デスストランディング(ディレクターズカット版)をクリアした。今?今です。なにせPS5を手に入れたのが2022の年末で、そこから1年近く同じゲームを擦っていたので。
この手の無限にサブクエストが発生するタイプのゲームは一瞬でも脇道に逸れると本筋を見失うので鉄の自制心でメインシナリオだけを追いかける……ぞ!!と心に決めたのになんやかんや途中インフラ建設とかが楽しくなっちゃって60時間くらいやっていた。単純作業とお使いを行ったり来たりするゲーム、ハマると変な脳汁が出るよね。まあ案の定次何をしたらいいのかわからなくなってやや途方に暮れるなどしましたが。ありがとう配送端末。
というわけで胡乱な感想でもまとめようかな〜と。SNSで連投するとちょっと話があっちこっち行きそうだったので……まとまった文章にしてもあっちこっちはいくんですが……
当然ですがネタバレを含みます(とはいえメインシナリオ以外はほぼ触ってない)し私の偏見と幻覚だらけです。よろしくご笑覧ください。
・BBと生死の話
デススト世界の死生観ってめちゃくちゃ容赦ない。これはプレイしながら(死ぬほど多くて長いムービーを見ながら)何度も思った。プレイ日記にも書いた。
死んだ人間……というか「死者の魂」が、手の届くところにあって、手を伸ばせてしまう人種が発生してる状況。「死者の肉体」は災害をもたらす物体なので、焼却しなくてはならない。
あんまりデススト世界の皆さんが葬送儀礼の話をしてた記憶がないんだけど、まだその辺の文化風習は生きてるんでしょうか。どうだろ?葬送儀礼をカットするほどタイトな感じでもないかも。轢き殺したミュールをしばらく放置してたけど無事だったしな……(最悪!)
さておき、残された人間が「死」を消化するのが難しい世界だな〜って思った。ハートマンとか、話を聞きながらずっと顰めっ面でした。誰か彼を解放してやってくれ。でもうまく消化できないまま死者に手を伸ばす人間はサクッとBTに飲み込まれてるかもしれないので、ハートマンは綱渡りが上手なのかもしれない。じゃあいいかな……そうか?
BB周りについての時系列(クリフとサム、両方)がわりとフワッと処理されており、キャラクタそれぞれが自分の「感情」しか語らないので「状況」がわからないまま、サムの世界は続いていく……というのが、地味にリアル。オタクは外部から「状況」を観測できるコンテンツに慣れきってしまっているので、その辺を改めて自覚した感があった。まあ想像と邪推は得意なので、自由にしますね!
結構中盤まで、サムが繋がってるBBがクリフの記憶を見せてるんだと思ったけど、たぶんあれは「BB」の共通的無意識というか全てのBBはあの原初のBBでありそうではないみたいな状況で共有された記憶に過ぎないんだろうなと。なんか終盤のイベントラッシュを見ながら、サムがずっと繋がっていて「ルー」と呼ぶようになったあのBBはもしかして本当に「ルイーズ」なのでは、と思ってしまって1人で自分の妄想に最悪だよ!!!と悪態をついていました。最悪だよ。
BBというガジェットの設計思想自体はよくある「人柱」なんだけど、外装に赤子を設定してるのがめちゃくちゃ良くできた醜悪だな〜って感じ。デッドマンがBBを何度も「この子」と呼んでは訂正してるのを見て満面の笑みを浮かべるなど。邪悪な楽しみ方をするな。
・アメリ(というかあの信用ならない女)の話
他人の夢を真っ赤なラップドレスと真っ赤なピンヒールで彷徨きながら意味深なことだけ言って自分でピーチ姫のポジションに収まろうとする女、信用できる要素が一つもねえ〜〜と思っていたら黒幕(というか元凶)だった。なんて簡潔明瞭なシナリオなんだ。
肉体と魂がバラバラになって精神のバランスを持ち崩すタイプのキャラは大好きなのでブリジットとアメリの関係は本当に大好物のはずなんですが、悲しいかなその情報が出るまでに好感度が底を割ってしまっていたのであった………。
プレイした人みんな初手から怪しんでたと思うんだけど、でも「結局何がしたいのか」がかなり最後までわからないのでついつい先に進んじゃうんですよね。そのへんの匙加減が絶妙。あとサムが妄信的にアメリを追い求めていたのがちょっと怖かった。そういう意味でのホラーゲームだったのかもしれん。
・「つながる」と「対話」
サムの膂力で孤立状態にあった人々を通信網で繋いでく作業をしながらちょっと面白かったのは、通信がつながってもあの世界の人たちはもう「対話でわかりあう」という行為に見切りをつけてしまったのかもしれない、というくらいにコミュニケーション不全が多発していたこと。
私はわりと「手を取り合ってつながらなくても、対話によって共存圏を構築することはできるよね」という思想で生きている節があるのですが、たぶんこの辺のゆるっとした個人主義みたいなものがDSによって一度吹き飛ばされたんだろうな。そこに共存圏はなく、ただ個人が生きていける場所が点在しているだけの世界。それをカイラル通信でなんとかつないだ結果、「対話よりもつながる方が優先だ」みたいな感じになったというか。「対話がなくても人と人はつながれるし、つながれば生きていける」みたいな。
ジャンク屋とカイラルアーティスト(だったはず)のすったもんだ、メール読んだ時しばらく笑ってたもん……
滅亡待ったなし、常に絶滅へのカウントダウンは動いているぜ!という世界ではそのくらい強引な感じでないと人類は生き延びられないんだろうなあ。極限状況下でゆとりある思考は難しいということですね。
デスストの物語において1番濃密なコミュニケーション、ヒッグスとの殴り合いなのではないかと思う。相互理解ができたかはさておいて……
・ヒッグスとサムとクリフの話
最後の最後でサムがずっと抱えてた(推定)文句や鬱憤をヒッグスにぶちまけるのがとっても良かった〜。敵こそが正しく己を理解しているというか、敵対しているからこそ見えているものがあり、敵対しているからこそ好き放題言える距離感がある。たぶん、ヒッグスは誰にも言わないもんな。
終盤のクリフとのイベントは「娘さんを僕にください」ってことかしら……と思いながら見ていたのですが、冒頭からずっと不思議に思っていたルビと英語表記と漢字表記と読み方がちぐはぐさが最後の最後で「Someone」で回収されるのめっちゃくちゃ興奮しました。サムに聞こえているのはクリフが音声で発した音だけだけど、見てるプレイヤーにはクリフがどういう意図を込めて言ったのかがわかる。いや〜ッ最高 こういうの大好き
クリフは本当に哀れな男だなと思うけど、最後の最後で自分の言葉(と愛情)を受け継いでくれる相手がいたのがせめてもの救い。
ヒッグスに対してどうしてもギャルのイメージが拭えず(なんでだろうね…)、なんかまた上手いことやってED後もサムにちょっかい出すんだろうなという安心感がある。サム本人はウザがるだろうけど、たぶん彼に一番必要なコミュニケーションを担ってくれそう。そう!コミュニケーションって「相手に必要なもの(言葉/感情/リソース)を渡して自分が欲しいものを受け取る」という要素が一部に絶対あると思ってるんですよ!聞いてるかブリッジズ!!!ヒッグスという男、他人を利用して行動してきたからかもしれんけどその辺がやっぱり巧みだよなと。サムは彼の誘惑(たぶん本人はそのつもりなかったけど)にミリも乗らなかったのでコミュニケーションは成立しなかったけど。
そういえばデスストの総人口に対するDOOMSの割合ってどんな感じなんだろう。もうちょっと通信の輪が密になって、サムやフラジャイルを含めたDOOMSたちであるあるを話せたり、そういうくだらないやりとりみたいなものがサムの人生にちょっとずつ増えていけばいいなぁーと思います。
ヒッグス周りのサブクエストもあるんだろうな……(放置してる指名なし依頼がありすぎてわからん)
・プレイングに関して
アクションゲーム下手くそ人間なので、Nomalで始めた難易度は最終的にVery Easyになった。直前まで擦ってたゲームがFPS系だったのでTPSに慣れるまで多少の時間がかかり、慣れた頃に一番苦手なエイムを試されてしまったのでもう大の字よ大の字。なんでアクションゲームやろうと思ったんだろう?(A.楽しいから)
バイクは死ぬほどぶつけて、いまだにうまく動かせない。なんとなく勘でコントローラーをガチャガチャやってるとたまに行きたい方向に向いてくれる。
ちなみにED後にちょっとサブクエストに手をつけたとき、遭難したポーターを回収する帰りに水没しまくって雪山で遭難してたぶん意識も危うい感じだった人を3回川に流しました。たぶん常人なら死んでたと思う。ママーの配送中もママーを川に流したりBTに捕まったりした後にあのイベントだったので、私の配送が乱暴なせいでママーが死んじゃったんだ!!!とだいぶショックを受けましたが攻略を見たらもともとそういうイベントだったので胸を撫で下ろしました。
サムの膂力と操作性に物を言わせていろんなことを力技で解決したが、たぶんみんなそうだと信じてる。サムの配送力は世界一なので……(これはガチ)
後半になっていろんな機能や道具が開放されるまで、かなり長いことサムの足だけでゆっくりじっくり地道〜〜〜〜に進むパートがプレイ時間のほとんどを占め、そのあまりの地道さに人間の営みみたいなものへ思いを馳せてしまった。どんなに破滅的な世界でも着実に一歩ずつ、少しずつでも未来に進める人間のつよさよ……
しっちゃかめっちゃかになってきたしどうやってもまとまりそうにないのでこの辺でやめておく。mastodonでやった方がコンパクトになったかもしれんな……
続編出るらしいので楽しみです。おっきくなったルーとかいるのかな。そんなん推してしまうが!?!?