社会人に必要なのは一人の時間と美味しい食べ物、たまにでいいから童心を取り戻すことだってじーちゃんが言ってた。
いくつになっても秘密基地やアスレチックで一生遊べるし、変身アイテム片手に口上を述べながら見得を切りたくなる。気がする。気がするだけ。周囲の目を気にしてスカした態度で「へーこんなのまだあるんだ懐かし笑」とか言っちゃうようになったのはいつからだろうか。つまらん大人になっちゃったなぁ。
今や童心を取り戻すと言いつつも、ある程度自由に使えるようになった財力に物を言わせて、誰が決めたのかも分からん〝良識〟の範囲内ではしゃぐことしか出来なくなってしまった。歳を重ねて視野も行動範囲も多少は広がり、大人の保護下では目にすることすら叶わなかったものにも簡単にアクセスできるようになったけれど、失ってしまったものも確かにある。子供の頃は空き箱や画用紙なんかで作った変身アイテムでもヒーローになれたし、自転車でどこへだって行けるような気がしていた。今や草臥れた社会人が暗いワンルームで缶チューハイ片手にあの頃の変身アイテムをプレミアムバンダイでポチるだけである。虚しい。
最近ポケットにファンタジーの歌詞がよく沁みる。ポケットの中にはハンカチとスマホとくしゃくしゃのレシートくらいしか入ってないけど、今からでもヒーローに変身できるかなぁ。