人間が吹き溜まるところ

ひわだ
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私が勤めている会社はあんまり一般的な会社構造ではないのでこれはマジで例え話だが、部署をあちこちたらい回しのように異動しまくって何箇所も経て我が職場へ来た、みたいな人が案の定うちでもそこらじゅうを引っ掻き回して古参のパートさんのメンタルに致命的なダメージを与えてとうとう異動になるらしい。

尻拭いや尻拭いや尻拭いをしてきた私だが、「やっと解放されるんだな」と思う反面「あの人の安住の地はどこになるんだろう」という疑問……というか懸念……というか……みたいなものがどうしても脳の反対側にあってずっと消えない。

いわゆる「定型発達(この言い方はあまり好きではない)」と呼ばれる、この世の中を占める大多数の人間が作り上げた社会の中で、うまくそこにはまれない人間はどうしたらいいのだろう。

件の人は私より年嵩なので、おそらく「はまる」ように行動や思考を修正することはもうできないと思う。そうじゃない人もいると思うのでこれは私の偏見も大いにあるのだが。

社会は大勢の人間の寄せ集めなので、一緒に過ごす中で「この人変だな」「苦手だな」「うまくやれないな」という人はどこにでもいて、こと仕事の場においてはそういう人も許容して生きていかなければならない。その許容範囲を超える人は自分のテリトリーから出ていってほしいと思うのは心身の安定を求める上で必要な欲求だが、でもそれってめちゃくちゃ幼稚な欲求じゃないか?

だから「そこにいる」のはもう仕方ないよね、折り合いをつけてなんとか自分が納得できるようにしなきゃだよね、と思い始めていたところへの異動。

あの人はどこへ行くんだろう。どこなら長く働けるんだろう。

そんなことを考える責任は私にないのかもしれない。でも考える必要はある。

だっていつかは私も同じ立場になるかもしれないから。

今の職場はすごく働きやすいし、手の届く範囲は概ね制御可能範囲に収まっているのでストレスが少ない。

でもこの私にとっての安住の地(仮)は、そこに収まれない数多の人を排斥してできた場所なのかもしれない。

排斥された人たちはどこに行ったらいいんだろう。どんな場所なら、軋轢を最小限にして働けるんだろう。

明確に「こういう不足があります」と医師や公共から判断を受けた人たちが集まる場所はある。でも、「不足」というほどではないけれど周囲にダメージを発生させるような人はその枠にも「はまる」ことができないから、「不足がないひとたち」の場所に行くしかない。そこでまた同じように「はまれない」を繰り返して、別の場所へ行く。

私もいつか「はまれなく」なったらどうしよう、どうやって生きていこう。

数時間の面談を終えて戻ってきた件の人を見て、そんなことを考えながら仕事をしていた。

@hinawa
エンタメ性が低く誤解を生みやすい自覚はあるものの、そこをブラッシュアップする気力がない文章たち