「こちらのお席へどうぞ」
そう言われ、案内されたのは2人がけの席だった。
平日、ランチタイムにはやや遅い時間に1人で某イタリアンファミレスに入る。
店内はガラガラで、どこに私が座ろうと何も問題のなさそうな中、端っこの椅子が2つだけ置かれた席に座わった。どうせなら4人がけのボックス席でゆうゆうとしていたかったが、案内されたのであれば仕方ない。大きめの鞄を向かいの席に置き、メニューを広げる。
サラダ、スープ、パン、メイン、フルコースにしてしまうか。いや、お腹的にキツいか。ピザはいいけどカロリーが。サラダは捨てがたい、などと迷い、ようやく決めて注文する。
料理が運ばれ、辛味チキンの2本目に手を伸ばした時に目の前のボックス席に高校生のカップルたちが座った。2人が向かい合って、仲良さそうに1つのメニュー表を見ている。
高校生で最大限のオシャレをして恋人とファミレスを楽しむ人達。無職で1人ですっぴんで辛味チキンを食べる私。急に虚しさが胸に込み上げてきた。この生産性の差はなんだよ。
ただでさえ狭い席なのに、そこで更に体を縮こまらせて急いで食事を平らげた。彼らは何も悪くない。でもこれ以上は、できなかった青春に飲み込まれ自分の人生を恨んでしまいそうで。それが怖くなって逃げるように店を出た。