溶けていく言葉たち

hitokoto
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中学生が総合学習の時間に製作した作品を見て欲しいという話になって、今年卒業を迎える学生が大勢来た。

最初は自分の仕事したいなとか、見るならちゃんと見ないとお互い得るものがないじゃないかとか思ってしまったけど、結果的には心動かされる作品もあったし、みんなも丁寧にコメントしていたので、良い時間だったんじゃないかと思う。

作品には少なからず自分の内面みたいなものが現れているから、中学生もそれを言葉にして伝えるのは恥ずかしそうだったし、勇気がいることだったと思うけど、表現したいという純粋な欲求が見えたことが、胸に響いたんだと思う。

「地元が大好きなんです」と言っていた子は、夢を追いかけるために地元を離れるらいしけど、いつか「このまちが私のルーツなんです」と言ってくれそうな気がした。

そういえば、朝、改札に立つ駅員は、足早に通り過ぎる人の波に向かって、何度も何度も「ありがとうございます」と言っていた。溶けていくような言葉だったけど、なぜか心に残ってる。結局どう伝わるかは受け取る側に委ねられているんだなと思う。

世界には、誰の記憶にも残らずに、一瞬で消えてしまうような言葉や、すぐに忘れ去られてしまう言葉のほうが多いんだろう。

寂しいような、美しいような。

@hitokoto
旅をする日々