完璧主義には2つの意味がある。一般的に、完璧主義というのはネガティブな意味で使われることが多いと思うので、今回はその方向でビジネスシーンにおける完璧主義の弊害を言語化をしてみようと思う。
一般的に言われる「完璧主義」
①自分のアウトプットを100パーセントの出来で仕上げようとすること
これは「完璧じゃないと気が済まない、落ち着かない」ため、作業時間が通常の数倍増えてしまい、自滅&完璧どころか完成まで行かない。というパターンである。
一般的にこの完璧主義は、労働過多、作業不効率、人に頼らない等、ネガティブな結果を産むことが多いと言われており、専門職や職人のような120点を突き詰める職種ならまだしも、特にジュニアの場合避けるべきだと言われている。
こちらについては多くは触れない。
「完璧主義」にはもうひとつある。
②自分より立場が上の人は優れている(完璧であるべき)だと思い込むこと。
である。特に、この相手は上司であったり、上司の指示であったり、会社や社長など自分より上の立場の場合発動しやすいかと思う。
(上司なんだから)欠点は許されない
(上司の指示だから)指示内容に間違いは無いはずだし、従うのが正である
(会社なんだから)こういう制度が無い、こういうトラブルが発生するのはおかしい
このように、立場上自分より優れているという存在に対して間違いや欠点、至らない部分があってはならないと信じ込んでしまう「完璧主義」が若手社員や組織に中々馴染めず転々としてしまう人に多い気がする。
一旦この完璧主義の事を「要求型完璧主義」と呼ぶことにする。
要求型完璧主義の弊害と対策
当たり前だが、要求型完璧主義には大きな弊害がある。
自分より立場が上だからといって、自分より必ずしも優れているわけではないのである。それを受け入れられないと、「自分の理想の存在では無い=悪」としてフラストレーションが溜まり、メンタルに非常に良くない。
加えて、仕事上の観点で言うと「自分ならこうする。」という代案もだしづらくなるし、「このやり方はもっといいやり方があるのでは。」という提案もしづらくなる。相手が自分より優れているという前提に立っているから。
上司(会社)も、指摘や提案がないので部下への指示を完璧に持ってこなければ行けなくなる。もちろん上司も人間なので、完璧な指示などできない。
こうやって生産性が下がり、組織が上手く回らなくなっていくため、個人にとっても全体にとっても良いことがない。
この要求型完璧主義への対処は個人としてと、上司として、両面からアプローチができそう。
個人…一次返答を辞める
上司が自分より優れているというスタンスを辞めよう。と言うのは簡単だけど、それは多分かなり大きなメンタルチェンジなので、小さなところから。
一次返答とは「了解です」「分かりました」といった返答のことで、上司の指示や依頼に対して絶対にそういった一次返答をしない。
理由は2つ。
了解できてないから(分かってないから)
指示の時点で要件は完璧では無いから
一次返答は口グセになりやすいので、口から出そうになったら息を3秒止めて、「これって○○をやればいいってことですか?」のように、質問を繰り返すことで解像度を上司と一緒に上げていく作業をするといいと思う。
上司…完璧じゃないことを開示する
上司であるほど、自分が優れた存在であると誇示したくなるものだし、それが自分の立場を守ると思ってしまいたくなるものである。
そこをグッと堪えて、いかに自分が完璧では無いか、優れた存在では無く、助けが必要かを開示することも大事だろう。
そうしたスタンスが要求型完璧主義で凝り固まった部下を解してくれると思う。
まとめ
「この人、どの会社(上司)でも同じような文句を言っているな」
「この人、明らかに上司の指示(会社の戦略)が誤ってそうなのに、ずっと従い続けてるな」
10年近くベンチャー企業で働いてきて、「要求型完璧主義」に陥るジュニア層や転職組をたくさん見かけてきたので、今回言語化を行った。
自分も不完全、相手も不完全、それを皆が受け入れられると平和になるね。
以上