6年目のBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K 機材アプデ

廣石鹸
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公開:2024/6/9

事の始まり

2018年の11月にBMPCC4Kを購入した。調べたら発売が同年9月だった様なので、発売間もない段階で手に入れたことになる。

今思い出してみても、購入に踏み切るにあたって思い悩む要素が全くないカメラだった。4Kを60fpsで、フルHDであれば120fpsまで撮影できる。それもrawデータで。記録メディアのCFast2.0カードが高すぎる?それも問題ない。USB-C経由でSSDに直接収録できる。SSDも安くはないけれど、256GBぽっちの容量でバカみたいな値段がするCFastに比べれば全然割安だし何より大容量だ。それでお値段なんと破格の¥154,834円(今は5万円程度値上がりしているが。)

当時それらの機能を実現していたであろう競合メーカーのカメラの価格を考えると、発売されること自体が何かの間違いの様なカメラだったと思う。ともかく、そうして私の手にこのカメラが届いた。

新しいカメラの購入はすべてを解決する

はじめて動画のRAW撮影を体験したのはBMPCC4K発売の4年前、2014年ごろになる。一眼カメラのCanon 5D mk2に、改造ファームウェアを導入することでRAW撮影を可能にした、かのMagic Lanternを使ったときだった。とんでもなくヤバそうなプロセスであるし実際カメラが故障する危険性のある方法だったが、それでも四苦八苦した末に得られた映像は、一発で魅せられてしまうほどの美麗さだった。下記の映像は初めてそのRAW動画を現像した際の映像で、今見ても十分なクオリティが担保されているように見える。

しかし最大でも20fps程度しか出ず、微妙にフルHDにも満たない解像度で使い勝手もすこぶる悪いこの方式にはさすがに無理を感じ、初代BMPCCの購入に至る。まともにHDでRAW撮影できるカメラを手に入れて喜んだのもつかの間、バッテリーの持たなささと、当たり前だが5D mk2ほどのクリーンな画が出せない機能性に苦しむことになる。とにかくこの時期は試行錯誤の連続で自分なりの映像機材の扱い方を模索して疲弊する日々だった。つらい。

下記動画はBMPCCと同じセンサーを持ったカメラ、BMMCCでの撮影。

そんな中、家に届いたBMPCC4Kが見せた画のクリーンさ、モダンさ、そして使いやすさは「カメラの進化、超大事じゃん」と思わず呟くほど、今までの悩みをきれいさっぱり解決するものだった。どこを撮っても、何を撮ってもとにかく綺麗に映る。そんなことに泣きそうなくらい嬉しかったのを覚えている。というかちょっと泣いた。

そう、カメラを新しくすれば大概のことはなんとかなるのだ。

まだまだいけるぜ

そんなBMPCC4Kと共に早6年。区切りというわけでもないけれど、前から実施したかった機材的アップデートをこのカメラに施すことにした。撮影をより便利に、より綺麗に。ユーザー&サードパーティーの偏執的な愛とメーカーの狂気が注がれた結果、発売から6年たってもこのカメラは奇妙な拡張性を持ち続けている。何かの都合で今実現できないことに対して様々な迂回路が用意されたこのカメラは、困ったことに撮影よりも改造するほうが楽しいのではないかと感じる瞬間さえある。ともかく、これが最後のアップデートになることと、末永く活躍してくれることを願って。

Metabones Speed Booster

おそらくこのカメラを所持している人ならほぼ全員が持ってるんじゃないか?というくらいによく名前を聞くレンズアダプター。EFレンズをMFTマウントに変換するだけでなく、内蔵されたレンズ群が大きなセンサー向けに作られたEFレンズの余裕を余すことなく活用し、画角の狭まりを軽減できるすごアダプター。そのうえさらにレンズが明るくなりボケもちょびっと増えるという言わずと知れたすごいやつ。欠点はアダプターの癖にズームレンズ一本分のお値段がするところ。(13万円越えである)もはや一本のレンズと言っていいほどの性能なのでしようがないものの、その性能に半信半疑だったので6年目にして導入。理由は中古品が3万円で売っていたから。みんないい加減他のカメラを使っているのかもしれない。

して効果のほどは。

残念ながらもっと早く買うべきであったかもしれない。特にSIGMA 18-35 F1.8のレンズとの組み合わせでは意味が分からないくらいシャープさが増す。F値も1.2くらいになりズームレンズなのか単焦点なのか更によくわからないことに。すごい。何より不思議なのは元のレンズよりシャープさが向上しているように見える点。調べたら光がより小さなセンサーへ集約される分そういう効果が得られることがあるんだとか。

EF40mmのパンケーキレンズとの組み合わせもコンパクトで使い勝手が良い。F値は2.8から2.0に。焦点距離はたぶん56mm程度で標準レンズ的な使い方が可能に。

はい。買って良かった。

CFast2.0カードの導入

正直アップデートというほどのものではない。しかし結構重要である。

このカメラで内部収録できるメディアはSDカードとCFast2.0カードの二種類がある。SDカードの転送速度ではフルにRAW撮影機能が生かせないため、より高速なCFastが必要になるのだが。問題はこのCFastカードが「ぼったくりなのか?」というほどに高価なのだ。

SSDがあれば問題なく収録できるが、SSDは外付けだ。嵩張るしケーブルがかなり煩わしい。本体のUSB-Cポートも堅牢ではないという噂を聞く。セットアップだって面倒だ。そう、私はずっと本体内部でのRAW収録を実現したかったのだ。

とはいえ。安心して収録するには余裕をみて512GB程度は欲しい。欲しいのだけれど、この容量だとCFast2.0カードはどうあがいても4万円程度はする。というか64GBで8万越えなんてのもある。ここで解せないのは、CFast2.0の次世代の規格であるCFexpress規格は転送速度が倍近く高速なのにも関わらず512GBサイズの価格は2万円程度とそこまで高価ではないことだ。まったく納得がいかない。

ひょっとして探せば安いCFast2.0あるんじゃね?ということで諸々探していると、あったのだ。512GBで9000円程度のCFast2.0カードが。それがこちら。

KingSpec 512GB CFast Card 3700X

聞いたことのないメーカーだけれど、どこで買ったかと言えばかのAliExpressで普通に売っていた。しかも結構有名だったらしい。さっそくBMPCC4Kに授けてみることに。

6年目にしてはじめてCFastカードスロットにメディアを挿入することができた。感無量である。果たしてちゃんと動くのか?

全然動くし認識している。全然使える。すんごいうれしい。

もう使っていない過去のコンパクトフラッシュたちのケースに入れてみる。前述の5D mk2ではこれでRAW撮影をしていたけれど、1050xが3700x表記になっているのは進化を感じてとても良いですね。(KomuputerBayも格安系のメーカーだった)

というわけで6年目にしてほぼありのままの姿で使えるようになったBMPCC4K。細かな検証は必要かもしれないけれどバックアップの手段はたくさんあるのでおそらく問題はないかと思う。使うのが楽しみである。

(とはいえ会社でBMCC6Kを導入したのであまり出番はないかもしれない)

@hirosekken
すべてフィクションです。