そもそも日曜はバス運休…😇(※月〜土は巡回バスがあるそうです) 美術館に電話して聞いてみたら、タクシーがいるのは森林公園駅(徒歩60分)、もしくは隣のつきのわ駅(タクシーはいない)から徒歩で30分だそう。なかなかハードルが高いですね…笑。とりあえず行きはタクシーにすることにし、まずは池袋で待ち合わせ、東武東上線に乗っておよそ一時間で森林公園駅へ。
ホームからコンコースに上ったとたん、鳥の鳴き声がすごい。
コンコース内に確認しただけで4つくらい巣があってびっくりした。さすが森林公園駅!自然フレンドリーな駅だ〜。まあ外とほとんどつながってるしね、鳥さんたちが濡れないで済むならそれが一番ですよ。
さて駅から降りてみたら一台だけタクシーが!予約とかはしてなかったので安心した。女性のドライバーさん。道がガタガタしててらごめんなさいね〜でもこれが最短ルートなのよ〜と言いながら、ここ車道ですか!?みたいな細い道をガンガン行くので面白すぎる。10分もせず着いたからほんとに早かった。
ちなみに森林公園駅の前には「比企尼のふるさと」という看板があった。比企尼!鎌倉殿の13人見てたから知ってるよ〜!(歴史の知識はすべて大河ドラマからの人)
さて着きました。
かわいい。
「原爆の図」を書いた丸木俊・丸木位里のことば。
入館料を払って中に入り、階段を登っていくとまず小さな部屋があって、丸木スマ(位里の母)の絵がたくさん飾られている。絵や子どもをモチーフにしたかわいい絵が多い。
70歳を過ぎてから俊にすすめられて絵筆をとったスマさんはそれから亡くなるまでの10年で700枚超の絵を描いたそう。すごすぎる。展覧会での受賞も複数ある。ちなみに彼女も被爆者だった。関係ないけどわたしのおばあちゃんの名前もスマ子です。
さて「原爆の図」。写真は不可だったと思うけど、たとえ撮影OKだったとしても撮らなかったと思う。
こちら公式でも見られるので興味あるかたはどうぞ↓。実物はめちゃめちゃでかいです。
二階にある丸木夫妻のアトリエも公開されてる。明るくてとても素敵。たくさんの本も手に取ることができる。
帰りに図録買いました。
外は緑がいっぱいでうぐいすが鳴いてて、ハードな絵を見て疲れた心にしみる…。
行きのタクシー降りるときに運転手さんに帰りの予約しようとしたら「アプリで呼んでください〜」とのことだったので友だちが呼ぼうとしてくれたんだけど全然つかまらない…。というわけでつきのわ駅まで歩くことにした。道がけっこう複雑なのだけど友だちがGoogleマップ見ながらナビしてくれたのでわたしは言われるがままぼけーっと歩いてついていった。徒歩30分つらいかな〜と思ったんだけど、涼しい日だったし、ずっと平地なのでぜ〜んぜん余裕だった。無事、つきのわ駅に到着。
池袋行の東武東上線、日曜でも30分に1本はあるので安心。前回は市川湖畔美術館というところまで行って帰りのバスをギリギリで逃してしまい、そこから2時間ミニストップで次のバスを待ちづつけたので…。
隣のベンチでは部活帰りらしい男子高校生たちがキャッキャしててかわいい。と思っていたらひとりが突然(たぶんなんの脈略もなく)「ボーリング行こうぜ!」と叫び、まわりも即「よし行こう!」となってあっという間に向かいのホームに移動していった。若さとは、瞬発力。
帰りの電車は行きの普通の電車と違って、新幹線みたいな前席前を向いてるツーシートだったのでますます小旅行っぽくてよかった。
図録をパラパラと見ながら、こういうのを描いていたら毎晩悪夢を見そうだよねぇ、という話を友だちとした。あの大きな絵にびっしりといる人間たちひとりひとりの書き込みがすごくて、見ているだけでも心が削られるのに、描いている人はどれだけ疲労したんだろうかと。共感だけでなく描くにはそれを俯瞰でもみなきゃいけない、それを一人ひとりやってると思うと…と友だちが言っていて、なるほどたしかに……と思うなど。
そしてほんとうは「原爆の図」は近代美術館とかアクセスの良い美術館で常設したほうがいい、もっとたくさんの人に見てもらうべきと思うけど、検閲の対象となるかもしれない作品はやっぱり私設で守るのがいちばん安全なのかな〜なんて話もした。
そこからあいちトリエンナーレの表現の不自由展にも話が及び、あれは異常な状況だったよねぇとか。あのころはそんな話がたくさんあった。今もないわけじゃないだろうけど。こういう話を遠慮なくできる友だちがいるのはありがたいことだな。
帰りは新宿で焼き鳥とビール、それからワインを飲んでおつかれさまでした。
次はどこに行こうかな。