生成UIと結果指向のデザイン

hirotoarakawa
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NNG(Nielsen Norman Group)のブログ記事『生成UIと結果指向のデザイン(Generative UI and Outcome-Oriented Design)』を要約してメモ。


生成UIとは、AIによってリアルタイムで動的に生成され、ユーザーのニーズと文脈に合わせてカスタマイズされた体験を提供するUIのこと。

生成UIの活用例は、以下のシナリオのようなイメージ。

アレックスは、シカゴへの出張のためにデルタ航空のアプリを開いてシカゴ行きのフライトを予約しようとしています。彼女はデルタ航空を頻繁に利用しています。

アレックスは失読症を患っており、そのことはユーザープロフィールに記載されています。彼女向けにパーソナライズされたデルタ航空のアプリは、特別なフォントと色のコントラストで表示され、コンテンツを読みやすくしています。 

デルタ航空アプリのAIエージェントに話しかけ、アレックスは 5月6日から 10日までのシカゴ行きのフライトを確認するようにリクエストしました。彼女が出発する空港を指定していないため、デルタ航空アプリは彼女のホームであるマイアミ空港から出発すると想定して、フライトの検索を始めます。

デルタ航空アプリは、いくつかのフライトの選択肢の表示と合わせて、天候やイベントもチェックします。警告メッセージが画面に表示され、この期間に旅費が高くなる大きなイベントがあるため、できるだけ早く航空券とホテルを予約するようにアレックスにアドバイスをします。

アレックスに提示されるフライトの選択肢は、彼女の過去の行動と好みによって決定されます。彼女はコストと移動時間を最も重視しているため、フライト検索結果では、それらがより目立つように表示されます。検索結果はそれらに基づいてランク付けされます。

フライト検索結果の最初の選択肢がアレックスのニーズに最も適していますが、「窓側の席が残っていない」という警告メッセージも表示されます。アレックスはいつも窓側の席を好むため、次の選択肢に移ります。

アレックスはレッドアイ航空便には決して乗らないため、それらの便は折りたたまれて検索結果の一番下に配置されます。 

このような体験を、生成UIにより1人ひとりにパーソナライズされて提供することが可能になる。

これによりデザイナーは、個別のUIを設計するのではなく、ユーザーの目標を優先し、(AI が動作するための)制約を決める、結果指向の設計アプローチを行う必要がある。

  • UI設計からアウトカムの設計への移行

  • 生成 UI のガイドと制約の提供

  • より多様なペルソナ・カスタマージャーニーの理解

  • より深いユーザー調査

一方で、生成UIが広がるまでに、いくつかの課題がある。

  • 現在の生成AIの問題は、生成UIでも同じ問題が起きる可能性がある

  • ソフトウェア・ハ​​ードウェアの制限による生成UIの表示速度の低下

  • 生成UIでパーソナライズ化するには、より深いユーザー情報が必要になり、個人のプライバシーとセキュリティに対するリスクが伴う

  • UIを絶えず変更すると、ユーザビリティの問題が発生する

@hirotoarakawa
フリーランスのUI/UXデザイナー。ポッドキャスト『たまにデザインFM』を配信中。マンガと映画が好きです。