前髪を切った私君はどれくらい気づいた少しくらい分かってよ

ひらがな
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公開:2024/6/15

6月も中旬だってのに梅雨は来ないまま、外はいつの間にか30度近くなっていて、僕はクーラーを付けたり消したりしながら薄手のタオルケットにくるまって寝ています。季節で言うと今は何になるんでしょう。知りません。あとで調べてみようかな。

髪を伸ばしてみよう と思ったのは大体1年半ほど前だったと思います。歳を重ねてきて、このままダラダラ過ごしていると、実はもう髪を伸ばせる時間ってそんなに残されていないかもしれないと思い、今から伸ばせるだけやってみよう〜と決めてからもうそれだけの月日が流れました。ほらね、やっぱ時間ってすぐ経つ。

伸ばした感想としては「暑い」「重い」「誰か髪乾かして」が7割ぐらいを占めていて、ほんの少しだけ我が子の成長を噛み締める親心みたいなものが芽生えてきました。子は親に迷惑をかけるものですから少しぐらいの不自由は許してあげたい。すぐ乾かないとママのヘアオイル使ってあげないからね。わかったら良い子にしてて。

伸ばしているとは言ったものの、それは“最長部分”の話で、実際は前髪とかサイドとかは定期的に切っています。ウルフみたいなのを想像してもらったら良いです。最近の男性の髪型はセンターパートだとかアップバングだとかが流行っていますが、僕は重い前髪を下ろしておかないと死んでしまうので絶対にできません。元アイドルの嗣永桃子や渡辺麻友のような前髪にしないと。中学生の頃からずっとそうしてきたのでコレが1番安心するし、似合ってるとも思う。大人っぽい髪型にいまだにできません。

その前髪が鼻の頭あたりまで伸びてしまっていたので、こんだけ外も暑いんだしここらでちょっと髪を切ってもらって初夏だかなんだか分からないこの季節に順応してあげよう、と美容室の予約をしました。ここは以前も行ったことのあるお店で、その時は「良い感じ」にしてもらったのでスッとすぐに行動。思い立った時にしないといつまでもしないことは自分が一番分かっているので。

これまたスッと美容室まで歩いて向かい、「予約していた〇〇です」と伝えると、 (本当は担当とかあったのかな、僕がそういうのテキトーにしてたのか、)この前とは違う黒髪ロングに緩めのパーマ、少し胸元が緩いシャツを着た男の人に「こちらへどうぞ」と案内されて「今日はどれぐらい切りますか?」と尋ねられました。以前の人は奥で若い子と談笑しているのがチラと見えました。

前髪は目の上で 後ろは1番長いところはそのまま サイドは前髪とバランス良いぐらいに切ってもらって大丈夫です

それぐらいだけ伝えてそれからは殆ど一言も喋らないまま最後まで。途中は目を閉じてふわふわと考え事をしながら。

この文章のタイトルはCHEESECAKE(現MOSHIMO)というバンドの「寝グセ」という曲の一節です。彼と私との気持ちの差を憂うような歌詞になっています。私は待ち合わせ時間の10分前からここにいるのに、君は寝グセを付けて遅刻してきて「ごめん」と笑うだけ。みたいな。まぁ僕も遅刻はする方だけど。その時は笑わずに真剣に謝ります。ごめんなさい。いい曲なので是非聴いてみてくださいね。

「今こんな感じですがいかがでしょうか」と声をかけられ意識を戻すと、後ろの髪も見れるように3つが1つになったみたいな鏡を持ってくれてる美容師。目の上の前髪、それに合わせたサイド、後ろの髪は長いまま。言った通り。

言った通りなのに、ただ、なんか、なんか、違う。いや、全然彼は悪くない。言った通りに切ってくれた。だけど、なんか、違う。

シルエットがペタッとして、ウルフでは無くなってしまった。

最近呼ばれ始めたクラゲカットでもない、いや、強いて言うなら……

……メノクラゲカット...みたいなシルエット。僕の影を映して「だ〜れだ!」と子供たちが言ってCMに入れるぐらいのそんなシルエット……

こっから立て直しは恐らく無理なので「はい!大丈夫です!」と言って丁寧なドライヤーをしてもらって、綺麗なメノクラゲにしてもらって美容室を後にしました。

髪型が気に入らないと本当に気が滅入る。ただでさえ外はこんなに暑いから、少しでも涼しくなろうと思って髪を切ったのに。陽射しでメノクラゲが干上がってしまう。メノクラゲの身体の99%は水分らしいです。二度と外に出れません。早くレベル上げしてドククラゲになろうと思います。そしてあの美容師をどくどく状態にします。これは完全に八つ当たりです。誰かトレーナーの方を募集しています。是非よろしくお願いします。なんの話?